0242・ランクアップとステータスと称号
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おめでとうございます。全プレイヤーの中で初めて種族のランクアップを果たしたので、称号【先駆け】を獲得しました
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種族のランクアップは果たしたけど、それだけじゃなく称号まで貰うなんてね。久しぶりだけど、とりあえずステータスを確認しよう。そう思ってステータスを確認した時、僕は愕然とした。
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<コトブキ> R2
※種族・職業
種族:魔闘仙・弐格(♂) Lv1
メイン職業:ネクロマンサー・下級 Lv25
サブ職業:錬金術師・下級 Lv23
※能力
力:13
耐久:13
魔力:20
精神:18
意志:16
敏捷:14
器用:14
感覚:15
魅力:8
※スキル
【槍術・下級】【棒術・下級】【投擲】【握り】【体幹】【重心】【体捌き】【足捌き】
【闇魔法・下級】【浄化魔法・下級】【回復魔法・下級】
【精密魔力操作・下級】【精密魔力感知・下級】【練気操作・下級】【練気感知・下級】【仙力操作】【心力操作】【総合鑑定・下級】【罠発見】
【魅了耐性】【昏睡眠】
【屍命召喚】【瘴気変換】【拠点召喚】
【錬金術】<【乾燥】【変形】【融合】【破砕】【分離】【粉砕】【合成】【抽出】>
【魔仙術】<【魔仙練体】>
【心術】<【念話】>
【伐採】【採取】【採掘】
※装備
右手:雪怪木と白曜石の六角棒・雪怪木と白曜石の笹穂槍
左手:なし
頭:幸運のウサギ耳
体:大槌蟹の甲殻の革鎧
右腕:指貫グローブ
左腕:指貫グローブ
腰:革の剣帯
足:革の脛当て・鉄の鋲付き革のブーツ
※アクセサリー
01:なし
※称号
【卑怯者】【剛速球】【破壊魔】【最先端の職人】【賢者の意思】【先駆け】
※所持金 0デル 倉庫に保管 1387129デル
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全ての能力値が8ポイント減っている。能力値は9種類なので、減ったのは72ポイント。レベル1から40までで上がったレベルは39なので、上昇した能力値の合計は78。ビックリするほど能力値が減ってる。こんなのアリ?。
「何、コトブキ? 急に変な顔をして?」
「いやぁ……種族ランクが上がって【魔闘仙】から【魔闘仙・弐格】に変わったんだけど、能力がビックリする程に落ちたんだよ。ここまで落ちる? っていうくらいに落ちたね」
「あぁ、初めてだとそう思うのも分かります。実際かなり落ちるので、今まで勝てた魔物にすら勝てなくなったりするんですよね。ですのでランクアップが近くなったら、誰かと一緒に戦うのが普通です」
「そうねぇ……でも、そういうのを狙って悪さをする奴が居るから注意しなきゃいけないの。昔、ランクアップ前に妙な連中に誘われた事があるわ。弱くなった女を襲うとかね、昔からあるのよ」
「最低だね、それ。よくもそんな事をやろうと思うよ、呆れて物も言いたくなくなる。それよりも、ここまで能力が落ちるとランクアップって果たして良い事なのかな?」
「格というものは非常に隔たりが大きいのです。言うなれば生き物として上の位に上がる事を意味していますので、根本的に変わるのですよ。肉体に対する魔力の馴染みやすさや、闘気の馴染みやすさ。更には魔力や闘気の器なども変わります」
「そうそう、器といえば分かりやすいわね。根本的に別の器に変わるのよ。さっき体が少し光ったでしょ、その時に器そのものが変わる訳。やってるのは神でしょうけど、情緒とか何も無いのよねえ」
「情緒があっても困りますよ。戦闘中にランクアップして倒れるとか、殺されてしまいますからね。夢も希望もロマンも無いですが、死ぬよりマシです」
「まあ、それはそうだね。ところで格が上がった事によるメリットがサッパリ分からないんだけど、結局どういう事なの?」
「簡単に言えば魔力の総量が上がったり、今まで以上に鍛えられるようになったり。根本的な部分で、更に上を目指せるようになるって感じかな。格が上がらない者も居るけど、それはもう持って生まれた才能のようなものだから御愁傷様って感じ」
「大抵は何かしらの問題があったり、この者には力を持たせない方が良いと神様が思われる者ですね。才能が無くてどうにもならないという者も居ますが、実は凄く稀です。大抵の者は、そもそも格を上げる事もなく一生を終えます。上げる必要性が薄いですしね」
「普通に暮らしていくなら格を上げる必要がどこにも無いの。貴族でも上げてない奴って居るし、王族でも居るわよ。狩人であっても探索者であっても上げない者は居るしね」
「まあ、位階を上げてもそこまで劇的に変わる訳ではありません。3歩進んで2歩下がるようなものです。それでも1歩は進んでいるんですよ。それと生命としての基本が変わりますからね」
「そういう意味でもコトブキはトンデモなのよ? 格も上げてないし、レベルも低かったのに【精密魔力操作】や高度な仙力まで使ったでしょ。それって異常って言っていいって、今なら分かると思うけど?」
「まあ、分からなくもないけど、出来たんだからいいじゃない。実際、出来て【魔闘仙】になったんだしさ。それより、そろそろ帰ろうか。こんな所で喋っててもしょうがないし」
「そうね。ブラックスコーピオンとかブラッディキャメルが面倒臭いし、さっさと帰りましょうか」
僕達は砂漠を足早に戻っていく。その途中で手に入った称号、【先駆け】の説明を見てるんだけど……僕の場合は使えるかな? というところ。走る速度が1割増えるという効果なんだよ、ただし全力疾走に限るそうだけど。
ドースにも適用されるなら役に立つんだけど、当然ながら称号を持つ者だけなので僕にしか効果が無い。とりあえず全力疾走で戻ってみよう。
「はぁ、はぁ、………ふぅ。いきなり走るなんて何考えてんのよ。早くは戻れるだろうけど、歩いても問題なかったわよね?」
「【先駆け】という称号を得たんだけど、全力疾走の時の速度が1割上がるというものなんだよ。試しに走ってみて、どれぐらいからが全力疾走と見做されるのか調べたかったんだ」
「聞いた事もないですけど、そんな称号があるんですね。神様も何を考えておられるのやら」
「それは知らないけど、どこまでか調べてみたら、本当の本気で走らないと効果が無いみたいなんだ。思っているよりも使い勝手が悪いし、これを活かすのは僕には無理だね。いきなり全力疾走になれるなら、体当たりとかにも使えるんだけど」
「速さは威力に直結しますからね。いきなりトップスピードになれるなら使えるでしょうけど、移動の時に全力疾走なんてしませんし……使える場面ってあるんでしょうかね?」
「さあねえ。帰ってゆっくり休みましょう。コトブキもランクアップしたし、次は私達?」
「ですね。私は封印されているだけですけど、自分で取り戻さなければ駄目みたいですし、結局は封印されている間に失った貴女と変わりません」
「まあ、いいじゃないの。このままだと今までよりも違う自分になれそうだし、ちょっと面白そうよ?」
「その事に関しては否定しませんけどね。それと一度強くなってからですから、かつての頃とは色々違いますし」
そりゃ初めての頃は違うでしょ、良い意味でも悪い意味でも手探りだった訳だし。今は分かったうえで色々選択できる筈だから、そういう意味では新鮮なんだろう。
それだけ歳をとったという事なんだけど、言わない方がいいね。いきなり2人がこっちを見たよ。




