表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
218/563

0218・町中をウロウロ




 「事実としてあるのは、<デボン商会>という商会の馬車が頻繁に伯爵邸に出入りしている事。それだけよ。後は全て人伝であったり、そういう噂があるというだけ。これで20万デルはボッタクリねえ」


 「どうなんだろうね? 他のものも合ってるかもしれないし、迂闊な事は言えないよ。それにもう支払っちゃったし、今さら返せとは言えないからさ。それよりも<デボン商会>に行ってみようか、何か引っ掛かるかもしれない」


 「そうですね。行ってみて何が売ってるかもジックリと見ましょうか」



 僕達は意見が纏まり、宿の部屋を出る。町の人に<デボン商会>の場所を聞くと、少々嫌な顔をされたが場所を教えてくれた。あからさまだったので、それぐらい町の人からは嫌われているらしい。


 僕達は<デボン商会>の店に行き、売っている物を色々と見ていく。特に気になるような物も無く、普通の品揃えの普通の店だ。全て鑑定したものの、おかしな物は何も無かった。



 ―――――――――――――――


 ※スキル:【総合鑑定】が規定のレベルに達したので、【総合鑑定・下級】にランクアップします。


 使い魔:ラスティアの【総合鑑定】がランクアップし、【総合鑑定・下級】となりました


 使い魔:キャスティの【総合鑑定】がランクアップし、【総合鑑定・下級】となりました


 ―――――――――――――――



 おっと、2人とも僕と同じように調べてくれていたらしい。3人揃って下級になるとはね。まあ、2人は元々もっと高ランクだろうけど。それより怪しい物も無かったので、これじゃあ何のヒントにもならない。


 僕達は<デボン商会>を出て、町中の他の店も調べる。別にコレと言った武具も道具も素材も無く、適当に幾つかの素材を購入して立ち去る。


 ………<デボン商会>を出てから尾行してくる連中がいるんだけど、あからさま過ぎて笑わないようにするのが大変だ。ときおり魔力がブレるので、おそらくは隠蔽系のスキルを使っているんだとは思う。僕達にはバレバレだけど。


 そういえば種族とメインとサブ、そして鑑定系のレベルと看破系、更にはスキルに関する知識がないと相手のスキルを鑑定できないらしい。大分前に盗賊にスキルを調べられた事があるけど、あの盗賊はメチャクチャ優秀な盗賊だったみたいだ。


 普通はそこまで鍛えたり勉強したら、公的な職業である鑑定士として雇って貰えるらしい。なので、あの盗賊も元々はそういう職業だった筈。おそらく何かしらの不正か何かをした結果、盗賊に堕ちたんだと思うけど。


 尾行してくる連中を【精密魔力感知】や【練気感知】で捉えながらも、僕達は気が付いていないフリをして町をウロウロする。色々見て回るのにそれなりの時間が掛かったので、既に夕方になっていた。


 僕達は食堂に行き、夕食を注文して適当な雑談をしつつ待つ。運ばれてきた食事を見ながら僕達は呆れてしまった。



 ―――――――――――――――


 <料理> ウルフ肉と野菜のスープ・毒入り 品質:5 レア度:1


 美味しいウルフ肉と野菜のスープに毒が入れられており、全てが台無しになった一品。毒を入れられた料理人は何を思ったのだろうか?


 ―――――――――――――――



 僕達は料理には手を付けずに立ち上がり、食堂を出た後はさっさと宿の部屋へと戻る。尾行してきていた奴等の反応が食堂の奥にあったうえに、あの鑑定結果だ。本当に呆れるしかない。


 毒が入れられている料理を食べるバカなんて居ないんだけど、鑑定されたらバレるって分からないのかな? 普通なら食べる物が無くて困るのかもしれないけど、僕は稀人だからね、何の問題も無い。


 宿の1人部屋に戻った僕達は、マイルームへと移動する。囲炉裏の部屋に集まって食事をとりつつ、先程の事を2人と話す。



 「尾行してた奴等は絶対にバカよ、そうとしか考えられない。幾らなんでも程度が低すぎる。魔力感知を多少妨害できるだけ、その程度の実力しかないのに何やってるんでしょうね?」


 「私達はここに逃げ込めば安全な食べ物も寝る場所もありますし、コトブキは稀人であり死んでも復活する。手を出した時点で失敗なんですよね。稀人相手には何もしないのが正解です。幾らでも復活する相手に何かやっても無駄ですから」


 「夜中に奇襲があるかもしれないけど、敢えて敵の思惑に乗ってみようかな? 仮に死んだところで問題ないし、向こうに更なる動きがあるかも」


 「ワザと死ぬってのもどうなのよ?」


 「もちろんタダで死ぬ気なんてないよ? でも死んだ筈のヤツが明日普通に町を歩いてたらどう思う?」


 「「………」」



 どうやら2人は僕の狙いに呆れたらしい。それはともかくとして、買った物を含めて”全て”倉庫に詰め込んだ僕は、初期服のみになってから一旦ログアウトする。お菓子はまだ残ってるから補充しなくても大丈夫。2人とも割と大事に食べてるみたい。


 リアルでの諸々を熟したら再びログイン。僕は何も持たず、一切装備せずに宿の部屋へと1人で戻る。宿から外に出て、町中を適当に歩いていく。宿の周りで見張っている連中が僕の後ろをつけてくる。本当に分かりやすい奴等だなぁ、まったく。


 それなりに引っ張っていった場所で後ろから走ってきた奴に攻撃されるものの、素早く前へと跳び、僕は連中の方へ振り返る。そこには明らかな盗賊顔の連中がニヤニヤしていた。



 「ケッ! オレ達の尾行に気付いてたんだろうが、宿を出てきたのがバカな証拠だ。明日の朝一で出て行きゃ見逃してやったもんを。死にたがりに付ける薬はねえ、さっさと殺っちまえ」


 「「「「「おうっ」」」」」



 前から敵が攻めてくるものの、僕としてはそこまで追い詰められている感じは無い。理由は当然ある。



 ―――――――――――――――


 <グオバドゥー> NPC Lv10


 種族:ゾンビ

 メイン職業;用心棒

 サブ職業:商人


 ―――――――――――――――



 ハッキリ言えばレベルが低いんだよ、コイツら。町のチンピラレベルなんだけど、何故か用心棒をやってるみたい。まあ基本的にはメイン職業って戦闘系だから、そんな職業なんだろうけどね。ただ他の連中は<メイン職業:チンピラ>って出てる。


 まさかメイン職業にチンピラがあったなんて……。町の一般人ですら、そんな職業の人は居なかったよ。用心棒とかチンピラってイベントでしか出てこないのかな? それにしても不思議な連中だよ。



 「ガハッ!!」 「グェッ!!」 「ゴバァッ!?」


 「くそ! てめぇら何をやってやがる、囲んで一気にボコっちまえ!! ガキ相手に何を梃子摺っギャアッ!?!!?」



 最初に声を掛けてきた偉そうな奴に、チンピラが持っていたナイフを投げてやった。見事に狙いを外さずに太腿に突き刺さったし、魔力強化をしていたからか深くいったね。かなり劣化したろうけど、僕のナイフじゃないからどうでもいい。


 他の奴等が落としたナイフも全て投げてやり、用心棒の手足に突き刺してやった。最早まともに用心棒は出来ないんじゃないかな? それとも正アンデッドはアンデッドだけに回復するんだろうか? ま、どっちでもいいけどね。


 結局、僕1人にすら勝てなかったチンピラ達は、用心棒を背負って逃げ帰っていった。さて、そろそろいいかな?。



 「そろそろ出てきたらどうかな? そこに居る”ガロイ”さん?」


 「………おやおや、まさかバレているとは思いませんでしたよ。予想外でしたね。メダルを持っているから嫌な予感がしたのですが、こうも当たっていると嫌になってきますよ」



 ―――――――――――――――


 <ガロイ> NPC Lv12


 種族:グレーターゾンビ

 メイン職業:細剣士

 サブ職業:吟遊詩人


 ―――――――――――――――



 げぇっ!? グレーターゾンビ!! おそらくハイゾンビの上だろうけど、勝てる訳がない。これは本格的にマズい……2度目の死亡はここかな?。



 「さて、私にも事情がありましてね。私の愛する人の為にも、貴方にはここで死んでもらいましょう」



 ……愛する人?。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ