0021・スケルトンホース
ポーン
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種族レベルが上がりました
メイン職業:ネクロマンサー見習いのレベルが上がりました
※スキル【屍命召喚】に新たにスケルトンホースが追加されました
召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました
召喚モンスター:セナのレベルが上がりました
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そろそろ昼か……結構集中してザコ敵を倒せたようだ。腐った肉が52個もある。木の棒で牽制できるし、ファルかセナの所に行ったら遠慮なくぶっ叩ける。最初に石を投げる事もあるし、上手く接近できたら不意打ちで叩き殺す事もできた。
流石にゾンビは無理だけど、打撃に弱いスケルトンなら十分に可能だ。何処から匂いを嗅いでいるのかは知らないが、スケルトン犬とゾンビ犬は不意打ちが出来なかった。まあ、そんな事はどうでもいい。それより新しい召喚だ。
【身体強化】を使いながら戦ってるので魔力は減っているが、回復するまでしばらく待とう。別に急ぐ必要は無い。歩きながらゆっくり戻り、途中で魔力が全回復したのでスケルトンホースの召喚登録を行う。
あっと言う間に魔力が1割を切ったが、無事にスケルトンホースを召喚出来るようになった。スケルトンホースという馬に乗れるようになったが、鞍を買うお金は無いので暫くはストンピング要員だろう。
そんな事を考えつつ師匠の家に戻ると、師匠は既に帰っていた。外にある椅子に腰掛けていて、何やら考え事をしているらしい。
「ただいま戻りました。師匠、帰ってたんですね。朝も居ませんでしたので何かあったのかと思いましたよ」
「たわけ。何かあれば、妾よりもこの国が保たんわ。先に潰す故にな。それよりもキッチリと止めは刺しておいたのでな、近々そなたの装備も金銭も戻ってくるであろう。全て戻ってくるかは分からぬが、少なくとも<神の贈り物>は戻ってくる筈だ」
「ありがとうございます。正直に言って戻ってこないものと諦めてました。まあ、次に同じ事があったら、今度は確実に殺そうと思ってましたが……」
「ふむ……よい面構えになっておるの。殺し合いとは非情なものよ。稀人であるから生き返るが、本来ならば死して終わりじゃ。魔女である妾が言う事ではないがの、命は最大限に保て、気を緩めるな。そして……敵は殺せ」
「はい、分かっています。殺られる前に殺れ……ですね」
「うむ。……それはそうと、その装備は如何した?」
「これは師匠のスケルトン・クラフターが、今日の朝にくれました。おかげで足が痛くないですし、戦いやすいしでありがたいです。【変形】のスキルは覚えましたけど、そっちの方は材料が揃ってからと思っていたのですが……」
「何かあったか?」
「いえ、先ほどスケルトンホースが召喚出来るようになりましたから、登録を済ませたので魔力が無いんです。暫く休憩してから、【乾燥】していこうと思っています」
「新しく使えるようになったのなら、そちらを優先して使え。難しいものの方がより良い経験になる。それに【変形】であれば壊れんから何度でも挑戦出来る。ただし下手な間は質が悪くなるから気を付けよ。あっと言う間にボロボロになるぞ」
「あっと言う間ですか……分かりました、頑張ります」
「まあ、後で見せてやる。まずは昼食としようかの」
師匠の家に入り昼食をいただく。その間にセナには腐った肉を食べさせておき、僕は十分に休めたので魔力は結構回復した。一旦現実に戻ってリアルでも昼食をとり再びログイン、魔力は全回復している。
【錬金術】の前にやっておこうと3体目の召喚モンスターを召喚、スケルトンホースを呼び出す。
………ロバ? 何だかとても小さいんだけど、まあ乗れなくはない。サード・スケルトンホース。だからドースという名前にした。少しの間3体で遊んでいて貰おう。
「さて、【変形】を教える前にコトブキには【身体強化】の使い方を教えておこうか」
「あれ? 僕、師匠に【身体強化】が使えるって説明しましたっけ?」
「いや、しておらんぞ。そもそも妾は【総合鑑定】のスキルを持つからの、鑑定してしまえば済む。ちなみに鑑定系スキルは地道に知識を溜めこんでいくしかないぞ。暇があれば家の中の蔵書を読んでおくとよい。妾が纏めた書もある故にな」
「ありがとうございます」
「うむ。ではいくぞ、【身体強化】の使い方はこうじゃ。そして戦いの中で力の配分を自在に変えていく、これが出来て一人前となる。更にいえば魔力でも闘気でも【身体強化】は出来る。両方を練習しておけ、これは【仙術】にも関わってくるからの」
「はい」
「では、【変形】にうつる。腐った肉か骨を出せ、それが一番無駄な魔力を使わん。【錬金術】はどれもこれも素材によって消費する魔力が違うが、駄目になった物や、あまり使い道の無い物は消費魔力が低い傾向にある」
「価値のある物とか、新鮮な物は消費魔力が高くなるという事ですね?」
「うむ。で、使い方としては【乾燥】と変わらん。しっかり魔法を内部にまで浸透させる事が重要じゃ。それと、形を変える際は全体的にせよ。一部だけでは捻じ曲げたりする事になるからの、素材が歪むのだ」
「分かりました。やってみます」
素材が歪むかぁ。だからこそ柔らかい肉で練習するのかな? まあ食べられない肉で練習するのが一番のエコかも。そう思いつつ浸透させていくが、正直にいって厳しい。初めて【乾燥】を使った時よりマシだけど、それでもキツい事に変わりはない。
何度も何度も練習していたら、あっと言う間に肉がボロボロになり駄目になってしまった。こうなるとセナでさえ食べようとはしなくなる。流石に質の数字が出るなら、間違いなく0だろう。これは駄目だ。
適当に失敗し塵にしてしまうと、再び新しいのを取り出して挑戦していく。繰り返していると魔力が底をついた為、森に出てモンスターを狩る。師匠は既に家に入っているのでスケルトン・クラフターに一言伝え、僕達は森に入った。
僕の二の腕ぐらいまでしかないドースだが、その蹴りの威力は凄まじいものだ。ゾンビの頭が一撃で弾け飛ぶ威力には、僕もファルもセナも驚いた。
そんなドースを連れての戦闘はとても楽なもので、もはや戦いにすらなっていない。
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召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました
召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました
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レベルが3になった時に中層の入り口まで来たので引き返す。ここまでのレベルになったら、もう少しで進化する筈だ。ベータ版は進化する前に終わったので、誰も進化させる事はできなかった。
とはいえ、そこまで長いとは思えないんだよな。何度進化があるか分からないけど、一度目なんだから、おそらく10~15の何処かだろう。そこまでは頑張ってレベルを上げて、進化してから中層に挑戦だ。
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召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました
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やっぱりレベル1からだから早いなあ。まあそれだけ敵を倒す速度も上がってるから相対的に早いんだろう。経験値は分散してるだろうけど、その分は早さで補って、差し引きプラスってところかな。
問題はドロップが高速で溜まっていくって事なんだけど、骨はドースも欲しがったので、今はドースにあげている。別にファルも不満を感じていないみたいだし、むしろ積極的にファルがあげている。
……あれ? もしかしてコレ、僕が乗らずにスケルトンライダーになっちゃう系?




