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0233・ホワイト系の本当の強さ




 1体減っても連携を絶やさずに抵抗してくる厄介な連中だ。それでも1体減った穴は小さくなかったのだろう、僕が【ダークジャベリン】を放つと、それだけで相手のホワイトゴブリンは警戒する。


 その隙を狙って他の仲間達が攻撃し、それによって更に敵の数を減らしていく。何度も攻撃して確実に殺し、そうやって数を減らせば僕達の優位に傾くのは道理だ。それはどうやっても覆せず、ゆっくりと倒れるように瓦解していくホワイトゴブリン達。


 最後の1体はユウヤが棍棒で潰して勝利となった。それにしても強かったなぁ。



 「さっきのホワイトゴブリン達は明らかにおかしいです。ホワイトどころかブラックゴブリンと言われても納得する連携の強さでしたよ。幾らボス戦だからといっても、あそこまで強いのはちょっと変です」


 「確かにね。私達が弱くなっている事を差し引いても明らかに不自然な強さだったわよ。何というか、外側がホワイトゴブリンで、中身はブラックゴブリン……みたいな? そんな印象を受ける奴等だったわ」


 「あれだけ強かったっていうのは置いとくとして、そもそもホワイトゴブリンって何なんだ? ハイゴブリンの上? それとも全く別の種族?」


 「ハイゴブリンの上は無いわよ。通常のゴブリンとホワイトゴブリンの間くらいの強さね。もしかしたらハイゴブリンの上位種も居るのかもしれないけど、私は知らないわ」


 「ゴブリンの正統進化は、ゴブリン、ホワイトゴブリン、ブラックゴブリン、シルバーゴブリン、ゴールデンゴブリンとなります。一部では白ゴブとか黒ゴブとか言われてますね」


 「他にも同じ進化をするのがコボルトとオークよ。そしてオーガは、オーガ、ブルーオーガ、グレイオーガ、パープルオーガ、クリムゾンオーガとなるの。色で判別できるけど間違わないようにね」


 「となると、さっきのは正統進化先? 今ごろ急に出てくるのはともかくとして、あの強さは2人が言うようにおかしい? 普通はもっと弱い?」


 「というより、ホワイトゴブリンの連携は通常のゴブリンよりマシという程度です。明らかに先程のホワイトゴブリンは違いすぎます。通常のと言うと変ですが、通常のホワイトゴブリンは自警団ぐらいでしかありません」


 「それも新人の自警団、もしくは新兵ぐらいよ。連携っぽい事をしてくるぐらいね。それでも能力があるし考える頭もあるから、ゴブリンよりは厄介よ。でも、普通はその程度でしかないの」


 「そう聞くと、さっきのは普通に連携してたっつうか、上手く連携してたな。明らかに新兵というか、慣れていない奴の動きじゃなかった。明らかに戦いに慣れている奴の動きだったぞ」


 「そうよ。だから私もキャスティも明らかにおかしいと言ってるの。そもそもホワイトゴブリンがあんな動きをしてくるなら、世の狩人や探索者は簡単に死んでしまうわ。流石にそれはない」


 「ですね。可能性としては人数が多すぎた……というのは無いですね。もっと大人数で攻略している組織もありますし、20人程度までなら普通の事です。となると……」


 「可能性が一番高いのは、稀人だからね。死んでも復活する稀人だから、強力なボスをぶつけてきた。そもそもダンジョンにおけるボス戦は試練とも言われてるわ。可能性としてはそっちの方が高いでしょう」


 「死んでも復活するからと言って、新兵程度の者をベテランにするのは止めてほしい。幾らなんでも一気に腕が上がりすぎ」


 「本当にね。私なんにも出来なかったし、やっぱり【投擲】を習得した方がいいかな? でも両手が塞がってるんだよね……。盾とメイスだし、新しい魔法を習得した方が良いのかな?」


 「何かしら相手を崩すモノが要るよなぁ。それが魔法かスキルかは別にして。まだまだスキルレベルも上がってるっぽいし、これからかな? 結構色々なスキルの書き込みも見たし」


 「【魔刃】スキルの大本と言えるスキルでしょ? 何でも【魔力転化】というスキルを持ってると使えるらしいね。武器に魔力を纏わせた後、それを刃にして飛ばすんだって。ようやく【魔刃】スキルが解明されたって、掲示板が物凄く盛り上がってたよ」



 【魔力転化】ねえ……そんなスキルもあるのか。ラスティアは全ての魔力系スキルの基本は【魔力操作】と【魔力感知】にあるって言ってたけど、【魔力転化】というスキルも応用なのかな? となるとマニュアルでも出来る?。



 「ラスティアは結構前に【魔力干渉】の話をした際、【魔力操作】と【魔力感知】が基本だと言ってたけどさ、もしかして【魔力転化】というスキルが無くても魔力の刃を飛ばせる?」


 「……多分だけど、出来るとは思うわ。基本的に応用は基本さえあれば出来る筈だからね。当然あるのと無いのでは難易度が大幅に変わるけど。でも出来なくはない筈よ」


 「それはともかく転移魔法陣も登録したんだし、そろそろ26階に行こうぜ? 既に草原が見えてんだけど、見てるだけってのもなあ……」



 そういえばそうだったと思い、僕達は26階の草原へと進む。その階には草原の緑とは似つかわしくない白い人型が見える。そうホワイトゴブリンなんだけど、遠くにホワイトコボルトとホワイトオークも見えている。



 「何だこの階。ホワイト系の魔物ばっかかよ。進化済みって事は結構強いんだろうし、俺達の実力じゃこの辺りが限界か? そもそもこのダンジョン凄く深い気がするけど、どこまであるんだろうな?」


 「ダンジョンの最深部に到達した者は、歴史上、誰も居ないと言われてますね。どこまで深いのは分かりませんが、魔物もどんどん強くなりますし、50階からは怖ろしくなりますので」


 「怖ろしくなる?」


 「50階以降は、おかしな階層が出てくるのよ。例えばゴブリンの王国とかね。階全体がゴブリンの王国で、キングとかを倒さないと先に進めなくなってたりするのよ。あの辺りから異常なほど難易度が跳ね上がるから、最深部まで到達出来た者が居ないの」


 「中にはドラゴンが飛び交う場所もあるそうですよ? どうやっても攻略不可能でしょう、そんな階層。稀人なら復活するので何度も挑戦できるのかもしれませんが、普通の者には無理ですよ」


 「おっと……敵に見つかったから、そろそろ会話は止めようか。まずはホワイトゴブリンだが……」



 前線でユウヤが戦うものの、出てきたホワイトゴブリン2体は唯のザコで、多少連携っぽいと言える行動をするぐらいだった。横のゴブリンとタイミングを合わせて攻撃するという程度でしかなく、ボス戦とは違いすぎて拍子抜けした。



 「ここまで違うなら、さっきのホワイトゴブリンはシルバークラスでも間違いじゃ無い? それぐらい連携が出来てない。一緒に動いてるくらいでしかないし、たぶん自警団よりも酷いと思う」


 「私達も久しぶりですけど、これが普通のホワイトゴブリン……ですかねぇ。納得は出来るんですけど、そうなってくると貴女の言う通り、先ほどのホワイトゴブリンはシルバーゴブリンと変わらない連携でしょう」


 「少なくとも、さっきのホワイトゴブリンの連携は、前に戦った獣王国の正騎士クラスぐらいはあったよ。実際なかなか崩せなかったしね」


 「正騎士と言っても実力差は大きいんだけど、確かにあの時の奴等は、レベルは別にしても連携は上手かったのよねえ。確かにアレぐらいあるとなれば、シルバーゴブリンに匹敵するくらいには上手だったと言えるのかしら」


 「となると尚の事ボスが強すぎますけどね。ホワイトゴブリンの能力でも、シルバーゴブリン程に連携してくるんです。ホワイトゴブリンと戦える程度の腕だと、あっさりと殺されますよ」


 「それが稀人への試練と考えたら大変ねえ……」



 ラスティアが僕達を見て同情してくるけど、君も巻き込まれてるって自覚ないの? 僕の使い魔だよ?。


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