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0225・魔法の使い方




 弓矢ではお金が掛かる以上、遠距離武器として魔法は優秀だ。威力などではなく、消費するのがMPだけなのでお金や素材を消費しない。その反面、遠距離攻撃としては致命的なフレンドリーファイアが発生しやすい。


 投石であろうが弓矢であろうが発生するが、魔法の場合は爆発したり周囲に飛んだりするものもあり、味方への被害を考えると使えないものが多いのだ。範囲魔法が使いにくいと言われる理由だね。


 今はスノートレントが相手だから問題ないけど、素早い魔物相手だと魔法じゃ厳しい事も多い。当たらない事も多々あるので、このゲームの魔法使いの大半が魔法オンリーじゃない理由でもある。



 「攻撃が当たらない、攻撃できない魔法使いなんて役に立たない。それに範囲魔法は開幕で使うだけで、後は単体魔法で戦うのが普通の魔法使い。バインド系で拘束する人も多いみたい。ただ、魔物のレベルが上がると効きが悪いって書いてあった」


 「私も読んだよ、それ。すぐに拘束が外れたりして役に立たないって。それに最初から掛からない事も多いから、レベルが高そうだと思ったら諦めた方がマシみたい。無駄なMPは使わない方がいいらしいよ?」


 「効かないなら確かに無駄だとは思うけど、単体攻撃魔法って今はそこまで強力なものが無いしねえ。ダメージディーラーである魔法使いが、地道に削る役目を負ってるっていうのも面白いといえば面白いのかな」


 「戦闘で活躍しようと魔法使いを始めた奴等は、軒並み厳しい状況に陥ってると思う。何と言っても他のゲームと違って活躍が難しいし、スキルを使ってればいいゲームじゃない。色々しないといけないし、色々経験しないと強くなれない」


 「それって今の私達も同じだよね? 素材が必要だからって同じ事の繰り返し。お金儲けの為にも必要だけど、同じ事を繰り返してるのは間違い無い。もう少し色々工夫した方がいいかな? あの子みたいに」


 「スパイクシールドはナツには似合わないと思う。それはともかく、ナツも最近は魔法を使わず殴ってる事が多い。少しは【浄化魔法】を使うべき」


 「使ってるよー。でも、なかなか上がらないみたい。工夫が足りないのか、それとも使い方が足りないのか分からないけど、最近は上がってる感じがしないんだよね」



 ナツが魔法陣を生み出して魔法を使う。もしかしたら同じ魔法陣の魔法ばかり使ってるからかもしれないし、スキルで使うのも経験なんだろうか? 僕の場合はすぐにマニュアルで扱うから、スキル使用のオート魔法なんて殆ど使わない。


 それが原因でスキルレベルが上がらない何て可能性も……。とりあえずスキルで魔法を使お、いや待てよ? 師匠は魔力の篭め方などで変わるって言ってたし、もしかしたらそういう工夫が足りないのかも。


 そっちの方が可能性はありそうだな。少なく篭めて発動だけさせるけど、代わりに魔法を連発するとか? バインド系なら上手くやれば嵌まりそうだ。拘束時間が短くても連続で拘束されたら、結果として拘束され続けているのと変わらない。


 洞窟まで戻ってきたのでフリーズベアと戦い、その戦闘で発動限界ギリギリの魔力しか篭めず【セイントバインド】を連発してみる。すると、すぐに解除されるものの、何度も拘束する事で動けなくする事が出来た。



 「すぐに解除されるなら、連発すればいいじゃない」


 「パンが無ければケーキを食べればいいっていう、プロパガンダじゃないんだからさ。そういう言い方は止めてほしいなあ。単に工夫が足りないって思って工夫してみたんだけど? 消費MPも発動する最低限まで落としてるんだよ、さっきの」


 「そうなの? 消費MPって減らせるんだ。いっつも適当にしか篭めてなかったよ。だいたいこんな感じって思って使ってたから」


 「予想以上に適当で脳筋な事に驚く。神官のイメージ的にはメイスと盾は間違ってないけど、中身が脳筋思考なのは間違ってる気がする。……いや、間違って無い?」


 「どうなんだろうね? 戦国時代もそうだけど、宗教者が当たり前に戦争に参加してる時代もあるし何とも言えないかな。実際に人を殺してる訳だし、それを許してたんだからさ。同じ神を信仰していないと異端者として殺されたりもする訳で……脳筋というか思考停止の部分はあったんじゃない?」


 「そもそも宗教なんて思考停止だよ? だって神様の教えに従うだけなんだしさ。誰かの意見に唯々諾々と従うだけなんて、奴隷と変わらないしね」


 「ナツはハッキリ言いすぎ。世の中には面倒臭い奴等も居る」


 「もちろん分かってるよ、面倒な連中の前では言わないし。それに今の世の中の宗教なんて、お金儲けしかやってないしね。だって、世の中が昔の宗教者の教えを超えちゃってるんだもん。教えなんて無駄でしかないよ」


 「この話は続けても意味が無いから止める。それよりスマッシュタイガーも倒し終わってるし、スノートレントとの戦いの準備」


 「は~い」



 ナツっていきなり現実主義的な部分が出てきたり、辛辣な事を平然と言い始めるからなぁ。何かあったんだろうけど、そこは深く聞くべきじゃない。というか、聞きたくない。


 僕が【ダークウェーブ】を放ち、群れとの戦闘を開始。そういえば今思い出したけど、【精密魔力感知】が無いとトレントを見分けるのは大変なんだっけ? 自分が使えるから当たり前すぎて忘れてた。


 通りでイルが豪雪山についてきてほしいって言う筈だ。遠距離攻撃に乏しく、かつトレントを判別出来ないなら迂闊に戦えないよねえ。2人はまだトレントが居る場所を知ってるからマシだけど、本来は探すのすら大変な訳だし。


 適当に魔法を使いつつ前線を盾組に任せていると、イルはシグマの後ろから魔法を連発していた。ナツはセスの後ろから連発しているし、ギリギリの消費MPで魔法を使ってるっぽい。



 「ギリギリで魔法を連射するのと、大量の魔力を篭めて大きいのを撃つのと、どっちが優秀なのかな? コスパは大きい方が良い気がするけど……」


 「細かいのが当たると嫌がってるのと、相手の弱点属性だと連射の方が追加ダメージが大きい気がする。コトブキの連射と比べても変わらない感じで倒せるから、おそらく間違ってはいない」


 「僕の魔力と精神は25だけど、それよりも低いならイルの仮説は正しいかもね。ただ、正確なところは分からないし、相手の強さによっても変わってくるんじゃないかな? 相手の魔法防御が高いと、細かい魔法じゃ碌に追加ダメージが出ないかも」


 「相手の魔法防御が高いと弱点属性でも碌にダメージが出ないし、魔物によっても凄く変わるから考えても無駄よ?」


 「そうですよ。弱点を知る事は重要ですが、魔物によって相当変わります。フリーズベアとアイススライムの弱点が同じだとしても、かたや硬い毛と皮に覆われており、かたや粘生体でしかありません。そういった防御というのも考慮しなければいけないのです」


 「人間種でいうところの鎧とかね。防具を着けている者と裸の者が同じ防御なんてあり得ないし」


 「確かにそうだね。となると消費MPが増えるだけ損だから、細かいのを連発するのはバインド系が一番いいかな?」


 「チャンスを作るという意味で、今のところは一番適しているでしょうね。ただし消費は結果的に大きくなるので、早く仕留める事が重要です」



 篭める魔力が少ないと失敗も多いので、そこまで有用な魔法の使い方でもないかな。こうやって色々と試していかなきゃ伸びないだろうと思ってやったけど、効果あったかな? あればいいんだけど……。


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