表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
181/562

0181・第二回公式イベント・終了と結果




 仁王が押され尻餅をついてしまった。僕は素早く左手に持っていた鋼鉄の槍を<鬼面武者>に投げつける。武者がそれをかわすのは分かっていたので、即座に槍を突き込む。しかし横っ飛びでかわされた。


 素早く跳んで起き上がった武者は、僕と間合いを保ちつつ隙を探す。僕は仁王に邪魔だからすぐに離れるように言うと、スタミナが無かったのだろう、周囲のプレイヤーが無理矢理に連れて行った。スタミナが無くなると疲れ切ったようになって動けなくなるんだ。だから仕方ない。


 僕と武者はお互いの間合いを計りつつ、睨み合っている。相手は懐に入りたい、僕は先に刺し殺したい。お互いに相手のやりたい事なんて分かりきっている。なので僕は身体強化を使い、一気に間合いを詰めて槍を突き出す。


 素早く武者は半回転してかわし、一気に接近しようとしたが横に飛んだ。先ほどまで武者が居た場所を【セイントバレット】が通過していく。お互いに得物で戦うとみせかけて魔法を使ったんだけど、なかなか上手くはいかないね。


 再びお互いに間合いを計りつつ、いつ飛び出してもおかしくない緊張感が場を支配する。そんな中、再び一気に接近して今度は足を狙って突く。武者は再び半回転でかわそうとするも、僕は途中で槍を止めており、引き戻して今度は半身の武者を突く!。


 ところが武者が刀で防ぎ「ギィンッ」という音と共に逸らされると、そのまま武者が近付いてきた。そして僕の胴に向かって刀を突き出すも、僕は半身になってかわすと同時に【セイントバレット】を放つ。武者はゼロ距離で直撃を受けたものの、それを気にした様子も無く反撃で薙いできた。


 僕は引き戻した槍を素早く立てて防ぎ、バックステップ。しかし武者は詰めてくる。そのまま袈裟斬りにくるも、それは再び立てた槍で防ぐ。そのまま鍔迫り合いの形に移行するものの、僕は【セイントバレット】を連発する。


 流石に嫌がったのか斜め後方に跳び、再び間合いを計る。



 ―――――――――――――――


 ※スキル:【浄化魔法・下級】に【セイントエリア】が追加されました


 ―――――――――――――――


 ―――――――――――――――


 <浄化> セイントエリア 浄化


 自分を中心に一定範囲を一定時間、浄化し続ける魔法。アンデッド系に継続ダメージを与えられるうえ、アンデッドの自動回復を停止させられる


 ―――――――――――――――



 まさかこのタイミングで新しい魔法を覚えるとか。どんな偶然なんだと言いたくなるが、今は非常にありがたい。何故なら……。



 ―――――――――――――――


 <イベント鬼面武者> アンデッド Lv44


 イベント限定の鬼面武者。本来の強さではないが、代わりに自動回復能力が非常に高くなっている。拠点を破壊された事による、お仕置きモンスター


 ―――――――――――――――



 これだからね。積極的に前に出られなかったのは、コイツの自動回復をどうすればいいか困ってたからだ。自動回復を消せるというなら当然、やる事は1つだけだ!。


 僕は素早く前に出て、今度は槍を水平に薙ぐ。当然のように武者は前に出ながら刀で防いできた。まあ、そうするよねえ。僕も同じ立場ならそうしたよ。



 「【セイントエリア】!!」



 一番最初はスキルとして発動しないと魔法陣が分からないからね。スキル名を叫んで魔法を使うしかない。納得いかないけど仕方がないと諦めよう。


 いきなりダメージを受けるフィールドを作られてビックリしたんだろう。その瞬間、僕は身体強化を篭めて全力で槍を振り下ろす。すぐに武者は反応して叩き付けを刀で防いだが、僕は気にせず反動で持ち上げて再び叩きつける。


 それをひたすら繰り返し、フィールドが消えたらすぐに【セイントエリア】を使い自動回復をさせない。叩き付けを続けていると、遂に武者の刀が折れ、脳天に槍の穂先が直撃する。


 鬼の面をしているので兜を被っていないのだが、それでも切り裂く事は出来なかった。再び反動で振り上げ、振り下ろそうとした矢先、相手は脇差を握って突撃してきた。僕が速いか、相手の方が速いか。


 そんな勝負を挑んできたのだろうか、僕が受ける筈が無い。素早く槍から手を離し、相手が抜き打ちを行うのを後ろに倒れる事で回避する。倒れた僕はその態勢のまま、左足で武者の股間を思いっきり蹴りあげた。


 地面に寝たまま右に転がった僕は、左足を軸に体を回転させようとしている武者の左膝を、後ろから押して前に転倒させる。倒れた武者の背後から首を絞め、更に足を使って抱きつくように腕と体を絞め上げてロック。


 ただしキャスティの時と違うのは、僕と武者の体の位置を逆にし、僕が下に来るようにした。こうする事で武者は僕に攻撃し辛くなる。そのまま僕は絞め上げつつ、ゼロ距離から【セイントバレット】を連発する。


 MPが残り僅かとなったその時、遂に武者は消え去り僕の勝利が確定した。………はぁ、やれやれ。お仕置きモンスターにしたって強すぎないかな?。



 「「「「「「「「「「ウォォーーーーッ!!!!」」」」」」」」」」


 「やった! やった!」 「スゲー! あの武者を倒しちまったぜ!!」 「マジでスゲー! 流石ネクロ氏」


 「すっごい強かったーー!!」 「何だか手に汗握る戦いだった」 「美少年のファイトは美しい」 「SS、SS」 「それ声に出しちゃ駄目なヤツ」


 「お疲れだったな」



 そう言って仁王が手を出してきたので握ると起こされた。やれやれ本当に疲れてたみたいだ。スタミナを見ると危険領域なので本当にギリギリだったらしい。あれで弱体化されてるとか止めてほしいよね、本当。



 ―――――――――――――――


 現時点をもちまして、拠点10での戦闘行為が終了した為、集計を始めます。しばらくお待ち下さい。


 ―――――――――――――――



 「おおーーっ、これで本当に終了したみたいだな。お疲れ、コトブキ。いつの間にか出てきて掻っ攫っていったけど、お前以外だと多分殺されてるわ。いや、俺達も手出しすりゃ良かったんだけど、どうにも邪魔できない感じだったからなー」


 「構わないよ。迂闊に行動されると不利になってたかもしれな……もう結果出たんだ」



 ―――――――――――――――


 イベントモンスター討伐:421匹  各1ポイント

 イベントボス討伐貢献:3体     各100ポイント

 お仕置きモンスター<鬼面武者>討伐:1000ポイント

 拠点10生き残り:10倍


 総計:17210ポイント


 ―――――――――――――――



 これが多いか少ないかは分からないけど、最後の10倍は大きいだろうから、おそらくは多いと思う。拠点が残ってたらもっと多かったのかもしれないけど、お仕置きモンスターを討伐出来たんだから良いだろう。


 そもそもバカな最強勇者の所為で壊されたんだしさ。あの<ユダ>とかいう奴もそうだけど、いったい奴等はどれだけ居たんだろうか。邪魔ばっかりしてくれたけど、大型アップデートが終わったら、あの犯罪者どもが減ってくれると助かる。まあ、無理だとは思うけどね。


 今回のイベントの中で行われた最強勇者どもの恥ずかしい失敗だけを集めて、大々的にバカな連中だと証明する動画でも作ってくれないかな? ……いや、ダメか。そんな恥でも喜びかねないほど、奴等は頭がおかしい。


 やはり異常者には関わらないのが一番だ。あれらが何かしても何の意味も無いと無視しているのが一番効果があるだろう。ああいう奴等は完全に無視されるのを一番嫌うからね。


 プレイヤーは無視し、運営から粛々と排除されればいい。



 ―――――――――――――――


 お疲れ様でした。この後はアップデートに入りますのでログアウトをお願い致します。ログアウトされずに残っている方は強制ログアウトとなりますのでご注意下さい。これ以降のログアウトは自動的にワールドにアバターが戻されますので、安心してログアウトできます


 ―――――――――――――――



 イベント空間にアバターが残らないのなら、さっさとログアウトしよう。今日は流石に疲れたよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ