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0186・運営さん達13




 2000年 9月17日 日曜日



 「さて、今日の目的は分かっているな。企業価値を毀損するバカどもを一網打尽にする日だ。何がしかの動きをしたものは即刻隔離しろ! イベントという特別フィールドには十分な監視が付いている。各々が判断すれば構わん、やってしまえ!」


 「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」



 この日に行われるのは第二回公式イベントではあるものの、その裏側では電脳テロリストとも言える<最強勇者>撲滅作戦が行われていた。あれらを野放しにしていれば、このゲームが雛形として成立しなくなってしまう。


 そう判断した運営は、少々のバカどもならばAIの学習として最適だろうという方針を変更し、大規模なクズを駆逐するイベントとして学習させる事にした。これもまた、後に続くゲームの雛形とするべく必要と判断されたからだ。



 「それにしても最速で埋まったわねー、拠点10。その中にどれだけ社会の汚物が紛れているのかは知らないけど、<金剛騎士団>に<スターライト>、それに<般若衆>と<おすこい>が居るじゃない」


 「金剛騎士団は最高難易度に挑戦という目標があって大変素晴らしいんだけど、残りの3つは全て弟君が来るからだよ? 最高難易度に彼が挑むって確信している動きだったね」


 『プレイヤー<コトブキ>は隠しパラメータの事を考え、最後まで拠点10に挑戦するのは渋っていました。それを無理矢理に連れて行ったのがプレイヤー<トモエ>と<イル>です。この2人は掲示板の検証チームやプレイヤー<コトブキ>のファンスレと関わりがあります』


 「「「「「えっ!?」」」」」


 「………つまりアレかしら? 最初から<スターライト>や<おすこい>辺りと関わりがあって、彼を拠点10というか最高難易度に連れて行く予定だった? そもそも弟君のファンスレって鍵つきのスレッドだったわよね?」


 『鍵と秘匿掲示板です。通常の検索で表示されないようにする為の秘匿申請がありましたので了承しました。理由はプレイヤー<コトブキ>に見つからない為です。特に問題の無い理由と判断しました』


 「まあ、問題ないっちゃあ、問題ないんだけど……。これってどうなの? セントラルから見て問題のあるスレじゃないから今も大丈夫なんだろうけど、おそらく禁則事項には触れて無いだろうし放置かな?」


 『禁則事項や違反などは一切ありません。禁則事項や違反などは一切ありません』


 「何で2回言うのよ、セントラル。………大事な事だから2回言ったの? それって……禁則事項や違反は無いけどギリギリって事?」


 『………』


 「秘匿掲示板だから内容は言えないんだろうけど、彼女らの執念なんかはエゲツないからねえ。正直に言って触れたくないからスルーさせてもらうよ。少なくとも違反なんかは一切ないんだし、触れると汚染されそうだから開けたくないしね」


 「パンドラの箱じゃあるまいし。開けたら最後に「腐」が残ってたりして………希望も何も無いから焼却したくなるわね、そんなスレ」


 「止めてあげて!? 彼女らを出したら碌な事にならないよ? 秘匿掲示板で済んでるんだから、あそこから永遠に出てこなくていいよ!」


 「何を下らない話をしてるんだ。しっかり監視してるんだろうな?」


 「してますよ。まだ入りきってないのでイベントも始まりませんし、流石にこの時点では動く気は無いようです。動いたところで意味が無いからでしょうけど」


 「監視してるならいい。奴等は常にトカゲの尻尾切りを繰り返している連中だ。捕まるのは末端ばかりで、中枢の連中は捕まった事が無い。今回も中枢までは行かんだろうが、奴等を撤退に追い込めばこちらの勝ちだ」


 「わかっています、っとAM9:00になりましたから締め切りです。329人ログインしていませんね。寝ているのか放置しているのかは知りませんが」


 「まあ、その辺りはどうでもいい。火曜日からは更に1万人増えて2万人になる。上はそろそろ一気に増やしたいようだが、そんなに一気に増やされても現場が対応できんからな。拒否してきた」


 「ありがたいです。正直に言って、上の連中はこのゲームが雛形だと理解できてないんですかね? この後の将来の事も考えてもらわなきゃ困るんですが……」


 「我々や開発は将来の為だが、経営の事を考えると目先の小銭が大事なんだろう。雛形が出来上がれば開発や運営の苦労は一気に減るんだがな、そうなれば開発のコストや運営のコストは大幅に減る。上もそれは分かってるんだが……」


 「我々ほど現場を理解してないって事でしょ? 時間というコストを節約できる意味を全く理解してませんねぇ」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 「第4ウェーブが終わって昼だが、どんな感じだ?」


 「まだ然程動いてませんね。あのクズどもが動いたところは少ないです。元々数が少ないのか、それとも我々が監視しているのを警戒しているのか……っと、プロゲーマーがやられた?」


 「こっちもだ。<教導委員会>の<龍心>がやられ、あーあー……怒り狂ってるじゃないか。流石は元レッドネームで構成されてる連中だ、ブチギレると本性出てくるね」


 「拠点10では第4ウェーブが終わる直前に<英雄の集い>の<アーサー>と<クーフーリン>がやられた……おぅふ、何してくれてんの? 【忍耐】の天使よ……」


 「あーあー、【忍耐】の天使がバラしちゃった。しかも<金剛騎士団>の<仁王>の配信に乗ってるじゃないの!」


 「ん? ………【魔闘仙】の情報が漏れたか。仕方ない、ランキングに【魔闘仙】の情報を出しておくか。元々は早過ぎたというのと、弟君への被害を減らす為に意図的に隠していたんだからな。それを説明しておけば大丈夫だろう。彼は……有名税として諦めてもらうか」


 「それしかないですかねえ……」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 「第8ウェーブが終了。これで残っているのは拠点09と10だけか。それ以外は全て終了し、ポイント計算も終えたな。拠点が残っている場合や補修した場合、倉庫に運んだり新たに壁を建築したり。計算はあってるか?」


 『間違った計算は、現在発見されておりません』


 「ならいい。拠点09の連中は拠点を守りきれるのかねえ……拠点10はそもそも壊れるのが確定してるけどな」


 「本当に酷いとしか言えませんよ。拠点10だけ壊れるのが確定していて、お仕置きモンスターが絶対に出てくるって。あれは総攻撃しなきゃ倒せない仕様になっています、弟君以外」


 「あの弟君なら1対1で勝ってくれそうだけどな。自動回復さえ止められれば勝機はある。ま、弟君以外には無いだろうが……」


 「そもそもイベント鬼面武者のアバターデータは、弟君のをコピーして弄ってますからね。本当にキリングマシンになってますし」


 「アレはなー。開発の連中が嬉々として作ってたからなあ。流石に鬼の面は外れないようにさせたが、鬼の面の下まで弟君にするのはアウトだろ」


 「本当に、あいつら倫理観ないんでしょうか。碌な事しませんよ、まったく」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 「おーっ………やっぱり弟君なら勝つか。PVで使えそうな映像も随分手に入ったし、適当ネームじゃない妙な奴も通報できた。今回のイベントはそれなりに成功だったと思う。皆もよくやってくれた、お疲れさんと言いたいところだが、最後の追い込みに入るぞ」


 「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 200?年 ?月?日 ?曜日



 「えっと……つまりあの<ユダ>っていうネームの奴は、最強勇者の裏側に居た黒幕の1人だと?」


 「そうだ。即座に警察に捕まり、しょっ引かれた先でゲロったらしい。噂では他のゲーム会社が人気ゲームを云々というのがあったろ? あれも連中が流した嘘なんだと。真実は投資家連中の雇われだったようだ」


 「投資家って………それってインサイダーに当たりません? もしくは詐欺?」


 「言いたい事はよく分かる。末端に攻撃させて人気を下げて株価を落とし、買ってから手を引かせて高値になったら売る。人気ゲームばかり狙ってるのは、嫌がらせの後に株価が上がるのが分かっているからだろうな」


 「碌でもないですね」


 「そのうちマスコミ連中が騒ぎ立てるだろうが、連中の中には知ってた奴も居たんじゃないかと思うがね。それよりも投資家の中に白山住みの奴等が居て、本物の方々がブチギレて動き始めたらしい。私にはそっちの方が怖いぞ」


 「「「「「うわぁ……」」」」」


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>>そもそもイベント鬼面武者のアバターデータは、弟君のをコピーして弄ってますからね。 名前的にもしや...と思ったら本当に主人公そのままだった
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