0228・甲殻の使い道
まだ夕食までには時間があるけど……まずはスノートレウッドと甲殻で作ってみる。これがどの程度かによって、防具に使うか使わないかは決まる。お手軽簡単なラウンドシールドにしたけど果たして……。
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<盾> 雪怪木と大槌蟹のラウンドシールド 品質:7 レア度:3 耐久:520
スノートレウッドとビッグハンマークラブの甲殻で出来た盾。魔力を通して強化する事も出来ると同時に、水属性や氷属性にも耐性を持つ
破壊力減少3 魔法攻撃減少3(魔力強化時) 水属性耐性(小) 氷属性耐性(小)
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んー……思っているより優秀なのかな? それなりだとは思うけど、たぶん純粋な防御力だと白曜石製の方が強い。それでも属性防御の事を考えれば優秀だと思う。これで分かったのでちょっとやってみようか。
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<鎧> 大槌蟹の甲殻の革鎧 品質:4 レア度1 耐久160
普通の革鎧にビッグハンマークラブの甲殻を取り付けた物。革と比べて高い防御を誇るものの、修理できない事に気をつけよう
防御力12(闘気強化時14)
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耐久力が低くて弱いなぁ。とはいえ良い革なんて持ってないし、プレイヤーマーケットにも出てない。おそらく<皮革師>が作った革は取り合いになってるんだろうなあ。僕は適度にしか見ないから、防具作りをしている人に取られてしまって見ないんだと思う。
金属鎧を着けると敏捷に結構なマイナスを受けるって聞くし、それは筋力が高いプレイヤーでも変わらないそうだ。流石に足が遅くなったら戦いの危険度が上がってしまうので、それは僕には出来ない。やれるのは盾を使う人だけだと思う。
僕達の中ではキャスティだけかな? 他の皆は流石にちょっと無理だ。シグマはそもそも交換できないし、ファルとセスはスケルトンだから重い装備は基本無理。となると金属鎧はキャスティしか無理なんだけど……。
「私は元々金属鎧など着けません。金属鎧を着て十全に動くには【重鎧】スキルが必要ですし、プレートアーマーなどになれば【全身鎧】スキルが必要です。それらが無いと動きがぎこちなくなりますし、上手く体も動かせません。そこまでして着ける物かといえば……」
「まあ、そこまでする価値は無いわねえ。よほど前線で押し込む役目でもない限りは、基本的に避けるもの。戦争とかの、どうしても敵の攻撃が避けられない戦いなら仕方ないけど、普通の戦闘では避けるのが基本だしね」
「普段の戦闘では私達のような盾持ちが前を支えている訳ですが、それでも戦争時のような逃げる隙間も無いという訳ではありませんからね。ですので回避が基本です。魔物との戦闘では、強力な攻撃などを捌いて相手に隙を作らせるのが盾の役目ですからね」
「私はそこに一撃を加えている訳なんだけど、盾が居ないと思いっきり攻撃できる隙が無いのが現実なのよねえ。かつては中距離だと鞭を使ってたけど、それはソロが基本だったからだし、暗殺者である以上は固定のパーティーなんて無理だったもの」
「<職業:暗殺者>と本物の暗殺者は違いますからね。貴女は<職業:暗殺者>であり、本物の暗殺者でもありましたから」
「それってどういう事?」
「<職業:暗殺者>の場合は、あくまでも魔物との戦いにおいて急所を狙って倒す者なのよ。本物の暗殺者っていうのは、当然ながら暗殺稼業の者の事よ。<職業:暗殺者>だと身のこなしなどに補正が掛かるからね、暗殺稼業じゃない<職業:暗殺者>って多いの」
「ただカメレマンのように暗殺稼業をやっている者も<職業:暗殺者>なんです。職業が暗殺者だからといって必ず暗殺稼業をしている訳ではありませんが、普通の人よりも疑われます。なのでイメージは良くないですね」
「へー……」
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<棍棒> 雪怪木と大槌蟹の硬殻の棍棒 品質:7 レア度:3 耐久520
スノートレウッドで出来た棍棒に、大槌蟹の硬く重い甲殻を付けただけの物。しかしながらその威力は高く、硬い甲殻を使った打力は強い。魔物の甲殻を使用しているとはいえ優秀な品
攻撃力19 破壊力7
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サブ職業:錬金術師・下級のレベルが上がりました。
※【錬金術】スキルに【抽出】が追加されます
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【抽出】って事は、これからは金属を取り出す際に、指定の物以外が消えるって事は無くなるのかな? とりあえず久しぶりに覚えた【錬金術】スキルだ、じっくりと検証したいところだけどファルが呼びにきた。なので、ここまでにして食堂へと移動。
師匠に肉を獲ってきたか聞かれたので、先へと進む際に獲ってきた事を話す。やはり食べたかったのか凄く喜んでいるが、師匠ならとんでもないレベルの肉とか、簡単に獲ってこれると思うけどなぁ。
「何を言うておるのだ、コトブキよ。そんな面倒な事を妾がする訳がなかろう。……まあ、それは冗談じゃが、ここを離れておる間に瘴気が蔓延しても困るのだ。だから迂闊に長期間、家を空ける訳にはいかん。何かあった時に他の魔女や聖人どもが協力するならば良いがな」
「普段は<破滅>が何とかするけど、何かに協力させるなら巻き込むぞ。って事でしょ? 凄くあんたらしいとは思うわ」
初めてのイベントで家を空けてたけど、あれも一週間くらいだったしね。更には僕が<澱み草>を抜いてたし。だから問題が起こらなかったんだろうか? いや、そもそも深層と最深部には行けてないし、そこまで浄化できてる訳でもない。
僕が出来てた事は小さいから、一週間ぐらいなら問題無いんだろうね。師匠もちょこちょこ回ってるみたいだし。
夕食を終えた僕はソファーのある部屋へ行き、そこからマイルームへ。皆を召喚し、一旦ログアウト。リアルでの諸々を終わらせたらログインし、師匠の家のソファーの部屋へ。
今は夜だけど、悪魔の星は24時間薄暗いだけでしかない。十分周囲は見えるので、浅層と中層の<澱み草>を抜いておこう。今日は本を読まないが、師匠の家の蔵書は粗方読みつくしてしまったのもある。おそらくもっと上のレベルの本は僕にはまだ早いんだろう。
浅層でも<澱み草>は簡単に見つかるが、ちょっとした興味が湧き、抜かずに直接【クリア】を使う。すると<澱み草>は萎びて縮んでしまった。初めてやってみたが、見た事の無い反応だね?。
鑑定しても内容は変わらないが、萎びてしまって死んだようになっている。この方が抜きやすいので浄化してから抜こうっと。辺りをウロウロしつつ、僕は浅層の<澱み草>を全て浄化してから抜ききった。
時間が時間なので師匠の家に戻り、トライボーンウルフに焼いてもらったら、家の中に入ってソファーの部屋へ。何故か師匠が居たので話す事に。
「このような時間に何処へ行っておったのだ?」
「あまり抜いていなかったので、本格的に<澱み草>を抜いてきました。表のトライボーンウルフに先ほど処理してもらいましたが、起こしてしまいましたか?」
「いや、そもそもまだ寝ておらんでな。最近、夜になると居らぬようになるが、どうしたのだ?」
あっ、そう言えば師匠には説明してなかったな。なので師匠にマイルームの事を話すと呆れられた。
「そのような所へか。神どもも何を考えておるのか知らぬが……まあ、分かった。使い魔か召喚モンスターでなければ入れんのであろう。ならば妾が行くのは無理だな。残念ではあるが仕方あるまい」
そう言って師匠は自分の部屋に戻っていった。言いたい事は分かるんだけど、師匠が来ると訓練場で魔法をブッ放す光景しか思い浮かばないね。皆が訓練出来なくなるから、来れなくて良かったよ。
ソファーの部屋からマイルームに飛び、囲炉裏の部屋でログアウト。今日はここまで。




