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0204・運営さん達15




 『プレイヤー<コトブキ>が<破滅のエンリエッタ>の家に戻り、マリアトゥーラにティロエムを渡しました。これにより、渡されたティロエムを有効活用し国内の引き締めが始まります』


 「予想通りの結果というか、あっさりと見つけ出したわね。ザコ戦も苦戦してないし、ハイゴブリン・アーチャーの矢まで誘導してるじゃない。ハイゴブリン・ソードマンのスキルも簡単に回避してるし」


 「まあ、簡単なスキルだから回避されるのは分かるけど、2回目からはスキル終わりの硬直を狙われてるよ。そしてそれを見て学習した召喚モンスターも同じ事をする、と。キリングマシンを増やしているようにしか見えないなぁ」


 「彼のアバターデータで運営ダンジョンを含めて充実するんだから良いじゃない。低レベルの癖にやたら強い奴とか作ってたわよ? 開発が。倒しても大して経験値くれないのに、異様に強いザコとか」


 「何その嫌がらせ、いちいち面倒臭いタイプじゃん。あんまりやるとユーザー離れかねないんだから、止めてほしいんだけど? ………成る程、かわりに武器持ちかぁ。それなら強いのも分からなくもない。倒せばドロップするし」


 『プレイヤー<コトブキ>がティロエムの報酬に捕縛アイテムを要求し、マリアトゥーラが対価として特殊罪人用のヘルロックを渡しました』


 「いや、フレキシブルに対応出来るようにしてあるけど、何故それを渡すの?」


 『ティロエムを使った国内の引き締めに対する対価が捕縛用の道具ですので、結果として一番良い物となったようです』


 「彼が捕縛用の道具を欲しがるなんて計算外だから、こればっかりはどうしようもないね。むしろあの短時間でよく対応したよ。そこは褒められるべきだと思う」


 『プレイヤー<コトブキ>がヘルロックに高度な仙力を流し、<煉獄の枷>を作り出しました。促したのは<破滅のエンリエッタ>です』


 「ちょっと待って、<煉獄の枷>って開発が作っただけの物よね? 何に使うかもまだ決まってなかったし、お蔵入りになりかけてるアイテムの筈よ? ビスティオにはそこまでのアイテムが必要な奴がいないから」


 「<煉獄の枷>は用意がしてあるだけのアイテムで、本来は<冥獣の枷>が正しいというか、イベントの為に用意されてる物だよ。ただしビスティオのイベントだけどね」


 「ビスティオがブラッディアに勝った後、抵抗する女王マリアトゥーラを捕縛する為に作る物だ。NPCかプレイヤーの仙人系種族なら作れるようになっている。その状況になっていないから、<冥獣の枷>ではなく<煉獄の枷>になったのだろうな。効果はどちらも同じだ」


 『着けられると<状態:冥獄>か<状態:煉獄>になります。プレイヤーに使うと激痛を受け続けるというだけのアイテムですが、NPCや魔物に使うと、外した時に<状態:恐慌>のレベル9を付与します』


 「激痛を受ける”だけ”って……それで十分でしょうよ。後、恐慌のレベル9ってエゲツないね、最上級の恐怖状態じゃん。最上位の治療じゃないと治せないじゃないか。これ、取り上げた方が良くないですか?」


 「そこまでする程の物か? そもそも戦闘中に枷を嵌めるのは難しいだろうし、使いどころがないぞ? そもそも人間型の種族には使えるが、魔物は大きすぎて嵌められん。それに弟君が持つだけなら悪用したりせんだろうしな。精々が様子見とヘルロックの回収ぐらいじゃないか?」


 「まあ、ヘルロックはプレイヤーが作れないアイテムですからね。アレさえ流出しなければ、これ以上作られる事も無いでしょう。もう作っちゃった2つは諦めるという事で」


 「それしかないかー」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 9月20日 水曜日



 「あー。分かる、分かる。いきなり目の前で豹変すると気持ち悪いわよね。挙句、何故か劇画調の顔になるし。開発からすればしてやったりって感じなんでしょうけど、プレイヤーからすれば厳しいでしょうねえ」


 『プレイヤー<ユウヤ>がレアアイテムを出しましたが、またもプレイヤー<トモエ><ナツ><イル>で取り合いをしています。じゃんけんをして勝ったのは今回もプレイヤー<ナツ>です』


 「ジャンケン強いのかしら? それにしても女性陣が一緒に居ると取られてるわねえ。まあ自分にとって必要ないんでしょうけど、アクセ系のレアアイテムは女性の前で手に入れちゃ駄目ね。運が悪いと諦めるしかないわ」



 …

 ……

 ………



 「うわぁ、<煉獄の枷>って使うとああなるのね。完全に狂ったように喚いてる。耐え難い苦痛と絶望を味わんだっけ? そう考えると分からないではない苦しみ方って言えるのかしら」


 『枷を外して逃げて行った先にて獣王国からの密入国者が現れました。拠点作成の為の工作員です』


 「まあ、この程度なら弟君が負ける事はないでしょう。問題はこの後ね。カメレマ、うわぁ……人型相手だとああなるのねぇ。もはや人語すら話せないほどとは。そう設定されてるとはいえ、凄い威力」


 『それでも精神が破壊される事はありません。<状態:恐慌>となりますが、正気を保ってはいます』


 「そっちの方が怖いけどね。正気を保ったまま苦痛と絶望を味合わされ続けるとか、完全な地獄じゃない」


 『煉獄です』


 「いや、それは知ってる。知ってるんだけどさー……」



 …

 ……

 ………



 『国境の西側でカメレマンと遭遇しました。現在戦闘中です』


 「ここのカメレマンは前回と違って相当レベルが上がってるのよねえ。倒せるとは思うけど、弟君達は捕縛出来るのかしら? レベルが上がってるっていうのは、何も能力値だけの話じゃない訳で……」


 『プレイヤー<コトブキ>達は苦戦しているようです。特にカメレマンが小さい事と回避主体で動いている所為でしょう。森の中という事もあり、かなり戦い難そうにしています』


 「おっ? 女の子がフルスイングでボコったわね。あーらら、気絶してるじゃない。そのうえグーラに引き摺られて弟君に枷を嵌められたわ。これで1人減って少し不利に……って味方の口封じを始めたかー」


 『もう1人捕縛され撤退を決めましたが、プレイヤー<コトブキ>に追いかけられ全員捕縛されました』


 「まあ、あの結果になるのは、ある意味で分かりきってた事だけど……。どう考えても弟君、このイベントをパーフェクトな結果で突破するでしょ」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 9月21日 木曜日



 『プレイヤー<コトブキ>がフォレストチキンに鳴かれ、大量のモンスターに襲われ始めました』


 「あらら、そういう嫌がらせモンスターとはいえ御愁傷様。元々大声で鳴く鶏モンスターって、こっちを先に作ったんだよね。チキン歌手はかなり後で作成してるし。まあ、どちらにしたところで大変な状況になるんだけど……彼なら大丈夫そうだね」


 『フォレストチキンが寄ってきてダメージを受け、更に多くの者を呼び寄せています』


 「そういう魔物だから仕方ないさ。彼には諦めてもらおう、そもそも初見殺しに近い形で作ったモンスターだ。次からは彼もちゃんと対処するだろう」



 …

 ……

 ………



 『プレイヤー<コトブキ>がイベント最後となる正騎士達と接触しました。この部隊のリーダーを捕縛すれば今回のイベントも完全攻略となりますので、以降はビスティオからの攻撃は無くなります』


 「今までのイベントも全て成功してるし逆転はこれで無いだろう。もちろん弟君だけじゃなく、他のプレイヤーも阻止してるんだけどさ。それでもビスティオの敗因は弟君が居た事だろうなぁ。彼の関わったイベントだけは完全に攻略されてしまってるし」


 『ここで捕縛できた場合、後はブラッディア国内の問題となります。ここも解決すると、ビスティオは方針を転換。天使の星のエルフェリアを攻めます』


 「ああ。で、弟君は見事に捕縛したねえ。最初は苦労してたけど、均衡を破ったのが棒手裏剣とは……そしてあの挑発の酷さよ。敵の隊長が怒ってたけど、虫ケラって……フ○ーザ様じゃないんだからさー」


 『プレイヤー<コトブキ>が隊長である正騎士を捕縛しましたので、完全攻略が確定しました』


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