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0025・屍人の森をウロウロ




 <澱み草>を探しつつ枝を探し、あっちをウロウロこっちをウロウロ。敵を倒しては、壊れた装備を作りなおす。ひたすらに繰り返すものの、満足な物は作れない。それでも少しずつ物は良くなってきている。


 それはつまり、能力値でも職業レベルでもなく、自分がヘタクソな所為だという事である。という事はひたすら練習して上手くなるしかないという事だ。まあ、練習しても必ず上手くなるとは限らないんだけど、それでも練習しないと上手くならない。


 そんな状況なんだけど、少しずつ良くなっているのは鉄の槍と武具図鑑のおかげだ。あれらを思い出しながら石と木の槍を作っているので、何となく上手くいってない部分が分かる。お手本と比べて何処が間違っているのか、その間違い探しをしているようなものだ。


 そこまではいいんだが、直す度に品質が悪化するのでダメな物にしかならない。自分としては良い物になっているのは分かるんだが、一発で良い物を作らないといけないのが難しい。スキルレベルも低いから仕方ないんだと思うけどね。


 それだけじゃない気もするし、スキルレベルの所為にしてたら上達しないと思うんだよ。ここは時間を使ってでも、腕というか技術を磨かないと。……おっと、昼が近くなってきた。一旦師匠の家に戻ろう。



 ―――――――――――――――


 種族レベルが上がりました

 メイン職業:ネクロマンサー・見習いのレベルが上がりました


 召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました

 召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 師匠の家に戻り、<澱み草>を出して燃やしてもらった後で昼食をいただく。その最中に石と木の槍の事を話すと、着眼点は間違っていないと言われた。



 「そもそも槍を作ろうとしておるのだからして、本物の槍を模倣するのが一番の近道よ。それは当たり前の事じゃ。もう一度武具図鑑をしっかり読んで、それから作ってみよ。武具というのは簡単な物ではないからの」


 「はい、分かりました」



 昼食後、鑑定スキルの時のように読むのではなく、知識として手に入れる為にじっくり読む。全てを読まずに槍の所だけだが、少しは分かった。剣のところも少し読んだが、刃というのはギザギザしているらしい。


 厳密には非常に小さく細かくギザギザしているらしく、それを研ぎで作り出しているのが刃物だった。つまり切れなくなるというのは、ノコギリの刃が潰れたような状態なのだ。だから切れないらしい。


 僕は刃というのは綺麗な物だと思っていたのでちょっと驚いた。適当に流し読みしていた所為で、この解説ページの事も碌に理解していなかったんだな。よく読んでしっかり頭に叩き込んでおこう。


 ……よし。それじゃあ午後からの「待て」、っと何でしょう、師匠。



 「コレを持っていけ。枝を払えば【伐採】スキルを得られようが、気を付けて使えよ。鉈では枝打ちできんような太い枝は払うな。すぐに耐久が無くなり壊れる故にな」


 「分かりました。前に枝を折ろうとした事があるんですが、【伐採】スキルが無いから折れなかったのでしょうか?」


 「そのような訳があるか。どうせお主の力が足りなんだだけであろう。貧弱だから折れんのだ、と言いたいところだが、そもそも刃物を使うのが普通だぞ? 無かったから無理に力でなんとかしようとしたのは分かるのだがのう」


 「は、はは……あの、行ってきます」


 「うむ、気を付けての」



 まさか非破壊オブジェクトだから壊せなかったんじゃなく、単に”力”が足りずにビクともしなかっただけとは……。まあ、貧弱と言われても仕方ないかな。それはともかくとして、歩きながら鉈を鑑定しておこう。



 ―――――――――――――――


 <武器> 黒曜石の鉈 品質:10 レア度:1 耐久180


 黒曜石の刃を持つ鉈。錬金術で作られたからか、綺麗な刃であり切れ味は鋭い

 攻撃力12 破壊力4


 ―――――――――――――――



 たっか……攻撃力が凄く高い。何だこれ? しかも品質10!! 僕の作った槍とは雲泥の差だ。術者の力量でここまで変わるのかぁ……凹むと同時に楽しみだ。僕もこの領域まで行ける可能性がある訳だしね。そう考えると練習にも身が入るってもんさ。


 <屍人の森>を歩きつつ、<澱み草>を見つけたり、細い枝を慎重に切り落とす。少し切れると後は体重を掛ければ圧し折れるので、なるべく鉈を使わずに手に入れていった。枝の品質は低くなるかもしれないが、今は練習中なので構うまい。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 槍を作っては壊しを繰り返しながら戦っていると、中層近くまで来たので引き返す。流石にこんなボロ装備じゃ殺されるだろう。とてもじゃないが、無理だと予想がつく。引き返してウロウロし、腐った肉が溜まるとセナに食べさせつつ錬金する。


 そして手持ちのアイテム数を減らしたら、また戦いに出る。壊れたら武器を作り直し、投擲用の石も作成する。そんな事を繰り返しながら本日は終了。夕方が来てしまった。



 ―――――――――――――――


 ※スキル:【伐採】を習得しました


 ―――――――――――――――



 師匠の家に戻り、夕食を食べたらログアウト。明日からも頑張ろう。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 7月30日 日曜日 AM8:14



 今日は日曜日だけどいつもと変わらない。朝から家事をやって、終わったらログインする。今日は父さんが風呂場を綺麗に掃除したりした後、午後からは家を出て帰ってこない。母さんの機嫌が非常に良いのでそういう事だ。


 色々と言いたい事が無い訳でもないのだが、両親の仲が良いのは悪い事じゃない。ま、父さんたちは居ないが、いつもと殆ど変わらない1日というだけだ。


 <レトロワールド>にログインした僕は、師匠の家で朝食を食べて出発する。少し戦うとレベルが上がったのでもうすぐだったのだろう。それにしても二桁になってから急に上がりにくくなったな。正式リリースからこうなったのかな?。



 ―――――――――――――――


 種族レベルが上がりました

 メイン職業:ネクロマンサー・見習いのレベルが上がりました


 召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました


 召喚モンスター:セナのレベルが上がりました


 召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 昨日と変わらずウロウロし続け、枝を集めては木の棒にして収納する。槍が壊れたら棒を取り出し、石と木の槍にしたら再び移動していく。


 <屍人の森>は広く、師匠の家は浅い場所にあるのがよく分かる。そして、この<澱み草>というのが何処にあるかも何となく分かってきた。ふとした時に気付いたんだ、妙に澱んだ魔力があるって。


 そしてその場所には必ず<澱み草>があったんだ。最初に師匠が紙に場所を書けた理由も分かった。この澱んだ魔力をあの家から感じ取っていたんだ。今の僕じゃ、そこまでの広範囲には絶対に無理だ。改めて格の違いがよく分かるよ、本当。


 戦いつつ、そんな事を考えているとドースに怒られた。



 「ガチ!」



 ドースは歯を噛み合わせる事で意思疎通をしてくるんだけど、何となく言いたい事は分かる。これがネクロマンサーだからなのかは分からないけど、ファルも骨だけに見えて何となく表情があるのが分かるし、それは無表情のセナも同じだ。


 アンデッドってそれぞれに個性があるのだと思うが、今のところは3体なので問題ないのだと思う。これ以上増えたら分からなくなるかもしれないし、一斉にこっちに反応を向けられると、今でも厳しいものがある。



 「カタ」 「う」 「ガチ」



 うん。キミ達ワザとやってるね?。


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