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0002・弟子入り




 何かベシベシ頬を叩かれている気がするので起きよう。何故か目を瞑った状態にされているので、目をっ!?。



 「うわぁ!? 何この骨の犬は? しかも顔が3つもあるっておかしいだろ! ギャッ!!」


 「グルルルルル!!」


 「ほっほっほっほっ、随分と元気の良い魔人じゃな。起きて早速トライボーンウルフに喧嘩を売るとは」


 「えっ? あれ? いや……どなたでしょう? ああ、僕はコトブキと言います」


 「ふむ。ワシはエンリエッタと言う。この屍人の森に住んでおる<リッチ>じゃよ。それにしても、まだまだヒヨッコにすら成れておらぬな、お主? なのにここにおるという事は稀人か」


 「ああ、はい。その稀人で間違い無いです。もしかしてここ、危険な感じですか?」


 「この魔星の中でも上位に入るほど危険な場所じゃな。まあ、全てはワシが住んでおる所為じゃがな。はっはっはっはっ! 魔物としたらそこまで強い者はおらんの。といっても、今のお主なら殺されようが」


 「はははは……そ、そうですか。どうしよう……」


 「ま、ここで会ったのも何かの縁じゃ、ついて参れ」


 「えっと、良いんですか……?」


 「構わぬ。お主のような力の無い者に狙われても、どうにでも出来るのでな」


 「は、はあ……まあ、構わないのならお願いします」



 そういうイベントなんだろうけど、このゲームってイベントかどうかの判断が難しいんだ。この流れは間違いなくチュートリアルかそれに似たイベントなんだろうけど、リッチが出てくるってマジでヤバいと思う。そもそも最初に出てきていいキャラじゃないよ。


 エンリエッタさんの後ろを歩きつつ、今の内にステータスを確認しておこう。



 ■■■■■■■■■■■■■■■


 <コトブキ>


 ※種族・職業


 種族:魔人(♂) Lv1

 メイン職業:ネクロマンサー・見習い Lv1

 サブ職業:錬金術師・見習い Lv1


 ※能力


  力:5

 耐久:5

 魔力:5

 精神:5

 意志:5

 敏捷:5

 器用:5

 感覚:5

 魅力:5


 ※スキル


 【屍命召喚】

 【乾燥】


 ※装備


 右手:なし

 左手:なし

  頭:なし

  体:ローブ

 右腕:なし

 左腕:なし

  腰:なし

  足:革のサンダル


 ■■■■■■■■■■■■■■■



 うん。ベータの時のサモナーと同じだ。ローブとサンダル以外は何にも無い。これが近接戦闘職なら職業の武器が追加され、魔法使いなら杖が追加で得られるぐらいか。召喚系は召喚して戦わせればいいので武器は無し。


 ちなみにこのゲームでは、どんな武器でも持つ事が可能だ。ただし該当のスキルを持っていないと最低値のダメージしか出せない。厄介だけど嫌がらせぐらいは出来る。ベータ時代は長い棒で敵に嫌がらせをし続けていたサモナーが居たなあ。


 それはともかく、エンリエッタさんについていくと森の中に家があり、何故か煙突からは煙が出ていた。エンリエッタさんはここに居るのに何故? それに家の中から音がする。



 「ふむ、ワシがここに居るのに煙が出ており音がするのが奇妙かの? それがネクロマンスというものじゃよ。中におるのはスケルトンであり、薬を作らせておる。ワシはネクロマンサーであり、薬師でもあるからの」


 「おお……! 何かリッチっぽい。何か分からないけど、凄い」


 「……よく分からんヤツじゃの? まあ、それはよい。それよりそなた、碌にネクロマンスも知らぬのじゃろ? ワシに弟子入りせい、鍛えてやるぞ?」



 その瞬間、ポーンという音が鳴り、目の前にウィンドウが出現した。



 ―――――――――――――――


 <屍命の女帝>である<破滅のエンリエッタ>に弟子入りしますか?


 ・YES

 ・NO


 ―――――――――――――――



 エンリエッタさんって女性だったのか!! 僕にとってはそれが一番の驚きだ。だってこの人物凄い低音の声を出しているし、リッチっぽく骨だけの体なんだよ? 女性だなんて分かるはずないじゃん! いや、YESを押すんだけどさ。


 後、<破滅>ってなに? 猛烈に怖いんだけど……もしかして早まったかな?。



 「ほほほほほ、良き哉、良き哉。ワシが真髄を教えてやろうぞ、小僧っ子にのう?」


 「あ、あの……お願いします。ところでエンリエッタさんって女性なんですね。<屍命の女帝>とか<破滅のエンリエッタ>ってお名前が出たんですけど……」


 「………なんじゃ詰まらん。せっかく骨のリッチごっこをしておったというのに、神め……無粋な真似をしおって」



 その瞬間、目の前に見えていた骨の姿は消え、黒いローブで身を隠した銀髪の妖艶な女性が現れた。物凄く美しいけど、魔女ばりに怪しい人って感じがする。ちなみに僕の姿はリアルな自分と髪色以外は変わらない。


 このゲームでは背の高さとか足の大きさなどを自由に変えられるけど、それをすると違和感だらけで上手く動かせなくなるんだ。だから僕は髪色だけ白に変えて、後はリアルと変わらないようにしてある。



 「ああ、妾か? 妾は魔星の魔女の一人。<破滅の魔女>とも呼ばれておる。他の魔女達と違い、ネクロマンスを極めたのが妾じゃ。他の魔女はそれぞれの系統の魔法じゃがな、そういうのは詰まらんから妾はネクロマンスを選んだのよ」


 「はあ、そうですか……あの、宜しくお願いします」


 「うむうむ。妾に任せておけ、立派なネクロマンサーにしてやろうぞ。ついでに錬金術も教えてやる。今は薬師じゃが、元々は錬金術師だったからのう。キッチリと叩き込んでやるわ」



 その後、色々な事を説明されたが、住み込みの弟子として学んでいく事になったらしい。ゲームが始まってまだ30分も経ってないのに、僕の状況は早速おかしな方向に向いているようだ。


 こういう刺激を期待していたとはいえ、スタートダッシュは無くなって完全に出遅れた感が満載だなぁ。修行は面白そうだからいいけど。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 「【屍命召喚】は始まりの術であり、永劫に努力し続ける事になる。召喚陣もそれぞれに違うが、スキルに任せて使っていても上達なぞはせん。それは上辺だけだ! 自らの魔力を放出し、自分の手で魔法陣を現界させよ」


 「はい!」



 今は【屍命召喚】の練習中だ。なんでも【屍命召喚】の魔法は全て同じではなく、呼び出す者によって細かく決まっているらしい。そして最初の時に猛烈に魔力を消費する。これは屍命図書館のようなものがあり、そこに自らを登録する為なのだそうだ。


 例えばスケルトンの書があったとする。そこに僕を登録するのに猛烈な魔力を消費して、僕の名を刻み込む。するとスケルトンの書に僕のページが出来るって事らしい。もちろん師匠の名前もスケルトンの書に記されているんだけど、そのスケルトンがとんでもない。


 なんというか、真っ白なスケルトンなんだけどビックリするほど神々しいんだよ。光とか出てるしさ。疑問に思って聞いたら<ホーリースケルトン>というらしい。光と闇を吸収するんだってさ。それ反則じゃね?。



 「ふふふふふ、この程度なぞ容易き事よ。そもそも妾はスケルトンだけで10体はおる。生産職のスケルトンもおるし、身の回りの事もさせておるからの。これこそがネクロマンスの素晴らしきところよ」


 「へー……」



 そこら辺をカタカタと歩きまわっているスケルトンも、黒色やら銀色やら赤色のも居る。それぞれによってスケルトンの特性が違うらしく、そういうのも頭の中に叩き込まなくてはならないそうだ。


 様々な者を使うんだから特性の把握は当然だけど、それを正しく運用できなくちゃいけない。思っているより大変そうだけど、思っている以上に楽し「ポーン」そうだ。



 ―――――――――――――――


 ※スキル:【魔力操作】を習得しました

 ※スキル:【魔力感知】を習得しました


 ―――――――――――――――



 あ、スキル覚えた。


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