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0222・戦闘の終わり




 「ブチコロセーーーー!!!!!」


 「ムッ!? ワタシノマネヲスルナ!」


 「別に真似てないとは思うけど? それにしても怒り狂ってるわねえ、面白すぎ。醜悪な顔が更に醜悪になってるじゃない。そうそうあそこまで醜い顔はできないわよ? ある意味では才能ねえ……そんな才能は誰も要らないけど」


 「ですねー。コトブキも言っていましたが、人相にハッキリと出ていますよ、醜さが。あまりにも醜くなっているのに、本人には理解できていないのでしょうね。まあ自分の顔です、あれで普通だと思い込んでいるのでしょう、きっと」


 「ガァァァァーーーーッ!!!!!!」



 2人の挑発も結構酷いよ? 何故かメチャクチャに【幻惑魔法】を乱発してるけど、自力か魔法で解除すれば済むので大した意味も無い。正直に言って無意味だ。



 「こすいラットマンだからスキルでしか【幻惑魔法】を使えないんだねえ。それにしても幻に頼らなきゃいけないなんて……プッ、こすい奴には良く合ってる。本当にお似合いだよ、その情けなさに。ブフーッww」


 「シネェェェェェーーーーーえっ?」



 ドォン!!! という音と共に、魔法に失敗して派手に吹っ飛んだ敵の兵とデボン。兵士は倒れたところを召喚モンスター達にボコられており、僕は素早くデボンの下に走る。


 ヤツが起きる前に煉獄の枷を強引に着け、奇声を無視して伯爵の方に向かう。ラスティアとキャスティも来たけど、あの伯爵は見た目の通りに強い。でも何故あの2人と対等に戦えるのかよく分からない。



 ―――――――――――――――


 <パストーレ・ラギル> NPC Lv18


 種族:魔人・優級

 メイン職業:剣士

 サブ職業:算術師


 ―――――――――――――――


 ―――――――――――――――


 <ロータス・ラギル> NPC Lv12


 種族:グレーターゾンビ

 メイン職業:魔法使い

 サブ職業:算術師


 ―――――――――――――――



 優級とグレーターは同じ位階なんだそうだ。上級、優級、超級、王級、始祖級。ハイ、グレーター、メジャー、アーク、オリジン。貴族階級の人だとメジャーではなくグランドとなるらしい。


 それはともかく、年季の差なのか押し切れない様子。僕とラスティアにフォグなどで【ダークヒール】や【羽虫】を連発するが、碌に効いていないようだ。やはり2つ上の位階の相手は簡単じゃないらしい。



 「ふっ、デボンが捕まったか。これで私も終わりのようだな」


 「父上、何故にこのような事をされました。貴方はこのような事をされる方ではなかった筈だ!」


 「私は先ほど言ったぞ、お前には分からぬとな。血の繋がった者ほど大事な者はおらんのだ!!」


 「父上……たとえ義理といえども、貴方からの教えは立派なものだった。しかし、その貴方がこんな「もしかして捕まってる?」事を……?」


 「いや、もしかして側室と娘さんはビスティオじゃなくて、何処かに捕まってるんじゃないかなーって……」


 「だとすると、父上は側室殿と娘の為に手を汚したと?」


 「………お前はいったい何者だ? チラリと見えていたが、何故お前のような怪しい者がここに居てデボンを捕縛した?」


 「僕はコトブキ。女王陛下から依頼を請けてここまで来た稀人ですよ。だから殺されても女王陛下の下まで情報を届けられるという訳です。なので、本当のところを話してもらえませんか?」


 「…………稀人は殺しても復活するという。最早これまでか。……確かにそなたの言うように側室と娘は人質にとられている。デボンはビスティオに連れて行ったと言うが、本当かどうかは分からん。ただ、それでも側室と娘の為にはこうするしかなかった」


 「では何故私には何も言われなかったのですか!! 話してくだされば!」


 「その時点で側室も娘もどうなるか分からん! ヤツは国内の裏組織である<影の栄華>のメンバーだ。あの裏組織は全容が明らかではない為、どこに組織の者が潜んでおるのか見当もつかぬ」


 「それは……そうかもしれませんが」


 「何度でも言う。お前には血の繋がった者への思いは分からん。これは子を為して次の世代へと繋ぐ種族にしか理解できんのだ。お前は優秀だ、されど分からぬものは分からぬ」


 「………」



 伯爵はそう言い、剣を放り投げた。抵抗をする気は無いらしい。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:セスのレベルが上がりました

 召喚モンスター:セスのレベルが上がりました

 おめでとうございます。召喚モンスター:セスは進化が可能です


 ―――――――――――――――



 とりあえずシリアスな場面なのは見ないフリをして、セスを進化させよう。進化先は……スケルトン・マジシャン・中級のみだね。それじゃあ、ポチっと。


 結局、伯爵の側室と娘が何処に居るかは分からないので、奇声が聞こえなくなったデボンから枷を外して聞き出そうか。僕はデボンから煉獄の枷を外し、腹を蹴り上げて起こしたら聞き出す。



 「ラギル伯爵の側室と娘を何処に連れて行った? 言わないと、またコレを嵌める事になるんだけどなー」


 「ヒィッ!? はな、話しますから許して下さい! お願いですから、それを嵌めないで下さい!! お願いします!!!」


 「だったら早く言いなよ。伯爵の側室と娘はどこ?」


 「わ、私の商会の地下にある秘密の牢に詰め込みました!! 伯爵に暴発されても困るので手は出していません!!」


 「本当かなぁ……嘘を吐いてるかもしれないし、枷はどうしよっかなー」


 「ヒッ! 勘弁してください。お願いですから、それだけは許して下さい!!」


 「だが、断る!!」


 「「「「「「えぇっ!?」」」」」



 デボンの訴えを棄却し、僕は再び煉獄の枷を嵌めた。しかも腕と足の両方にプレゼント。今デボンは聞くに耐えない奇声を上げながら喜んでくれている。ここまで喜んでくれると嵌めた甲斐があったってものだ。



 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」



 おっと、心の声が漏れていたらしい。何故か伯爵や義息にガロイ氏だけではなく、周りの兵士や仲間からもジト目で見られてるけど僕は気にしない。だって犯罪者だし。それに煉獄の枷では死なないからね。



 「そうなのですか?」


 「まあね。殺してくれと言うほどの激痛と絶望を味わうけど、何故か精神は正常なままで壊れる事も無いんだって。正しくは壊れる事を許してくれないらしいよ?」


 「「「「「うわぁ………」」」」」



 今度は何とも言いがたい顔になったね。気持ちは分かるよ、初めて聞いた時は同じ気持ちになったし。それよりもガロイ氏は恋人を助けなくていいの? 呪いは解けてるよ?。



 「??? 私の恋人はここに居ますが?」


 「そうだね。でも君と僕が恋人同士だとは思わなかったんじゃないかな? 貴族と平民の恋というのは簡単には実らないからさ」


 「ああ、それは確かに。それなら想像できなくても仕方ありません」



 いや、そうじゃないよ。まさか伯爵の義理の息子と恋人だとは思わなかったんだよ、だってどっちも男だし。何でこんな所でBLを入れてくるのさ、このイベント考えたの間違いなく「腐」の人でしょ?。


 ついでに息子とガロイ氏が恋人だという事に対し、何とも言えない顔をしている伯爵。アンデッドは子供を残せないからこそ同性愛者の割合が結構高い。なのでブラッディアでは普通に認められているが、伯爵は微妙に納得できないんだろうなぁ。


 特に子供への思いが強いからこそ、余計に納得がいかないんだと思う。そういう意味でも伯爵と義息が分かりあう日は来ないんだろう。人間種とアンデッド。分かり合えない部分もあるよね? って事。


 元々は人間種だったという事を差し引いても、分かりあうのは難しい。それよりも<デボン商会>に行って、伯爵の側室を救わないとね。僕がそう言うと、既に動いていた兵士達が戻ってきた。



 「デボン商会にて抵抗されましたが被害無く制圧。地下への入り口を発見し、囚われていた側室殿と御息女を発見致しました! 現在、女性騎士達が警護しながら館へと護送しております」


 「そうか……」



 妻と娘が助かったけど、伯爵自身は罪人だからね。素直には喜べないだろう。


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