0260・【魔仙術】の現状における習得方法
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<スキル> 羅刹 特殊
敵を倒せば倒すほどに全能力に強い補正を受けるパッシブスキル。5分以内に敵を倒せないと効果を失うので注意。尚、味方の倒した敵では延長されない。自らの手で倒した敵のみである
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うん、予想通りの有効なスキルだ。例えザコでも倒せば加速度的に補正が強くなっていくタイプ。もちろん限界はあるだろうけど、36階から先を突破する為には重要になってくると思う。
ただ、全能力値ではなく、全能力って部分にちょっと引っ掛かる。もしかして隠しパラメータすら補正を受けるんじゃないの、コレ?。
「確かに全能力値って書いてないのは怪しいわね。能力ってだけだと色々考えられるし、それにわざわざ宝箱から手に入れたスキルなのよねえ。それが能力値だけとは考え辛いし、何かしら含まれてると思うわ」
どうやらトモエも同じ意見らしい。ちなみに【魅力強化】に関しては至って普通のスキルであり、<魔隷師>であるトモエにとっては都合の良いものだったようだ。支配できる確率が上がるだろうしね。
宝箱も回収したし、スキルも覚えた。なので29階へと進み、ラスティアに踊ってもらってホワイトの魔物を集めて倒す。ちょうど【羅刹】のスキルも手に入れた訳だし、手早くどんどん倒していこう。
そう思って急所を狙い一撃で倒していくんだけど、補正を受けているのかどうかがサッパリ分からない。一撃で倒せている以上は変化が無くて分からない為、どうにもスキルの効果が不明だ。本当に補正を受けているんだろうか?。
疑問に思いつつも、粗方の魔物を倒し終わったので進んでいく。いつも不要なドロップはプレイヤーマーケットに即座に突っ込んでいるので、今回も適当に売りに出しておいた。<魔石・中>がちょっと引っ掛かるので、今はインベントリに入れている。
転移札の転移に必要だし、もしかしたら魔力金属にも必要なんじゃないかと思ってる。出すと妙に鍛冶師に売れるんだよねー。アレが、どうにも……。まあ、考え事なんてしてないで、周囲の警戒をしよう。
30階に到達。ここで出てくるのはブルーオーガだけど、リーダは大丈夫かねえ。同じオーガだからこそ対抗心燃やしたり、または足が竦んだりとかされても困るよ?。
「グォ?」
どうやらイマイチ伝わっていないようだ。これは戦闘が始まってみないと分からないな。ここまで来て、暴走の挙句死ぬとかは止めてほしいところだ。支配モンスターは死んだらそこで終わりだしさ。トモエがまた五月蝿くなる。
休憩も終わりボス部屋へ、中に入るとブルーオーガが3体出現。途端に足が動かなくなるリーダ。やはりランクというのは、それだけ重要な意味を持つんだなぁ。改めて見せ付けられたよ。
ブルーオーガ3体はリーダを狙って動き始めたが、1体はセナが、1体はシグマが、そして最後の1体は僕が足を切り落とす。それだけで呪縛が解けたかのように動き始めたリーダ。……いや、暴走してる?。
「グォォォォォォッ!!!」
先程の動けなかった自分を恥じるかの如く、猛烈に棍棒を叩きつけるリーダ。気持ちは分からなくもないけど、暴走されても困るんだけどね? やはりボス戦前に掛けた言葉に意味は無かったようだ。
それでも足が切られたブルーオーガに負ける事はなく、1体のブルーオーガを殴り殺したリーダ。荒い息を吐きながらも、ようやくクールダウンしたらしい。最初は完全に気圧されてたけど、我慢ならなかったんだろう。そこはスルーしてあげるけどね。
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召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました
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リーダが冷静になった後、リナが説教を始めた。ゴブリンに怒られるオーガの図だが、リーダは縮こまっているので反省しているらしい。トモエに青リンゴが出たらしいけど、トモエは売らずに食べている。もちろん自分で。
「シャク……モグモグ。これ、結構美味しいわね? 青いのに甘味が強いし、でもしつこくない。……リーダに? 食べさせないわよ、勿体ない。まだレベルが上がるのに、今ブルーオーガになったらレベル分の能力値を損するじゃない」
「ああ、進化系アイテムってそういう効果なんだ。使った事なかったけど、碌な物じゃないね。真面目にレベル上げしなきゃ損じゃん。元々必要なかったけど、改めて使わなくてよかったよ」
31階の転移魔法陣まで進み、登録したら脱出する。これで明日のレベル上げに間に合うね。それにしても一気に進むと疲れるよ、あまつさえ宝箱を探しながらだしさ。そこまでウロウロとせずに済んだのはルーイの御蔭だよ。
ドースの鞍の上に立っているルーイに感謝していると、周囲からチラチラ見られていた。何かあったのかとも思うけど、気になるところは無い。首を傾げながらも、僕達は足早に帰る事にした。
師匠の家に入りソファーの部屋へ、そこからマイルームに行き使い魔の2人とファル以外を召喚する。ソファーの部屋へと戻ると、ラスティアとキャスティは雑談をしていた。僕はそれを聞きつつ、話しかけられたら適当な相槌を打つ。
今やっているのはプレイヤーマーケットの調査だ。色々な物が売っているので確認しつつ、欲しい物は購入している。野菜の種なども購入しつつ、色々な料理も購入しておく。一旦マイルームへ行って倉庫に預けておこう。
再び戻ってくると、トモエも戻ってきて姦しい感じになっていた。僕は適当に流しつつ、掲示板を読んでいるとファルが来た。どうやら夕食のようだ。
食堂に行って夕食を食べていると、師匠が急に質問をしてきた。
「ぬ? ………【魔仙術】が増えとるの、【仙歩】に【空仙歩】か。……これはまた、何となくで分かるが実感としてはどういうものなのだ、コトブキ?」
「【仙歩】に関しては分かりますが、【空仙歩】に関しては分かりません。今日はダンジョンで水の上を走るのに使いましたが、普通の地面と変わらないように立てましたし走れました。【空仙歩】は今のところ使えません」
「という事は使える【魔仙術】は未だ無しか。高度な仙力とは、それほどに厳しいみたいじゃな。妾は仙力を扱えるし多少の【仙術】は使えるが、あくまでも多少に過ぎん。そもそも魔女であって仙人ではないのでな、肉体が仙力に最適化されておらぬ」
「って事は、仙人系の種族って仙力に最適化されてるんだ……。まあ、そうじゃなきゃ仙力を使うエキスパートじゃないわよね」
「そうじゃの。トモエの言う通り、奴等は仙力を扱う本職とも言える種族なのだ。だからこそ極める事も可能だと言えるのだが、それよりも上位にあるのが【魔闘仙】だからの……高度な仙力は仙人系種族でも難しいと聞く。極められるのは【闘仙】か【魔闘仙】のみ」
「そう考えると、コトブキって自力でどうにかしなきゃいけないのよねえ。そもそも分かってない訳じゃない? 【闘仙術】とか【魔仙術】って。どっちも同じ物でしょうけど記録すら無いって聞くし、復活すら儘ならないと思うわ」
「仮に復活させられても、そこからどうやって修行し鍛え上げていくかも謎ですよ? どうすれば極みに到達するかも分かっていません。どうやれば上達するんでしょうね?」
「そういう意味では、誰も手助け出来ぬ道を歩まねばならんのか。大変だとは思うが、【魔闘仙】になった以上は諦めるしかないの」
確かによくよく考えてみればそうか。色々試してみないといつまで経っても【仙術】も【魔仙術】も増えないんだ。
……しかし困ったなー、考えてみても碌に思いつかない。これは先が長そうだ。




