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0180・第二回公式イベント・四方のボス撃破




 中央の拠点が壊れたという情報がウィンドウに出て、<鬼面武者>が出現したとあったけど、僕達は何故そうなったのか分からない。ただ、こういう時に重要なのは真相の究明じゃない、今起きている事をどう解決するかだ。



 「………掲示板に書かれた! 何でも最強勇者どもの残党が居て、内側から壊されたらしい。それでパニックになってるみたいだ。読んだところ、ボスを倒せたのは俺達の居る南だけだ。他の所はまだ戦ってる!」


 「なら僕は東に行くよ。あそこだけプロゲーマーチームが居ないからね。中央は金剛騎士団が居るから何とかなるでしょ。皆は他の方角をお願い。東が終わってまだだったら、僕は別の方角に行くよ」


 「了解。だったら私達は西に行く。拠点は壊れたけど、ボスを倒さなきゃ終わらない。せっかくここまで生き残ったのなら、最後まで生き残らないと損。ポイント10倍と、生き残って経験は死守する」


 「相変わらず稀人って便利ねえ、離れた所の情報も手に入るなんて。まあ、行くなら早く行きましょうか。数が減ったら余計に不利になるし」



 ラスティアの一言で皆も移動を開始した。僕達も走って東へと向かう。それなりに広く遠いので大変だが、それでも走っていれば着くもので、無事に東側へと辿り着いた。南のプレイヤーも散らばって他の方角を助けに行った者も多い。強制じゃないから座ってる人も居るけど。


 東側の草原を走りながらボスを見ると、巨大な鶏っぽいボスで尻尾が蛇だった。



 ―――――――――――――――


 <イベントコカトリス> 魔物 Lv33


 イベント限定のコカトリス。本来の強さではなく石化能力は無いが、代わりに麻痺能力を持ちHPが高い。総力を結集して打ち勝て!


 ―――――――――――――――



 これまた面倒な。石化したら治せないから、代わりに麻痺能力なのは分かるけどさー。それでもボスに麻痺させられたら致命的だと思うけどね。そして遠くから見て分かるけど、麻痺するのはブレスだ。結構な広範囲にバラ撒いている。


 僕達はブレスの影響が無い方向から近付き、素早く尻尾の蛇を突き刺す。根元を突き刺したのにも関わらず、半分も穂先が入らなかった。かなりの強敵だ。鋼鉄の槍とはいえ、それなりに優秀なんだけどなぁ……。


 尻尾の蛇が噛み付つきに来たので素早く離脱。コカトリスが痛みに怒りブレスを吐いてくるも、僕は走って後ろへ逃げる。左右に移動すると他の人までブレスを受けてしまうからね、後ろにしか逃げられないんだよ。


 その間に召喚モンスター達が一斉に攻撃。ラスティアとキャスティは遠間から魔法で攻撃している。コカトリスがファル達にブレスを吐くも状態異常が効かないので何の効果も無い。流石にブレスが効かないのを理解したのか跳び上がり、足で蹴ってくるが素早くガード。


 その隙にセナがヌンチャクを叩き付け、首に衝撃を受けるコカトリス。怒ったコカトリスはセナに攻撃しようとするも、その隙にシグマの片手斧が胴体に叩きつけられた。雪怪木と白曜石製であり魔力を流して攻撃したからか、相当食い込み血を噴出するコカトリス。



 「ギェェェェェッ!!?!?」



 そんなチャンスを見逃す筈も無く、後ろから足を思いっきり殴りつける僕。その衝撃と威力で倒れたコカトリスは、仲間の全員からリンチにされて天に召された。最初は歓声を送っていた周囲のプレイヤーも、最後のリンチの時には「うわぁ……」という声が漏れている。存外に失礼な連中だな?。


 東のボスを倒したものの、北からの救援要請はまだあったので僕達は北側へと走って行く。とにかくこの状況を何とかして攻略しないといけない為、四方のボスを倒すのが先だ。それさえ倒せば<鬼面武者>は全員でボコればいい。


 北側に辿り着いたのでボスを確認すると、でっかい棍棒を持ち豪華な鎧を身に纏ったオークだった。



 ―――――――――――――――


 <イベントオークキング> 魔物 Lv33


 イベント限定のオークキング。本来の強さではない代わりに、HPが高く治癒能力が高くなっている。自動回復するので生半可な攻撃ではジリ貧となってしまう、一気呵成に攻めて倒そう


 ―――――――――――――――



 だからボスに自動回復を持たせるんじゃない。というか、治癒能力が高くなっているとしか書いてない? という事は天然のオークキングも自動回復するじゃん! 面倒臭いなぁ、もう。その設定は分からなくもないけどさ。


 ゴブリンキングとかオークキングって自動回復するイメージだけど、こんなイベントで先行して出てきて、自動回復能力は高いとか……。運営は何を考えてこんなのを用意したんだ、まったく。


 近付いて攻撃するも豪華な鎧に阻まれる。棍棒で反撃してくるが素早く下がって回避。他の人からタゲをとる為に顔面に魔法をお見舞いしてやった。他の人は疲れているのと、やはり自動回復が突破できなかったのか、武器が壊れている。


 僕はオークキングの攻撃をかわしつつ、近くのプレイヤー達に持っている武器をバラ撒く。周囲のプレイヤー達もすぐに気付き、僕が放り投げた武器を拾って戦い始めた。それは良いんだが、”アイツ”が急に起きたね。


 ………成る程、これはそういう事か。僕がオークキングを引き付けて攻撃を回避していると、後ろに回った奴が居る。【精密魔力感知・下級】と【練気感知・下級】ではしっかり認識出来ているから無駄なんだけどね。


 僕がオークキングの攻撃を回避した直後、後ろから攻撃してきた奴に対して横っ飛び。相手の攻撃は空を切り、僕には全く当たらなかった。



 ―――――――――――――――


 <ユダ> 稀人 Lv30


 種族:人間

 メイン職業:剣士

 サブ職業:砥ぎ師

 状態:健康


 ―――――――――――――――



 裏切り者の代名詞みたいな名前だな。もしかしてコイツ、最強勇者のまとめ役かな? かなり驚いた顔をしてるけど甘いね。その隙を見逃すオークキングではなく、まともに棍棒の直撃を貰い吹っ飛んだ。僕はすぐにGMコールを行い、適当に報告しておく。どうせ監視されてるだろうし。


 そのままオークキングの前で回避盾をしていると、シグマがオークキングの右足を断ち切った。御蔭で体を支えられなくなり崩れ落ちる。素早く前に出たキャスティが鉄の剣を首に刺し込み抉って引き抜く。呼吸が出来なくなったオークキングは暴れ始め、そこに魔法や攻撃が叩き込まれると光となって消えた。


 僕達の勝利なんだけど、さっきの最強勇者っぽいのはどうなったんだ?。



 「コトブキを後ろから狙った奴? それなら私がブッ殺しておいたわよ。起き上がろうとしていたところに振り下ろしてやったからね。断頭台で落とされたみたいな格好になって、綺麗に飛んでたわ」


 「それは……タイミングもバッチリでしたね。なかなかありませんよ、そういう事は!」



 何か喜んでる? それはいいとして中央に行くよ? 流石に西も終わってるだろうし、残りは居ても中央の<鬼面武者>って奴だけだと思うしね。


 そう言って中央に向かうと、壊れた拠点の中心で仁王が必死の形相で戦っていた。相手は鬼の面をして顔を隠した武者だけど、かなり強い。それは足運びや重心移動、体重移動の技術を見れば簡単に分かる。


 あの武者を見ていると、ゆっくりと”アイツ”が起きてきた。僕はすぐにドースに近付き、雪怪木と白曜石の笹穂槍と交換する。さてさて、仁王は苦しんでるけど、あいつはどれほどの強さかな?。


 僕の顔は今ニンマリとしているだろう、”ヤツ”が起きてくると大抵そうらしいからさ。


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