0264・36階の階段
36階の森に出て再び魔力反応に攻撃する。今度は初回からハイフォレストチキンだった。僕達はハイフォレストチキンをわざと1羽だけ放置し、近付いてきた他の魔物を倒していく。この階層で一番数が多いのはパープルリザードだ。
そのパープルリザードから毒を受けるも、何度か【クリアポイズン】を使って治療する。ユウヤがよく受けてるけど、これに関しては前衛だし種族進化したばかりだから仕方ない。状態異常を受ける確率が上がってる。
ブラックトータスの【アースボム】も盾で何とか守ったものの、大幅に耐久が減ったらしく焦っていた。どうも体が大きいユウヤは、足下とまでは言わないものの小さい魔物は苦手なようだ。反応も遅れるし、仕方ないんだろうけど。
僕が後ろで治療しつつ戦っていると、ようやく魔物の数が減り始めた。意図的に1羽だけハイフォレストチキンを残して鳴かせているので、数が減ったという事は鳴き声が届く範囲にこれ以上の魔物は居ないのだろう。
どんどんと倒して数を減らし、最後となったハイフォレストチキンに止めを刺す。
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種族レベルが上がりました
メイン職業:ネクロマンサー・下級のレベルが上がりました
※スキル:【回復魔法・下級】に【キュアシック】が追加されます
※スキル:【回復魔法・下級】に【リジェネレイト】が追加されます
使い魔:ラスティアの種族レベルが上がりました
メイン職業:暗殺者・下級のレベルが上がりました
サブ職業:踊り子・下級のレベルが上がりました
使い魔:キャスティの種族レベルが上がりました
メイン職業:盾士・下級のレベルが上がりました
使い魔:キャスティの【回復魔法・下級】に【リジェネレイト】が追加されます
召喚モンスター:セナのレベルが上がりました
召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました
召喚モンスター:フォグのレベルが上がりました
召喚モンスター:フォグの【幻惑魔法・下級】に【幻火】が追加されます
召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました
召喚モンスター:シグマのレベルが上がりました
召喚モンスター:セスのレベルが上がりました
召喚モンスター:セスの【氷魔法・下級】に【フリーズスプラッシュ】が追加されます
召喚モンスター:セスの【雷魔法・下級】に【サンダーウェブ】が追加されます
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魔法が追加されたけど、ありがちなタイプばかりだね。字面から何となく分かるけど、まだレベルの高くない魔法だから、そこまで優秀な魔法じゃないだろう。となると、病気を治す【キュアシック】の方が優秀かな?。
リジェネ系ってあんまり役に立たないイメージあるしなぁ。高速回復するなら先に使っておいて食いしばりも出来るんだけど、レベルが低いからそこまで高速回復しないだろうし、現状いきなり即死級のダメージを受けたりしないしね。
まあ、このゲームのダメージの受け方だと、食いしばりには使えなさそうだけどさ。
「皆、疲れてるところ悪いんだけど、魔物が減ってる間になるべく調べておきたいんだ。僕は調べるけど皆はどうする? 無理そうなら入り口まで戻って休んでてほしい。場合によっては逃げてくるかもしれないから」
「俺はついていくぜ。なるべくレベルを上げて能力値をどうにかしたいからな。幾ら何でも減った分と、1になった魔力や精神がキツすぎる。さっきの土の塊の魔法で結構なダメージを喰らっちまったからな」
「流石にそれは低すぎ。とはいえ最低能力値じゃそんなもの? 始めたばかりでも能力値1は無いし……もしかして1ってなってるだけで、実際はマイナス?」
「幾らランクが違うとはいえ、初期値よりも低いとなると相当の低下をするみたいね。私達はなんとか戦えているけど、ユウヤは逆に魔法が厳しすぎると。何か弱点みたいになってるわね」
「笑い事じゃないぜ。マジでキツいからシャレにならねえっての。一発喰らってからは魔法で対処してくれてるけどよ、正直に言って誰でも良いから壊してくれって思ったわ。直撃してたら一撃で逝ってたかも」
「実際、着弾してから炸裂するタイプだから、予想以上にダメージを受けるよ? 魔力を流して防がないと厳しいだろう事は分かる。ウチだとフォグが使えるし、結構な威力してるから」
「クー!」
ちょっと誇らしげなフォグが前に出て匂いを嗅ぎながら調べていく。僕達も辺りをキョロキョロしながら調べるも、なかなか階段が見つからない。魔物も多少居るが、一度多くを倒している為、そこまで数は多くない。
早めに処理すれば騒がれずに済む為、こちらから素早く刺し殺しに行っている。そんな行動をしつつ調べていると、フォグが階段を見つけてくれた。この階の北東にあったのは良いんだが、今度は木の裏側に隠されていた。
幹の大きな木があるんだが、裏側に回るとハリボテで階段が見えている。まさかの隠し方に「イラッ」としつつも、冷静になる為に深呼吸をする。皆も若干イラついているみたいだ。
「唯でさえ森の中で見辛いのに、あまつさえこんな隠し方をするとはね。本当に底意地の悪い……」
「これはワザとですね。神々も何を考えているのか知りませんが、あまり良い事とは思えません。気付かないのが悪いというより、弄んでいる気がします」
2人も御立腹みたいだけど、僕らからすれば運営だからね。神じゃないから、そういう人達で終わる話でもある。ただ2人からすると、神は性格が悪いとなるんだろう。このダンジョンには今までも隠されていたのが何個かあるし、もしかしたらこのダンジョン特有?。
「いえ、他のダンジョンにも隠されている階段はあります。ただ、ここのダンジョンは隠し方に若干の悪意を感じなくもありません。森という地形のうえ、魔物を呼ぶハイフォレストチキンがおり、更には木のハリボテで隠すなど」
「段々と隠し方が巧妙になっている感じ? 魔物の強さとか厄介さで難しい訳じゃなく、搦め手が面倒臭いって感じかしら。だからこそキャスティも悪意を感じるって言ったんでしょうけどね」
「ええ。疲れてイライラしているからそう思うのかもしれませんが、疲れてイライラする階でもあります。その内容の時点で悪意を感じなくもありません」
「それは本当にそう。疲れてイライラする階で、更に隠して見つかり辛くしてウロウロさせようとしてる。掌の上で踊らされてるようで何かイヤ」
とにかく階段は見つかったので進んでみる。37階に下りたものの36階と変わらず森であり、周囲に敵の反応が確認できた。戦うかを聞いたみたけど全員が拒否。36階の入り口まで戻る事になった。
36階の魔物は倒している為、そこまで時間も掛からずに帰ってこれた。とはいえ、あそこまでの乱戦は1日1回でいい。そう思える程には精神的にも疲れるんだ。あの乱戦を4回やって突破するのは、やはり現実的じゃない。
まだ時間は早いので、一度脱出した後で31階に転移。砂漠で戦うんだけど……。
「まさか闘気バインドでブラッディキャメルが気絶するとはなー。これを知ってたら乱戦せずに済んだのに」
「仕方ない。34階でやっと知れる事だから、その手前じゃ想像も出来ない。それに、あの石碑を読んだから使えるのかも」
「石碑を読まないと魔法に闘気を混ぜられなかった? もしそうなら。大騒ぎになってるかも」
「いや、仮にそうだとしても、それは稀人だけじゃないかな? フラグだよフラグ」
「ああ。誰かがオンにすりゃ使えるって事か。逆に今まで出来なかったなら、魔法使い系の奴等の方が気がつかないかもな」
それはそうかも。既に実験した後なら、同じ事をもう一度したりはしないよねえ。
264話の誤字報告、ありがとうございました




