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0276・運営さん達21




 『血を飲んだブラッディキャメルが派手に暴れています。プレイヤー<コトブキ>は【セイントバインド】を使いましたが、効かない事に首を傾げています』


 「ああ、暴走状態のヤツに対しては効き目が無いからな。それこそ石碑を見てフラグをオンにすれば闘気を乗せられるから効くんだが。そうしないと暴走状態の魔物には効かないように設定されている」


 「しっかし魔法に闘気を混ぜるって仙力とか心力とかじゃないんですか? なんで普通に魔法に闘気を混ぜられるっていう設定にしたんです? その辺りは聞いてないんで知らないですけど、設定的に大丈夫なんですよね?」


 「問題ない。正しくは魔力で作り出した魔法陣の中に、闘気を注ぐ形なんだ。最初から魔力で作ってる魔法陣だから、そこに闘気を注ぎ込んでも混ざらない。あくまでも闘気で強化しただけになる」


 「魔力で作った魔法陣が先にあるから、混ざったり仙力になったりはしないと。なら混ざるってどういう状態になるんです? いえ、どうやったら混ざるんですか?」


 「開発の設定では、魔力と闘気が混ざりあうのは生物の肉体の中だけだ。つまりプレイヤーなどの肉体の中で混ぜ合わせない限り、仙力や心力にはならないんだよ。開発主任の言い分では、厳密には混ざっている訳じゃないらしいが……」


 「もしかして分かってないんですか? ゲーム的には成立してるからいいですけど、本当に大丈夫なんですよね?」


 「心配するな。ユーザーの肉体に害は無い。そこに関しては最優先で徹底させたから大丈夫だ。何より「人体の全てなど分かっていないのだ、ちょっとした脳波を利用したりするぐらい構わんだろう」との事だったからな。だから了承した」


 「また訳の分からない事を夫婦で……って、それって<BUSHIDO>とか<ナイトロード>で試験的に使ったってやつじゃ……」


 「そんな懐かしい事もあったな。まあ、気にしなくていい。そもそもαチームやβプレイヤーで問題ないのは証明済みだ。仙力や心力を使ってなくても影響は受けるし、そもそも<BUSHIDO>や<ナイトロード>の時に問題が出てないのだから今さらだ」


 「それはそうかもしれませんけど……結構な無茶をしましたね。もちろん実験的に組み込んである古い2作品よりは安全なんでしょうけども。まあ、これは言っても無意味ですね。あとは何も無い事を祈るだけですか」


 『ブラッディキャメルがブラックスコーピオンの上を通り、設定どおりに突き上げられました。現在捕まって毒針を刺され、毒を注入されています』


 「こうやってラクダは死んでいくんでしたっけ? ラクダ肉は珍味枠で高く売れるんですけど、勝手に死んでいくという設定。きちんと見ると鬱陶しい限りですね」


 「まあな。だからこそこういう設定にしたんだし、これで最終許可を出してるんだ。そうそう簡単に先へと進まれても困るしな、少しは苦労してもらわんと」


 『プレイヤー<コトブキ>が先程の戦闘でランクアップしました。【魔闘仙】が【魔闘仙・弐格】に変わり、能力値が低下しています。内部の補正数値も設定してある通りに変わっていますので成功と思われます』


 「ああ。ついにランクアップ者が出たか。やれやれ、時間が掛かったような掛かってないような、不思議な気分だよ。それよりもランクアップ者はこれから続々と出てくるだろう。ちゃんと設定通りになっているかのチェックが要るぞ」


 「多くの者のランクアップが終わるまで忙しくなりそうですね。とはいえ、上位のプレイヤーとそれ以外では、随分とレベルに差があるんですけども」


 「まあな。とはいえ、間違ってたら碌な事にならんから、AIの一部を使って精査する必要がある。当面は弟君のデータとにらめっこする事になるがな」



 …

 ……

 ………



 『プレイヤー<コトブキ>からGMコールがありました。屍人の森でプレイヤーに襲われたようです。襲ったプレイヤーは徒党を組んでいますが、プレイヤー<ダークマター>が集めた者達のようです』


 「碌な事をせんな。このゲームではPK行為は認められてはいないのだが、イマイチ分かっていない者が多いようだ。あくまでも世界観を壊さないようにフレンドリーファイアも含めて出来るだけで、実際に許している訳じゃない」


 「それにしても弱そうな連中ですね。弟君を襲ったところで、どう足掻いても勝てないだろうに。いったいどういうつもりなんだか?」


 『プレイヤー<ダークマター>は一度ネクロマンサーで始め、<破滅>の家に来ましたが、無理矢理入ろうとした為に修羅スケルトンに殺されています。更にプレイヤー<コトブキ>と似た装備をさせた為か、周囲からバカにされて一度キャラを作り直しています』


 「………別に弟君が悪い訳じゃないですから逆恨みですけど、そこにまで至った経緯は分からなくもないですね」


 「まあ、こういう事もない訳ではない。誰かと似るという事がある以上はそこまで気にしなくてもいいのだが、こういう人物は異常に気にしたりするからな。だからこそ逆恨みするのだが」


 「恨むならバカにした連中であって、弟君じゃないでしょうにねえ。何でこういう連中は、って後ろから!? あーあー、裏切られて殺されるっていうオチかぁ」


 「何とも締まらない結果になったものだ。勝手に襲ってきて勝手に殺されるとはな」



 …

 ……

 ………



 『デスペナルティ中に走って移動し、プレイヤー<ダークマター>が再びプレイヤー<コトブキ>を襲いましたが、<破滅>が転移させてしまいました』


 『あんな鬱陶しい者だぞ? 飛ばすに決まっておるだろう。そもそもさっさとそっちが回収していれば、妾が飛ばす事も無かったのだ。コトブキがGMコールをしておるのだし、さっさと動け』


 「それはともかくとして、<深淵>の所に飛ばすとはな。揉め事になっても知らんぞ」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 10月8日 日曜日



 『プレイヤー<コトブキ>の召喚モンスター<ファル>が、ワールドで初めて【器用な指先】を獲得しました』


 「ああ、生産系全般にプラス補正が掛かるのと、上手く指が動かせるようになるスキルね。これも基礎スキルの一種だけど、生産系基礎スキルと言うべきかしら? それよりもハイゾンビホースの突撃系スキルの習得が凄いわね。どれだけ重ねて使って突撃する気なのやら……」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 10月9日 月曜日



 『プレイヤー<コトブキ>がスカルモンド領のダンジョン35階のボスを倒しました』


 「ここで一旦止まるでしょうね、あのニワトリ連中が大量に居る中を逃げて突破するのは難しいわ。隠れるのも人数的に無理でしょうし」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 10月11日 水曜日



 『プレイヤー<コトブキ>が、プレイヤー<トモエ>と一緒にスカルモンド領のダンジョンを攻略しています。どうやら宝箱を探しているようです』


 「彼らの場合は走り抜ける感じで進んできたからねえ。ここらで立ち止まるのも悪い事じゃない。それに有用な物も入ってるんだけど……」


 「忍者に関しては分からなくもないわねえ。色々な忍者が作られ過ぎてて、忍者がゲシュタルト崩壊している作品まであるし。後、仮面の忍者ってどっちかしら?」


 「どっちって何? 赤影じゃないの?」


 「いえ、レトロゲームに仮面の忍者○丸っていうのがあるのよ。そっちの可能性もあるからどっちか気になっただけ」


 「へー、仮面の忍者花○っていうゲームがあるんだ。知らなかったよ。それはともかく、仙術で水面を走って行くとか裏ルートすぎない?」


 『24階の魔物を半数ほど倒せば、陸地がせり出してきて島と繋がります。かなり強引な方法だとは思いますが、問題はないでしょう。あくまでも方法の違いに過ぎません』


 「まあ、それはそうだけど……っと泡のネックレスかー。あるあるなアイテムだけど、元ネタは何かな? 海賊王の漫画?」


 「あれは船の周りじゃなかった? 違ったっけ? 思い出せないから、いいか。あの泡のネックレスの元ネタはソウ○ブレイダーだった筈」


 「ああ、あの初期の頃の名作ね。あれとアクト○イザーは初期の名作と言われてるし、実際そうだと思うよ」



 …

 ……

 ………



 「だよねぇ。弟君が【羅刹】を取るよねー、どう考えても」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 10月12日 木曜日



 『プレイヤー<コトブキ>達がジャイアントマミーを倒し石碑を確認した事により、魔法への闘気フラグがオンになりました』


 「これで一部の魔法が強化されると共に、魔力に多く振っていた魔法使い達の阿鼻叫喚が始まるわね。ランクアップから振り直せば間に合うから、そこまで大きな問題じゃないけど」


 「それでも五月蝿い奴は出そうですけど?」


 「だったら辞めればいいんじゃない? 次の公式イベントが終わったら8万人追加の10万人でしょ。上からの通達で決まったそうだし、追加の人員とか設備の流用とか出来るから対処可能と判断されたそうよ」


 「採算の悪かったゲームが2つサービス終了しましたけどね。まあ、こっちが売れてる以上は仕方ないですか。2つともスマコン向けのゲームでしたし」


 「まあね。それでも人員と設備は流用していいんだから助かるわよ。ソフト面は充実させるのに時間が掛かるけど、ハードの増加は本当に助かるわ。資金的な事だと、上は首を縦に振らないからね」


 「人員も助かりますよ。あの2つのゲームの所とはギスギスとかありませんし。売れてる所の奴等は面倒臭いですからね。特にこちらは雛形を作るという思惑もありますし、余計な物が絡んでくるとAIの育成にも良くありません」


 「そうなのよねー。だからこそ簡単には増やせなかったのよ。ようやく少しは改善しそうだけど」


 『………』


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