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0223・王都へと帰る




 デボンに着けていた煉獄の枷を外す。既に泡を吹いて気絶しているが、僕はそのまま兵士に預けた。国がどういう結論を出すのか知らないけど、妙な裏組織があるのだけは分かった。それがプレイヤーの敵なのか、それとも勝手に潰れるのかは知らないけどね。


 それよりも僕達は次期伯爵とガロイ氏と話し、報告内容を詰めていく。僕達もベイズ氏に報告しなきゃいけないからね。それを詰め終わったら、僕達は伯爵邸を後にして公園のような場所へ。


 そこでマイルームに入り、全員を呼び出す。残っていたドースに声を掛けて呼び出す事を伝え、囲炉裏の部屋でちょっと早い昼食をとったらログアウト。リアルでも早い昼食をとって雑事を熟したらログイン。


 町を出てドースを呼び出したら、背に乗って一気に駆けていく。相変わらず走るのが嬉しいのか、驚くほどの速さで進んで行き、カイム町に着いた。町に入って宿の部屋を確保、ドースをマイルームに呼んだら夕食へ。


 酒場で夕食を食べたら宿にさっさと戻り、部屋からマイルームへと飛んだら囲炉裏の部屋でログアウト。今日は終了。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 10月2日 月曜日 AM8:21



 今日も雑事を終わらせたらログインするんだけど、今日も一日移動だけで終わりそう。仕方がないとはいえ、碌に戦いも出来ずに一日が終わるのは時間を無駄にしている気になってくるね。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:セスの【浄化魔法】に【セイントバインド】が追加されました

 召喚モンスター:セスの【雷魔法】に【サンダーバインド】が追加されました


 ―――――――――――――――



 ログインして起きた僕はプレイヤーマーケットの売り上げを倉庫に入れ、ファルが作ってくれた物を売りに出す。倉庫の中に入っていたファルのサンドイッチを食べ、宿の部屋へ移動した僕は町を出る。


 少し歩いた後でドースを呼び出した僕は、今日も背に乗り移動を開始する。スキルや身体強化を使いつつ素早く移動するドースの背で耐えながら、そのまま村を通過させて移動を続ける。


 昼前にセッテア町に着いたので中に入り、公園のような場所を発見したのでそこで昼食をとる。プレイヤーマーケットで買ったハンバーガーを食べ、水分をとったらログアウト。リアルでも昼食をとる。


 諸々の雑事を終えたらログインし、見張っていてくれたドースを労って町の外へ。再び疾走するドースの背で耐えながら王都へと移動していく。それにしても移動だけなので暇だなぁ。


 その暇にも耐え、夕方前には王都に着いた。ドースの背で出来る事といったら高度な仙力を練る練習ぐらいしかない。それも大変だけど、暇潰しとして出来るだけマシだ。ドースの背で耐えながらだから鍛えられた気もするし、良い暇潰しだったかもしれない。


 王都に入り宿をとって確保。マイルームへと行ってドースを召喚したら、宿の部屋へと戻って<ベイズナムラ>へと移動。酒場に入るとベイズ氏がカウンターの中に居たので挨拶する。すると、近くに居る人にカウンターを任せ2階へと案内された。


 前回も訪れた1室に案内されたので座り、僕が説明しようとすると不自然に影が伸びる。そこから現れたのはマリアさんだったが、いつ僕が王都に戻ってきたって知ったんだろう? もしかして魔力反応か何かだろうか?。



 「お帰り。どうやら無事に情報をとってこれたようだから聞きたいのだけれど、良いかしら?」


 「それは構いませんが、そこまで難しい事ではありませんでしたよ?」



 僕はマリアさんに伯爵の側室と娘が人質にとられていた事。そして脅される形で奴隷売買をさせられていた事。<デボン商会>のデボンという奴が脅していた事と、そいつは<影の栄華>の一員だった事などを報告。



 「ふ、ふふふふふふふ。下らない裏組織だから見逃してあげてたけど、それで頭に乗ったようね? よほど滅ぼされたいらしいから、ちょっとだけ本気でやってあげましょうか」


 「………」



 結構な魔力と共に凄まじい圧力が放たれている所為で、ベイズ氏が怯えきってるなぁ。……僕? 僕は問題ないよ。<BUSHIDO>だと、もっとシャレにならない人とか戦いとかあるから。



 「ふふふふふ。おっと、これ以上は駄目ね。さて、仕事をきっちり熟してくれたみたいだから、これが報酬よ」



 そう言ってテーブルの上に置かれたのは木の札だった。これってまさか……。



 「ええ、そうよ。せっかくだからという事で、<破滅>殿に竜木の転移札を作ってもらったの。使うと王都にある私の家の庭に飛ぶわ。一応言っておくと別宅だから、普段は管理する者達しかいないの。気軽に使ってくれていいわよ?」


 「激しく遠慮させていただきます。それよりもこれで終わりですが、何も無ければ帰っていいでしょうか?」


 「そういえば、さっき言ってた中にガロイのヤツに払った20万デルの話が無かったが? ヤツは少年から金を奪ったままか?」


 「いえ? 報告する内容などを話し合っている時に20万デルは返されています。ガロイ氏も敵を欺く為にやっていた事らしいので仕方なかったのでしょう、謝罪と全額返金はしてもらっています。当たり障りのない情報と、ちょっと伯爵を良く見せる誇張だけでしたので」


 「まあ、その程度の情報で20万はボッタクリだわな。とはいえ、敵を欺くには仕方なかったといえば事実か。情報屋として、そんな情報なら失格だが、脅されていたなら何とも言えないから仕方ない」



 結局ガロイ氏に関しては仕方なしとして、お咎めはないようだ。まあ、次期伯爵を助けようとしていた訳だし、それで罪に問われても……という部分はあるだろうね。情状酌量の余地は十分にある。


 デボンに関しては煉獄の枷を嵌めたので、間違いなく洗い浚い喋るだろう。女王は伯爵の血縁に重きを置く考えに対し溜息を吐いていた。もちろん悪い理由ではなく、気持ちは分からないが、よくある事だと言っている。


 ブラッディア国内において、アンデッドの貴族はあまり多くない。意図的にそうしているのだが、それは寿命のある者が居ないと発展しないからだそうだ。アンデッドだと長く生きられるので、どうしても考えが凝り固まるらしい。


 だからアンデッドで永く貴族を続けている者は多くないんだって。スカルモンド伯爵やサーヤ辺境伯は永いらしいけど、あれはダンジョンや<屍人の森>の管理と敵国との要衝を守らせる為みたいだ。


 ブラッディアという国は、基本的に他国に狙われにくい。西のサキュリアにとってアンデッドと争っても何の得も無い。南のダークフォレストも東のホオズキも同様で、争う理由が無い。だってアンデッドだし。


 結局は土地が欲しいというだけのビスティオしか喧嘩を売ってこない。彼の国は領土をそれなりに持っているが、使いやすい土地しか開墾しないそうだ。そのうえビスティオにはウルフマンやキャットマンなども多い。


 元々からして一ヶ所に定住して農業を頑張るという、農耕民族ではないんだ。彼らは狩猟場所を転々とする狩猟民族であり、だから余程良い土地じゃないと開墾して定住しようとせずフラフラと放浪するらしい。……定住せず魔物を狩って生活ねえ。


 狩猟民族が転々と放浪できる広い土地か、それとも他国民を支配して農業をさせるという事をビスティオは望んでいる。だからこそ領土欲が無くならない国でもあるんだと、疲れた表情で語るベイズ氏。……マリアさん? とっくに帰ったよ。


 僕もそろそろお暇したいんだけどね、何か愚痴ってて出て行きにくいんだ。どうしようと思っていると、ナムラさんが来て助けてくれた。これでやっと解放されたよ。勘弁してほしい。


 僕は挨拶だけして逃げるように酒場<ベイズナムラ>を出た。素早く宿へと戻り、部屋のキャンセルをしたら宿を出る。もちろん返金は受けてない。


 マリアさんから札を貰った時に気付いてさ。皆がマイルームに居るなら、転移の魔力は僕1人分でいいんじゃない? って。


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