0187・大型アップデート後
2000年 9月19日 火曜日 AM8:34
昨日は一日みっちりと授業を受けて熟しておいた。本当に残りは少ないので気分的には物凄く楽だ。まあ、それも来年の3月までだけど。その後は授業を受けながらゲームをする事になるね。それが普通なんだけどさ。
とにかく今日もログインするんだけど、昨日VR授業の合間にアップデート内容を調べていたら色々変更があった。
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・安全にログアウトする為のマイルームの構築。マイルームに退避してからログアウトすると、アバターがワールドに残らずログアウト後も安全を確保できます
・第二回公式イベントのポイントショップを開設。期間は1週間後の26日までであり、その期間を過ぎるとショップもポイントも無くなります
・レベルキャップの解放と新レベルキャップ。総合種族レベル60までの新レベルキャップに移行します。それぞれの種族や職業によって異なりますのでご注意下さい
・ワールドにおける新商品の解禁。ワールドにおいて新たに必要となる武具や道具など、多くの物品を解禁します。今までと同じ店でも内容が異なっている場合がありますので、色々探してみて下さい
・ワールドにおける新モンスターの解放。ワールドの各所において新モンスターを解放しました。これにより、素材や取得経験値などが増えます
・ダンジョンの深層化。各ダンジョンは最大15階層で止められていましたが、新たに先へと進む事が可能となりました。この事により運営ダンジョンも深層化されます
・新たにプレイヤーを1万人増加します。多くの人がログインされるようになりますが、犯罪行為は即座に通報対象となります。お気をつけ下さい
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長々とあるけどこんな感じだ。細かい物を含めるともっと沢山あるんだけど、いちいち全てを細かく読んでも仕方ないからね。さて、さっさとログインしよう。ナツとイルは今日もログイン出来ないって言ってたし大変だね。明日は大丈夫らしいけど。
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お腹の上に寝ているコタロウをどけて、僕は体を起こす。何で今日はコタロウが? と思い首を捻っているとファルがやってきた。どうやら今日はすぐに朝食らしい。食堂に移動すると、何故かそこにはマリアさんが居た。
「おはよう。実はね、君に頼みというか依頼があって来たのよ。それで転移魔法陣を私が作っておいたんだけど……それでちょっぴりこの人、機嫌が悪いの」
「そなたが勝手に転移魔法陣を敷くからであろうが、そもそもいったい何処と繋いだのだ。王都トゥーラと繋いだのではなかろうな?」
「流石にそれは<破滅>殿が怒るからしないわよ。そうではなくて、繋いだのは北。正確には北東なん「ビスティオとの国境か」だけど………はい、正解」
「まさかコトブキや妾を戦争に巻き込む気ではなかろうな?」
「<破滅>殿はともかく彼は問題ないでしょう? もちろん報酬も用意してるし無理にとは言わないわ。それに本当の戦争に参加してくれなくてもいいのよ、情報収集の部隊に参加してくれれば」
「成る程、それならコトブキ単体でも問題ない訳か。稀人は死んでも蘇る故にな、確実に情報を持ち帰れる。戦争でコトブキや妾に頼ると国民からの疑問の声もあろうしな」
「むしろそっちの方が重要なのよ。私も女王として国民に疑問を持たれるような事をする訳にはいかないし、こういう時に国の騎士が活躍せずしていつ活躍するの? って話だもの」
「まあのう。その為に国からの禄を食んでおるのだしな。それに国の力で勝たねば国民の力も結集すまい。国を挙げて勝てばその後の統治は楽じゃし、ついでに言えばビスティオに負けるほど弱くはあるまい?」
「当然。あそこの王は交代するから分からないのよ、建国から同じ王が治め続けているという意味がね。私は女王であると同時に建国王なの、舐めてもらっては困るんだけど……。まあ、それはいいとして、彼には国境の近くで情報収集をしてほしいわけ」
「情報収集ですか?」
「そう。国境都市ミョウセンには辺境伯であるサーヤが居るから、彼女に報告をしてくれればいいわ。君にこれを任せるのは、ついでで<破滅>殿が喜ぶからよ。国境の森林には<ロットン草>が生えているしね」
「それはそれは……妾に中級ポーションを依頼するという事じゃろうが、まったく! 結局そなたが得をするだけではないか」
「そんな事はないわよ、だって<ティロエム>も採れるもの。ま、私も欲しいんだけどね」
「成る程、天然のティロエムか……。仕方ない。コトブキよ、採ってまいれ」
「あのー、採ってこいと言われれば採ってきますけど、どんな物か分からないのですが……。それと武器が大分壊れたので、豪雪山に行って素材を採りに行ってからでいいですか?」
「まあ、それぐらいは構わないわよ。特に急いでる訳じゃないし。でも武器が壊れるなんて何があったの? 簡単に壊したりしないわよね?」
「少し前まで神様の遊戯に引っ張り込まれてました」
「稀人って神の加護持ちだもんねえ。神の遊戯に引っ張り込まれるっていうのも大変だと思うわ。ま、とりあえず、後は宜しくね。手紙置いて行くから、これを持ってミョウセンのサーヤの所に行ってちょうだい」
そう言ってマリアさんは影に潜って消えていった。ちゃっかり食事をしていく辺り、女王様とは思えない人だなぁ。
「そもそも建国王だと言うておったであろう? つまり元々は王でも何でもなかったという事よ。もちろん女王になって永いのだ、王としての感覚は持っておろうが元は庶民じゃ。そこの根底は今も変わっておらぬであろう」
「確かにそうね。建国した最初の王は、建国するまで王では無かったのよ。まあ、王族が新しく国家を作る場合もあるけど」
「まあねえ。とにかく朝食も終わったし、さっさと豪雪山で白曜石をとってこようっと。一昨日の所為で槍も壊れかけてるし、鋼鉄の槍なんて何処にいったか分からないんだよね。鬼面武者に投げたっきりだよ」
「ほう、鬼面武者のう……なかなかの相手と戦ったようじゃの。アレに勝つには誰かが止めねばならん。袋叩きにすればそこまで強くないとはいえ、狂戦士のように暴れ続ける相手。面倒ではある」
師匠からすれば面倒な程度かー、アレ弱体化入ってても相当厄介だったのになぁ。……ん? 暴れる? イベントの鬼面武者は冷静に戦ってたけど、イベントと本物は根本的に違うのかな。まあ、いいや。さっさと行こう。
僕はソファーの部屋に戻って準備をしつつ、ポイントショップを見て回る。色々なものが売ってるけど、どれにしようか……。よし、決めた!。
まず購入するのはインベントリ枠だ。10個プラスされるのを2つ。そしてマイルームの部屋増設に庭の追加と倉庫を置く。最後にマイルームの作業部屋と訓練場を購入。
インベントリ枠2つで3000。部屋増設2000で庭と倉庫で5000。作業部屋が3000で訓練場が4000。残りは210ポイント。
何に使おうか悩んだ結果、ホールケーキがあったのでそれを200ポイントで買って終了。昼食時に食べよう。豪雪山に出発しようと思ったら、トモエはまだ着替えてなかったようだ。ノックをしたら返事があったものの、更に待つ事に。
ある程度待って出てきたのは良いんだけど、何してたか聞いたらポイント交換をしていたらしい。流石のトモエもマイルームとかインベントリ枠にスキルもあったので、見た目装備などには使えなかったらしい。
散々悩んでいたのは、見た目装備を諦め切れなかったからのようだ。相変わらずだね、本当。




