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0238・運営さん達17




 『プレイヤー<トモエ>が初めて属性強化のアクセサリーを作り出しました。フリーズベアの皮とサファイアのようです』


 「両方とも素材としては持ってたのに、随分と遅かったわね。まあ、他にも色々作ってたし、仕方がないんでしょうけど。それよりも、徐々に属性強化の装備が出回ると争奪戦が始まるわね」


 「特に特化している魔法使い達は好んで買うでしょうね。それに会話の内容的にプレイヤーマーケットへ流すみたいですし、となると早晩、多くのプレイヤーが同じ物を作り出そうとするでしょう。ここからがMMOの醍醐味ですね」


 「沼を醍醐味と言い換えるのもどうかと思うけど、間違ってはいないのよねえ。そんな事は横に置いておくとして、それよりダンジョンでの素材が出回らないのが……。中には属性系アクセが作れる物もあるのに、市場に流さない奴の多い事、多い事」


 「独占するのは自由ですけど、崩れた時に泣きを見そうな気がします。このゲームはブラックリストに入れられると、その出品者の物は買えないって知らないんですかね? プレイヤーマーケットの出品者リストからでもブラックリストに入れられるんですけど……」


 「そこまで考えて無いんじゃない? 独占して自分達の物にしようって奴等なんだから。いったい何の為に様々な場所から始まると思ってるんでしょうね。少し考えれば、プレイヤーが色々な物を持ち寄る為って分かるでしょうに」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 9月24日 日曜日



 『プレイヤー<コトブキ>が運営ダンジョン25階に到達しました。ここのボスはシルバーウルフ10頭ですが、おそらくあっさりと倒されると思われます』


 「ふむ……彼が勝つのは間違いなかろうが、苦戦しないとはどういう事だ? あっさり勝てるほど弱くはない筈だがな。セントラル、理由は?」


 『プレイヤー<コトブキ>のインベントリの中には<オーク玉>があり、プレイヤー<コトブキ>の今までの行動から予測すれば、迷わず使う可能性が極めて高いと考えます』


 「ああ! 彼はまだアレを持ってたのか。……律儀にアイテム欄を使ってまで持っているとはな。保険か何かとして持ち歩いているのだろうが、流石だな」


 『25階のボス部屋に入ったプレイヤー<コトブキ>は、予想の通りに躊躇する事も無く<オーク玉>を投げました。現在、味方全員から睨まれています』


 「悪臭兵器を投げつけて気絶するほどの激臭を撒き散らされれば、それは睨みたくもなろう。それでもシルバーウルフをこのような方法で倒されるとな、彼の実力で勝った訳ではないので何とも言えん」


 『どのような道具であろうとも、使えるものを使って勝つのは当たり前の事では?』


 「………そうだったな。戦場に綺麗も汚いも無い。勝ったものが勝者であり、負けたものが敗者だ。それ以外には無い」


 『26階の魔物を確認し、話し合って帰還を決めたようです。雪原ですので防寒具が無ければ戦えませんし、当然の事だと思います』


 「26階……UMAと妖怪を掛け合わせたネタの階層か。実際にはネタというほど下らない話ではなく、相当に厄介な強者なんだがな。腕が太いビッグアームの一撃は棍棒を振り回されてるのと変わらんし、ビッグフットに踏み潰されれば一撃で死ぬ程だ」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 9月25日 月曜日



 『準備が整った為、ラギル伯爵のイベントが開始されます。プレイヤー<コトブキ>に王都へ行くように<破滅のエンリエッタ>が指示しました』


 『そもそも、そうせよと命じてきたのはセントラルであろうが。妾はこのイベントが好かん、内容も気に入らぬしの。妻と娘を攫われたのだ、叩き潰してしまえば良かろう。何故に奴隷売買に手を貸すのか理解できん』


 「そういうイベントなんだから文句言わないでくれ。リアルの世の中にも仕方がない事は幾らでもある。これもそういうものだよ」


 『ふん! 妾には理解できんが邪魔はせん。何より、このイベントに妾の出る幕は無いからの』


 「……ふぅ。とりあえずは移動だから、彼はこれから馬車旅か。大変だけど、あっち行って来い系のイベントは移動ばっかりだからねー。これ系のイベントは、どんなゲームでもあるから仕方ない。王道ってヤツだね」


 『………』



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 9月26日 火曜日



 「今日も彼は移動かー……って、あるある。田舎って何故かウチの嫁にどうだ? っていう話がやたらにあるのよ。嫌になってくるわよね、本当。放っといてよ」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 9月28日 木曜日



 『プレイヤー<コトブキ>が、ゾンビホースに乗って移動する事にやっと気付いたようです。現在、疾走するゾンビホースにしがみ付いています』


 「まあ、その方が速いのは事実だけど、マイルームが無いと使えない方法だから仕方ないさ。最初は使えなかったから、最初から移動手段という発想にならないんだろうね。サモナーにも馬に乗ってないのが結構居るし」



 …

 ……

 ………



 『プレイヤー<コトブキ>が指定された酒場である、<ベイズナムラ>に入りました、現在<ブラッディア血聖勲章>を店主の1人であるベイズに見せています』


 「ここから2階に連れて行かれて、女王の護衛の1人から指示書を受けとると。そして彼に依頼があり、それを受諾。うん、ラギル伯爵の居るロスムーダへ行く事になったね」


 『ロスムーダに到着する時間でも変わりますが、プレイヤー<コトブキ>はネクロマンサーであり、相当早く着くと思われます。早すぎるとイベント内容が変わり、<ガロイ>は生き残りますが、代わりに難易度が高いルートになります』


 「このままだと間違いなくそっちになるだろうね。とはいえ、厳しいのはガロイの説得だろう? それさえ出来たら後の難易度は同じだ。ガロイ死亡ルートだと助ける必要が無いから楽だけど、それぐらいだしね」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 9月30日 土曜日



 『プレイヤー<コトブキ>が<ガロイ>と接触しました。食堂でしたので話を切り上げて酒場の裏にある建物へと移動します』


 「腐が好きそうな華奢なイケメンねえ……。これって元は銀のたて○との○ライでしょ? ゲーム中では最初から死んでた人物だけど、アンデッド系の魔物が大量に出てくるダンジョンが墓っていうキャラ」


 「そうだけど、言い方が酷くない? 雨○の杖だったか月の○だかを手に入れるのに必要な、銀○たてごとの持ち主だね。どう考えても勇者のやってる事は墓荒らしなんだけど、何故か誰も指摘しないんだよ」


 「まあ、タンスを漁るのが勇者だから仕方ないわよ。そういうヤツだって思われてるんじゃない?」


 「………」



 …

 ……

 ………



 「ガロイにあっさり殺されたけど、【念話】で説得とかどんな裏ルートだと言いたくなるね。流石に彼しか出来ない突破の仕方だよ。殺されたけど、これで北東の森に行くでしょ」


 「相手に殺せって。漫画ではそういうシチュエーションはあるけど、本当に復活するゲームだと躊躇い無く殺すし、当然のように殺されるわねー」



 …

 ……

 ………


 「これで終了。盗賊ボスも呪術士も捕まえた。後は大立ち回りだけか」


 「楽しみ……でもないか。どうせ勝つし」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 10月1日 日曜日



 「今日は大立ち回りだけど、早速伯爵邸が爆発したね。そして出てくるイケメン2人」


 「後ろから歓声が聞こえるのはスルーして。弟君とデボンとの戦い。本来なら<幻惑使い>は厄介なんだけど……やっぱり仲間が【幻惑魔法】を持つ以上、対処方法は知ってるわよねー」


 「そして酷い挑発よ。このラットマンの性格設定は卑屈で尊大だから、レベルが下の弟君にバカにされると怒るんだけど、内容が的確すぎる。彼は何をどう判断してるんだろうか?」


 「で、あっさりと勝利して煉獄の枷を嵌めるという容赦の無さよ」



 …

 ……

 ………



 「だが、断る!ww」


 「アレは反則だろうよww シリアスな場面であれをするか、普通?」


 「ある意味で弟君だと納得出来るけどねーww」


 『プレイヤー<コトブキ>が請けた今回のイベントも、完全攻略が確定しました』


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