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0224・屍人の森に帰還




 夕方過ぎの王都の中を歩き、目立たない場所へと移動する。誰も見ていない事を確認したら転移札を取り出して魔力を注ぐ。結構な魔力を籠めると、ようやく転移が始まった。残り1割くらいしかMPが残っていない。


 それでも次の瞬間には師匠の家の前なんだから、本当に凄い。転移というのは強力だ。そんな事を思いつつ修羅スケルトンやトライボーンウルフ、リビングアーマー・ミラーに挨拶して師匠の家に入る。


 中が静かなので不思議に思うと、師匠が出てきた。僕が挨拶すると食堂に呼ばれたので移動する。食事をとってなかったので食事をとりつつ話し、多少話せたところで一旦ログアウト。現実へと戻る。


 雑事や夕食、お風呂の後に部屋に戻ってログイン。今日は本を読まずに師匠に説明を行う。



 「ふむ、人質にとられておった所為で奴隷売買に協力するしかなかったか。それにしても<影の栄華>とは、何とも阿呆な連中が出てきたもんじゃのう」


 「師匠はご存知なんですか?」


 「いや、知らぬ。ただ組織名まで名乗って犯罪をするなど頭が悪いと思うてな。こういう輩どもは、どうして承認欲求が強いんじゃろうの? 無駄にアピールするのは阿呆のする事であろ?」


 「まあ、それはそうですね。黙って符丁だけで行えば、もっと見つかり難いんでしょうけど……。こういう奴等って、何故か組織名を名乗っているイメージはあります」


 「そうよ。どいつもこいつも目立って認められようとしているとしか思えん。何故かああいう連中は自分達は凄いのだと主張し出すのだ。捕縛する側としたら簡単で良いのだがな。それとトモエはサインの所に戻ったぞ」


 「あれ? <支配の魔女>の所に戻ったんですか? まあ、マイルームに退避させれば転移札で移動は出来るけど……」


 「いや、サインが直接来て連れて行ったぞ? 何でもそろそろ新しい魔物を捕まえてくる課題を出すとか何とか。サインは多少なりとも弟子を増やしたらしいの、妾はわざわざ増やそうなどとは思わぬが」


 「そうなんですね。弟子にしてくれと言われて押し切られたのか、それとも見所のある人が居たのかは知りませんが……。そういえばナツとイルは?」


 「あの2人ならまだ居るぞ。転移札も持っておらぬし、転移しようとするなら王都まで行かねば無理であろう。何より、あの2人は未だ豪雪山へと行っておる。金儲けもさることながら、自らの力で戦おうと頑張っておるようだ」


 「急に2人になったら大変でしょう。豪雪山とてそこまで敵が弱い訳ではありませんし、フリーズベアもかなりの強さですし。僕は明日から近くのダンジョンへと行きます。神様のダンジョンではビッグフットが出てきて、アレには勝てないと思いましたので」


 「ビッグフットか……あれも雪山などに出てくる魔物だな。前にも言うたが、ビッグアームも共に出てくるし、確かにアレは厳しかろう。地道に実力を上げた方がよい」


 「僕もそう思っているのですが、ここ最近は依頼で忙しく、碌に実力もつけられませんでした。特に移動ばかりで暇な時間を過ごすのが大変だったんです……」


 「転移が使えねば、普通の旅などそんなものよ。そこは諦めるしかないの」



 師匠との話が終わり、僕はいつものソファーの部屋へ。寝転がって目を瞑ったらログアウト。今日はここで終了。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 10月3日 火曜日 AM8:17



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:セスの【氷魔法】に【アイスバインド】が追加されました


 ―――――――――――――――



 今日からはやっとレベル上げや素材収集が出来る。起き上がった僕はマイルームへと移動し、倉庫に売り上げを仕舞ってファルの作成した物を売りに出す。それが終わったらラスティアとキャスティを連れてソファーの部屋へ。


 ファルも呼び出して師匠のスケルトン・クラフターの手伝いをさせ、僕達はダラダラと待つ。ファルが呼びに来たので移動すると、既にナツとイルも来ていた。



 「おはよう。今日は2人が居る日だったんだね。交互にログインするのは続いてるのかな?」


 「おはよう。そう、今も交互のログインは変わらない。それよりコトブキは女王からの依頼が終わった? なら豪雪山に付き合ってほしい。やはりナツと2人だけじゃ厳しい」


 「おはよう、コトブキ君。ユウヤが居てくれた日は何とかだったけど、それでも随分厳しかったよ。特にスノートレントの群れが大変だったよね? 私達は範囲魔法とか持ってないし。流石に駄目だって事で、イルも魔法を覚えたよ」


 「【火魔法】を覚えたけど、あまり使えていない所為で低レベルなまま。コトブキの召喚モンスターが前に出てくれると使いやすい。2人や3人だと早く倒す方が先になる」


 「だろうね。豪雪山の素材もまだまだ要るし、僕の方も問題ないよ。午後からはダンジョンに行くけどね。セスが居るから1階から攻略しなきゃいけないけど、こればっかりは地道に進まないと仕方ないからさ」


 「私達はどうする? そろそろ運営ダンジョンって所に行ってみようか?」


 「うん。流石にそろそろ攻略しなきゃ駄目。行ける所までは行くけど、何処まで行けるかは不透明。とはいえ、ソロ専用ダンジョンだから、そこまでの難易度ではない筈。パーティーを組める職業だと難易度が上がるらしいけど」


 「それは知らなかったよ。とはいえ、ソロ専用の癖に妙にボスの数が多いとは思ってたけども。皆は1人しか行けない所へ徒党を組んで行くんだから、難易度が上がるのは当たり前か」



 朝食を終えたらマイルームへ行き、防寒具を着るなどの準備を済ませ、師匠の家に戻って外に出る。ファル以外の皆を呼び出したら、ナツとイルと共に豪雪山へ。右へと進んで行き魔物と戦う。



 「私達2人の時は大変だったよ。私1人じゃ魔物全部を止められないし、イルが攻撃されたら弓を使えないしね。おかげで魔物を倒すのも大変だったんだ」


 「私も短剣で戦ってたけど、そこまでダメージを与えられる訳じゃなくて大変。魔物も素早いし、短い武器だと近接は不利。やっぱり長柄が必要になる」


 「今さらといえば今さらだし、もうちょっと魔法のレベルを上げてからにしたら? スキルも30個までしか持てないしさ。あんまり焦っても良い事ないと思うよ?」



 話をしながらもイルに【火魔法】を使わせ、スキルレベルを上げさせる。雪山だからなのか、【火魔法】が効いているのか効いていないのか分からない。逆パターンのゲームもあるので難しいところだ。


 寒い所では【火魔法】を使ってもダメージが低かったり、あるいは弱点扱いでダメージが上がったりとゲームによって違う。<レトロワールド>では敵のHPゲージすら出ないので、効いているのか効いていないのかイマイチ判断がつかない。


 それでも倒せているところを見るに、ダメージが減っている感じはしないね。イルも【身体強化】を持っているので、魔力を上げているから効いている? むしろ同じように【身体強化】を使うユウヤが、何故魔力を殆ど上げていないんだろうか?



 「どうせ魔法を持ってないから必要ないとでも思って、そのままズルズルとして忘れてるんだと思う。もしくは鍛冶の為に器用を上げてるかのどちらか」


 「まあ、どっちもユウヤらしいとは思う。後で響かなきゃいいんだけど……っと、そろそろ林に【ダークウェーブ】を使うよ?」


 「了解」 「いいよー」



 僕がスノートレントのいる林に魔法を放つと同時に、仲間達も魔法を放つ。先程の戦いでもセスの【サンダーバインド】は活躍していたが、スノートレントは動きが遅いから無理しなくていいよ。


 この程度の速度ならイルも簡単に当てられるし、ウサギのように小さくないしね。


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