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0198・獣王国の正騎士達




 僕達は歩いて帰る。近くに国境の砦が見える所を越え、ダラダラと歩き続けていると逆側の森から出てくる者が見えた。ゾロゾロと8人ぐらいが出てきたんだけど、そいつらは僕達を見るなり慌てて森に戻る。


 あからさまに怪しい連中だった為、僕達は走って追いかけて森の中へと入っていく。奴等の反応は追えているものの、僕は即座に声を上げた。



 「止まれ! ここから先に罠がある! 連中は罠まで僕達を誘き寄せるつもりだ、迂回する!!」



 そうして右側から回り込むようにして速度が遅い連中に向かって走る。僕達が罠に引っ掛からないと理解したのか、連中は止まって僕達を迎撃する事にしたらしい。



 「【罠感知】などを持っている奴等だ、迎撃態勢! 所詮は狩人か何かだろう、我々の相手ではない。一気に蹴散らして口を塞ぐぞ!!」



 言葉使いがあからさまに一般人じゃない。軍人のような言葉使いをしている以上、こいつらは獣王国の兵士か騎士だろう。一番後ろにいる先程話していた奴を捕まえる必要があるね。こういう時はリーダー格だけ捕まえればいい。



 「怪しい奴等だ。叩きのめして町で兵士に突き出せば謝礼が貰える。一気に押し潰して倒すぞ!」



 僕が謝礼云々と言ったのを聞き、相手は狩人か何かと誤解してくれたらしい。こちらを見てニヤニヤしている。それを敏感に察知したのか、皆も余計な事は言わずに戦闘を開始した。


 モンスターラッシュがあったとはいえ、MPはそれなりに回復しているので十分戦える。相手を舐めている訳じゃないが、それでもイベントっぽいので逃したら失敗扱いになりかねない。なのでここは確実に捕縛する。


 最前線で戦いが始まったが、ファルとシグマとキャスティは上手く敵の攻撃を押し止めている。敵も僕達の実力に気付いたのか侮るような素振りは無くなった。



 ―――――――――――――――


 <ゴズランデオ> NPC Lv11


 種族:ハイリザードマン

 メイン職業:正騎士

 サブ職業:指揮官

 状態:健康


 ―――――――――――――――



 うわ! ハイクラスの種族だ! 妙にレベルが低いと思ったけどちょっとマズいか? 他の連中はウルフマンとかキャットマンとかフォックスマンも居るけど、あの隊長は相当レベルが高い。僕達全員でも捕縛できるかどうか分からないな。


 皆が前で戦ってくれている間に、【ダークヒール】で状態異常を起こさせる。しかし、相手に回復された。こういう正規軍に対しては状態異常を起こしても駄目なのか……。地道に魔法でダメージを与えるものの、回復されてしまい意味が無い。


 仕方なく右端の敵に、隣のファルが受けたと同時に攻撃する。流石にこれは避けられなかったようで、首に吸い込まれるように突き刺さった。僕は素早く槍を戻すものの、後ろに居たリーダー格が攻撃して来たのでバックステップ。後ろに下がる。



 「こいつらは唯の狩人ではない、【ハイヒール】!! これ以上は油断するなよ、助けられんかもしれんぞ!!」


 「申し訳ありません!!」



 くそ……喉元への一撃は致命傷だろう、普通は! これだからファンタジーってヤツは!!。


 仕切り直しになってしまったが、ファルの横に出ようとすると後ろから正騎士のリザードマンが邪魔してきて鬱陶しい。それでも元悪魔のラスティアと元天使のキャスティがいる御蔭で踏ん張れている。


 レベル以上の強さを持っているのはキッチリ訓練を受けている相手だからか。魔物なんかと違って隙が少ないうえに、そこをカバーされる。元々レベル差があるので、このままだとジリ貧になるな。


 仕方なく準備をしておき、僕は再びファルの横から出る。すると当然のように正騎士のリザードマンが前に出てきて邪魔をしてきた。僕は剣を突き出してきたリザードマンに対し、右手の槍で軌道を外側へとズラす。


 【身体強化】で行ったので右手一本でもギリギリ出来た。僕はその隙を逃さず左手に隠し持っていた白曜石の棒手裏剣を投げ、ファルの前にいる兵士の喉下に直撃させてやる。正攻法で勝てないなら、こういう方法も使わないとね!。



 「グビュ!! ゲヒ! ゴヴェ! ガヒュ!!」


 「ッ!! クソッ!! 次から次へとやってくれる!!」


 「隊ちょゴベッ!! ガヴェッ!! ギヒュ!!」



 どうやらセナも棒手裏剣を投げて喉下に直撃させたらしい。それでも2名が脱落したんだ、均衡は崩れた。ここから押せるかどうかだけど、結構な賭けになりそうだ。何たって向こうの方が地力が高いからね。



 「クソがっ!! 手加減は抜きだ、ブッ殺せ!! 我ら獣王国正騎士団の実力を思い知らせてやれ!!!」


 「「「「「「「おおっ!!!」」」」」」」



 8人ぐらいだと思ってたけど、10人いたんだね。2人殺したから残りは8人だ。さっきと違いリーダー格が魔法で回復しないのは、棒手裏剣が突き刺さったままだからで、先ほど治せたのは槍を抜いているからになる。


 棒手裏剣が刺さったままだと治せず、抜いてから治療しなきゃいけない。でも戦闘中で抜く事ができないんだ。そして一定時間内に抜いて治療できなければ死ぬ。これはプレイヤーでも変わらない事となる。


 僕とセナは隙があれば棒手裏剣を投げて喉下に直撃させ、敵の数を減らしていく。その度に敵の騎士は怒るが、人数が減った事により押し込めない。そもそも最初からギリギリとはいえ拮抗してたんだ。人数が減ったらそうなるのは当たり前さ。


 乱戦とは違って隊列を組まれてたから厄介だったけど、それが崩れればこうなる。偉そうに言える程じゃないけど、それでも仲間達が押し込み始めた。こうなると相手は不利にな、る!!。



 「ゴッ!?!!?」


 「またか! 投げる武器ばかり持ちやがって! しかも石の球なんてどこから出した!?」


 「隊長! 相手は稀人です! アイツ何もない所から出しました!!」


 「くっそ! そういう事か!! キサマ最初から狩人のフリをしていたな!!!」


 「何でワザワザ稀人ですって教えなきゃいけないのさ。勘違いしたヤツがバカなだけだよ、当たり前の事じゃないか」


 「おのれーーーー!!!!」


 「隊長! 隊長だけは撤退してください!! 自分達は何も知らされてません、隊長が捕まるのが一番マズい。自分達の事はいいので早く撤退を!!」


 「あれ~? 仲間を置いて逃げるんだ、随分な腰抜けだねぇ。流石は獣王国! 早く尻尾巻いて逃げなよ。怖い! 怖ーい! ってさ」


 「キッサマァァァァ!!! 絶対に許さんぞ、虫ケラめが!!!」


 「隊長! コイツは隊長を怒らせてこの場に繋ぎ止めようとしているだけです! 早く撤退を!!」


 「部下を見殺しにして、尻尾撒いて逃げてきました! って早く報告に行きなよ。上司が褒めてくれるかもよ? 流石は不甲斐ない部下だってね」


 「おのれ、殺してやる! 絶対に殺してやるぞ、キサマーーーーッ!!!」


 「隊ちょグベァ!!! ガブッ!? ゴボッ!!?」



 どうしてこう挑発に弱いんだろうね? ここは部下の言う通り、絶対に逃げなきゃいけない場面だ。僕が挑発したとはいえ、幾らなんでも優先順位を間違えるような奴を隊長にしちゃ駄目でしょ。


 血走った目で僕を襲ってきたけど、さっきの冷静な時と違って当たらないよ。こいつらは狩人を装う為なのか、騎士の装備を着けてない。それが最後は仇になったね。



 「ガッ!? ぐっ、まだ杭を持っていたのか! クソがっ!!」



 太腿に棒手裏剣が突き刺さっても止まらず、僕を何としても殺そうとする相手の隊長。とはいえ僕はバックステップで下がり、横からドースが体当たりを行う。派手に吹っ飛ばされた隊長は地面に倒れ、起き上がろうとしたタイミングでドースに右腕を踏み潰された。



 「グァァァァ!!!」



 そうやって喚くのが無駄なんだよ。即座に僕は近付き左腕をストンピングで破壊。その後、両腕を束ねて煉獄の枷を着ける。途端に響き渡る奇声。その声を聞いたからかは分からないが、残りの3人の腕も壊す事に成功。


 残りの3人に弱体の枷を着けて終了。それにしても連続で来すぎじゃないかな? イベントだとしたら難易度が相当高い。正直に言って、ラスティアやキャスティが居なきゃ勝てなかった程だ。


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