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0190・帰還と報告




 僕達は国境の森林地帯をウロウロしている。相変わらず<ロットン草>と<ティロエム>を探してるんだけど、なかなか見つからない。ヨモギっぽい見た目だからそんなに難しい物でもない筈なんだけど……。



 ―――――――――――――――


 <薬草> ロットン草 品質:8 レア度:1


 よく見つかる治癒効果を持つ薬草。これだけではポーションにならず、他にも材料は必要である。主に中級ポーションの材料にされるが、下級ポーションの材料としても使える


 ―――――――――――――――



 中級ポーションの材料として使えるなら中級に使うよねえ、普通は。何で下級も作れるって表示されるんだろう。わざわざ書いてあるって事は何がしかの意味があるんだろうけど……。



 「上のランクの素材を使うと、素材の必要量を減らせると聞いた事がありますから、それではありませんか? ロットン草も栽培されている筈ですが、栽培している物と天然物なら、天然物の方が効果が高いと聞きますし」


 「何かそうみたいね。育てられているから駄目で、荒々しい環境で育たないと駄目だとか聞いた事あるわ。本当かどうかは知らないけど」


 「生命力的な話なのかな? こう、厳しい環境で育った方が生命力が強くなるとか、だから薬効が強いとか……。ま、僕も知らないから適当な事を言ってるだけなんだけど」



 おそらくはそういう設定なんだとは思う。栽培した物は一定以上に品質が上がらないのかな? それとも技術なんかが足りないから品質が上がらないとか? <農家>の職業の人なら品質を上げられたりして……。


 それはそうとアロエに似た<ティロエム>が未だに見当たらない。アレって水が多い所じゃないと育たないんだっけ? そんな事を聞いたような……ん? この音って水の流れる音?。


 水の流れるような音がする方向へいくと、本当に小さな小川のようなものが流れていた。そしてその近くに<ティロエム>は生えているようだ。アロエに似ているので分かりやすい。



 ―――――――――――――――


 <薬草> ティロエム 品質:8 レア度:3


 薬効成分の殆どが傷を治す事、特に肌関係の傷などを癒す事に特化した薬草。肌に潤いも与えられる為、主に化粧品の原材料に使われる事が多い。ただし最も肌に効果的なのは、生きているティロエムを直接使う事である


 ―――――――――――――――



 「直接肌に使うのが一番良いって書いてあるんだけど、それでも化粧品にするんだね?」


 「確かティロエムが一番効果があるのって元気に生きている間だけなんだっけ? 確か採取したら悪くなっていく筈よ。一時間くらいで薬効が半分くらいまで減るんじゃなかった?」


 「そんな事を聞いたような……ティロエムの採取もした事はありますけど、ずいぶんと昔ですから覚えていません。そもそも天使となってからは採取仕事なんてした事ありませんし……」


 「畑で作物作って暮らしてたんだっけ? あれも大変だって聞いた事あるわよ。<農家>って簡単に作物を育てられるスキルを持ってるけど、大地の力を凄く使うのよね?」


 「ええ。急激な作物の成長は歪を生みますので、肥料などを多く入れないと急激な成長をさせるのは危険なんです。失敗するとすぐに駄目になってしまいますし、品質を上げるのも大変なんですよ」



 つまり急激に成長させる方法はあるけど簡単じゃない、と。ゲームだからあり得ない成長力で成長するけど、それは簡単な事じゃなく、農家の腕の見せどころなのかな? それとも農家の醍醐味というべきか。


 僕には面白いと思える部分じゃないから別にどうでもいいんだけど、そういうのが好きな人にとっては面白いんだろうね。そんな事を考えつつも小川の辺りを散策し複数のティロエムを入手する。


 根ごと抜いてインベントリにポイ。そんな感じで手に入れていくも、全て抜かずに疎らに抜いていく。こうしないと次に入手できないっぽいんだよね、植物図鑑見てると。


 それと成長には時間が掛かるって書いてあったから、明日来ても復活してないかもしれない。わざわざ書いてあるところが気になるんだよね。他にも色々な物がありそうだけど、無理に調べたり手に入れる必要も無いかな?。



 ―――――――――――――――


 <実> マロの実 品質:7 レア度:1


 マロという木の実。トゲトゲが沢山付いているが、中には硬い実が入っている。何処かの星では栗と呼ばれる見た目をしている


 ―――――――――――――――



 なんで国境の森に栗があるのか知らないけど、せっかくなら貰っていこう。とはいえ自分で作る食べ方なんて焼くぐらいかな? 【火魔法】も持ってないから自分で火を着ける必要があるけど。


 足で割り、中の実をインベントリに放り込む。何故かファルやセナにシグマも同じ事をし始めた。別にしなくても良かったんだけど、そんな事は良い出せないので「ありがとう」と受け取っておく。



 「マロの実かー。焼くぐらい? 何か色々食べ方があるんでしょうけど、私料理できないから分からないのよねー」


 「私も知りません。大体は煮るか焼くしかしませんし、マロの実なんて焼いた事しかありませんよ。そもそも料理人じゃありませんし」


 「僕も知らないよ。見た事はあるけど、どうやって作ってるかなんて専門家じゃないから分からない。流石に持って帰って焼くか売るぐらいかな、それしか思いつかない」



 そうやって収穫しつつも、襲ってくる魔物は倒している。段々と慣れてきたのかハイゴブリン・アーチャーに関しても、そこまで苦労はしなくなった。ある意味で単純というか、隙のある奴を狙うという思考だったので対処は容易い。


 僕自身が隙を意図的に作れば狙ってくるからね。そして作った隙という事は誘導できるという事だ。つまりそれは相手に撃たせる場所を指定できるという事なんだよ、当然その場所から離れれば回避完了となる。簡単な話さ。


 流石に誘導してもフレンドリーファイアはしてくれないけど、それでも絶対に当たらなくは出来るんだから戦闘の難易度は一気に落ちる。僕達はそんな戦闘を熟しつつ<ロットン草>と<ティロエム>の採取に励んだ。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 僕達は十分な探索の後、南へと移動し国境の森を出る事に成功。今は国境都市ミョウセンに戻っている。あれから何度か魔物と戦ったものの、当初の目的であった獣王国からの間者は見つからなかった。


 森の中でも【精密魔力感知・下級】と【練気感知・下級】を使っているので、何かが居れば分かるとは思う。駄目でもフォグ辺りが臭いで調べてくれると思うんだが、今日は変な臭いは発見できなかったみたいだ。


 カメレマンの事があるので目視のみで判断なんてしないが、魔力や闘気でも分からないとなるとフォグしか頼りが無くなる。仕方がないものの、今は出来る事をやるしかない。


 ミョウセンに戻った僕は、辺境伯の屋敷に行き門番に辺境伯への報告に来た事を伝える。すると僕達の事が伝わっていたのか門が開いて通された。屋敷の前に執事の人が居たので案内してもらい、サーヤさんに報告だ。



 「今日は特に何も無しね?」


 「ええ。魔力も闘気も魔物以外のものは無し。フォグが臭いを調べてくれていましたが、不審な臭いは無し。カメレマンの事もあるので目視に頼ってはいませんが、流石に今日は怪しい者は居なかったと思います」


 「御苦労様……ところで、ティロエムは採れた? 良ければ何だけど……」



 と、ティロエムを求められたので、鉢を持って来てもらってティロエムを入れて渡す。妙に嬉しそうだけど、何でだろうね? 辺境伯なら手に入れられるだろうに……。


 心の中で首を傾げながらも、僕は執事に案内してもらい転移魔法陣の部屋に行く。中の転移魔法陣に乗って師匠の家に戻るものの、最後まで執事に見られていたなぁ。


 ま、怪しい者に変わりはないし、警戒されるのも仕方ないか。


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