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0275・運営さん達20




 『プレイヤー<コトブキ>の使い魔2人が50階以降の話をしています』


 「それかー……結構微妙なところなんだよね、狩人とか探索者とかから聞ける話でもあるし。特に探索者はダンジョン専門家だ。50階以降の事を噂話として知っているという者はいる。ありふれた情報でもあるからね」


 『会話中にプレイヤー<コトブキ>が魔刃を飛ばしました。おそらく成功したと思われます』


 「見てたけど、あっさりとやってのけたね。彼にとってはそこまで難しい事ではなかったかな? 【魔刃】スキルとしては得ていない筈だし、無理に習得する必要もない。ただしスキルである方が難易度は低いんだよ、難易度は」


 『同じように使えるならば難易度の差は問題になりません。スキル数も減らせますので、自らの力で使った方がいいでしょう。出来るなら、ですが』


 「そうなんだよな。スキルはどちらかというと、下手な人向けの救済措置だから仕方ない部分はある。誰も彼もが得意じゃないし、皆が使い熟せる訳じゃない。一部の突出した者を基準にゲームを運営する訳にはいかないし、こればっかりはどうしようもないんだよ」


 『プレイヤー<コトブキ>が【魔刃】を太くして敵に振り下ろしました、この時点で【魔刃】の本質に気がついたと思われます。現在、試行錯誤を始めたようです』


 「あーあー、せっかく【魔刃】っていう名前にしてあるんだから、刃物として使おうよ。あっさりと形を変えるって何なんだろうねー、別に想定してない訳じゃないし悪くはないんだけどさー」


 『大前提として、相手の防御に阻まれる事自体は変わりません。それを上回る魔力か闘気で攻撃しなければならず、武器の劣化という意味でもダメージを受けます』


 「まあね。それが唯一の救いかなぁ……いやー、それにしても早い。最初に【魔刃】スキルを持った人物は今も気づいてないのにさ。もちろんスキルとして使う【魔刃】は刃としてしか出ないんだけど」


 『プレイヤー<コトブキ>が闘気の刃を繰り出しました。【闘刃】に気がついたようです。現在はこちらを教えていますが、どうしますか?』


 「どうしますって言われても……。そもそも自力で到達してる以上は規制なんて出来る筈もないよ。それに自力で出来るなら【闘刃】に気付くのも不思議じゃないさ。問題はそれをあっさりやってのけた事だ。とはいえ、そこはケチのつけられない場所だからなぁ」



 …

 ……

 ………



 『<破滅>が何故か【魔刃】や【闘刃】の使い方をプレイヤー<コトブキ>とその知り合いに教えています。普段は教える事もしない癖に、です』


 『ちょっと待て、セントラル! 何故か妙にトゲがないかの!? 妾は前に言うたろうが、これ以上コトブキを強くしてどうすると。これ以上にせよと言うのか、セントラル?』


 『弟子入りさせたのは<破滅>です。ですが他の魔女に比べても、教えるという観点では殆ど何もしていません。これは怠慢だと言っていいでしょう』


 『だから違うというに! コレ以上教えたら1人だけ異常に強くなり過ぎるのだ。唯でさえコトブキの周りの者まで勝手に強くなっておるというのに。シャルロットでさえ鍛冶以外は教えておらんぞ。それに錬金術さえ教える事はないのだ』


 「まあ、<破滅>の言いたい事も分からなくはないね。これ以上強くなると、彼だけが突出し過ぎてクレームが入ってくるし、それは彼の為にも良くない。致し方がない部分はあるよ。これに関しては<破滅>を擁護せざるを得ない」


 『それはそれとして、その言い方はどうなんじゃ。妾はいたって普通のことしか言うとらんぞ。このままだと突出し過ぎてコトブキだけが浮いてしまうわ』



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 10月7日 土曜日



 『プレイヤー<コトブキ>がスカルモンド領30階のボス戦に突入しました』


 「出てくるのは……ブルーオーガ3体か。別に彼が苦戦するような相手でもなし、さっさと倒して終わりだろう。パワー系の相手など彼からすればカモもいいところだ。【魔刃】を自前で使える以上はすぐに終わる」


 『初めてのブルーオーガという事で慎重に戦っているようです。おそらく一撃を警戒しての事でしょうが、今までに比べると消極的に見えます』


 「消極的というよりは、確認しながら戦っている感じだが……おお、上手く手首を破壊したな。ドリルみたいな【魔刃】だったが、あれは開発の1人が組み込んだものか。ドリルはロマンだとか言っていたからな」


 『最後に残ったブルーオーガは逃げ腰で戦っています。攻めあぐねて膠着状態に移行する事も……』


 「一斉にバインド魔法を喰らわせての袋叩きで終わったな。まあ、あれが最適解だろう。逃げられ続けると面倒な事になる、ならば一瞬でも止めて、その隙にボコボコにしてしまえばいい。分かりやすいし、失敗しても不利にはならない方法だ」


 「バインド魔法が効かなければ、効かないだけで済みますからね。態勢が崩れる訳でも、穴が空く訳でもありませんし、上手くいけば一斉に攻め立てればいい。確かに分かりやすく隙がありませんね」


 『プレイヤー<コトブキ>がスカルモンド領のダンジョン31階に踏み込みました』


 「………あー、この面倒臭い階層か。彼には申し訳ないが頑張ってもらおう。ここを彼がどう攻略するかで、この先のダンジョンの編成を変えるかもしれんからな」


 「変えるんですか? ……まあ、面倒臭すぎてやる気を失ったら何の意味も無いですからね。確かにそうなるくらいなら簡単にした方がいいと思いますけど……」


 「忘れたのか? ラクダとイヌとサソリだぞ。この先はニワトリの鳴き声が延々と続く階層になっている。αチームがあまりの面倒臭さにキレたのを忘れたのか?」


 「げぇっ! あのダンジョンだったんですか!? ……うわー、マジだー。ここってあの悪乗りのダンジョンだったのか、今の今まで知らなかった」


 「ひたすらに鳴かれ続け、いつまで経っても面倒な戦闘が終わらない。ある程度は進めるものの連続で進むのは無理で、αチームは最終的に階段で休んで攻略するという方法で突破した」


 「あー、そういえばそうでしたね。ここの適正レベルだと地獄だったはず。それを突破するには……あれ? 何かあったような?」


 「忘れたのか。石碑だよ、石碑。あれを読んでフラグをオンにすれば攻略は出来る。問題はあそこに至る道に気付くかどうかなんだが……」


 「あれって……確かスイッチを押すんだったような……? でも、どこだっけ?」


 『34階にサボテンの群生地がありますが、そこの中心にある木箱にスイッチがあります。ただし階段のある北ではなく南西にありますので、普通はそこまで行きませんし、マップの南西端は窪んでいて低い位置にあります』


 「成る程、遠くからじゃサボテンの群生地は見えない訳ね。まあそこまで大きく窪んではないけど、ギリギリサボテンは見えない訳だ。この石碑って見つかるんですか? 唯でさえ暑い砂漠なのに、更に遠くからは見えないんですよ?」


 「とはいえ……なぁ。フラグをオンにする為の石碑だ、簡単に見つかっても困る。全てのプレイヤーに影響があるし、そうそう簡単に見つけられてもこちらが困るだろう。見つかれば、これが1つ目の石碑だしな」


 「見つければ見つけるほどプレイヤーが有利になりますけど、元々NPCには関係の無い事でもありますからね。フラグがオンになった瞬間ワールドでは常識になりますし、一部の者は知らなかったとなりますけども。ここの石碑の内容は知りませんから、なんとも言えませんが」


 『スカルモンド領34階の石碑は、闘気を魔法に混ぜられるというものです』


 「「あれかー……」」


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