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0173・第二回公式イベント・第1ウェーブ終了




 結局女性陣に押された後でユウヤに連絡したら、「仕方ないんじゃね?」というありがたくない一言を貰った。ユウヤもそうなる可能性が高いと思っていたらしい。ナツはともかくトモエとイルの時点で、絶対に最高難易度に挑戦するってさ。


 言いたい事はよく分かるんだけど、止めるのに協力してほしかったよ。仕方なく拠点10を選ぶと足下に魔法陣が展開され、僕らは拠点10へと飛ばされた。


 ……そこは殺風景な場所で、石を積み上げただけの壁が近くにあり、木の板の屋根が見える一室だった。出入り口にはドアが無く、外に出れば確かに簡易砦と言えるような場所であった。


 しかし思っている以上に広く、これを全て防衛するには前に出るしかない事も分かる。今回は武具の破損が有りなので、前回のイベントとは違う。イベント終了後にも復活しないので、武器を壊す訳にはいかない。その為の鍛冶師でもあるんだけどね。


 本当に鋼鉄製の武器を手で持って来て良かったよ。少なくとも対応は出来る。最悪、雪怪木と白曜石の武器は強引に作り直せばいい。耐久力の最大値が大幅に減りそうだけど、これに関しては仕方がないね。壊れたら戦えないし。


 今のところはまだ始まらないのでグルっと一周して回り、地形などを確認しておく。北は森になっており、西には丘がある。南は沼地で、東は草原。一番嫌がられるのは沼地だろう、断言する。だからこそ僕はそこへ行く事に決めた。


 皆の下に戻ると、物資や配置の確認などをしていたらしく、話し合いをしているようだ。



 「おうコトブキ。ここの物資は駄目だ、ほぼ無い。最初から期待すんなって量しかねえわ。まだ誰もやってないけど、誰かが懐に入れて終わりそうだ。わざわざ皆からヘイトを買う必要も無いし、手を付けない方がいい」


 「たったアレだけしかない事を鑑みるに、間違いなく内部での足の引っ張りあいを起こさせたいんだと思う。正直に言ってそういうのが見え隠れしてるから、拠点内に居ない方がいい。ユウヤが出来るのも研ぎぐらい?」


 「そうだな。砥石が出れば研ぎは出来る。鍛冶師は砥ぎ師ほどじゃねえけど、研ぐだけで耐久力を回復させられるからな。ただし俺達の持ってる白曜石製の武器は無理だ。研ぎで回復させられるのは金属製に限るんだよ」


 「鉄製のメイスもちゃんと持ってきてるよ。だからお願いねー」


 「とりあえず魔力強化さえしなければ長く使える筈よ。そもそも絶対に魔力強化しなきゃいけない訳じゃないし、鋼鉄製よりも耐久力は高いんだから大丈夫でしょ。ウェーブ数が多い分、そこまで強い魔物もポンポン出ないだろうし」


 「北は森で西は丘、南は沼地で東は草原。おそらく東西に集まると思うから、僕は南に行きたい。ハッキリ言って最強勇者どもが居る可能性を考えると、不人気な場所の方が安全だと思う。後ろから刺されるのはゴメンだからね」


 「あー……確かにな。後は手に入れた物資を他の所の奴等と交換すりゃいいか。それぞれの所で別々の物が出そうな気はするし。……となると森の魔物からは木か?」


 「森が木なら丘は……石? 草原が食べる物なら沼地はなんだろう? 始まらないと分からないね。まあ、そろそろだけど」



 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 AM9:00となりました。これより第二回公式イベント<全力で生き残れ!>を始めます。皆さんの健闘結果が新PVとなります。張り切って頑張って下さい。


 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



 「新PVって……少しは隠しなさいよ」


 「分からない。もしかしたらバカに対する牽制かも。お前達は見張られてるっていう牽制なら、敢えて言うのは分かる。それでもやったら証拠として出すだけ、って考えてそう」


 「ま、とりあえず最初のウェーブは全員で戦おうぜ。南は本当にプレイヤーの数が少ないみたいだから、本気でやらないと多分無理だと思う。コトブキは前に突っ込んで俺達がサポート。スタンピードの時と一緒だ」


 「はいはい、了解。それじゃあ、行ってくる」



 そう言って僕は前に出て行く。沼地だから動き難いけど、そこまで沼地で早く動く魔物も早々に出てこないでしょ。ラスティアとキャスティはあからさまに嫌がってるけど、ファル達はちょっと楽しそう。田んぼと変わらないからかな?。


 特にフォグは歩いているのか泳いでいるのか分からない状態だ。そうやって更に南へと進んでいると、遠くから敵が来るのが見えた。蛙が来ているのと……アレは蜻蛉とんぼかな? 蛙より大きいけど


 ビックリサイズの蛙や蜻蛉とんぼを倒していきつつ、ときおり【ダークウェーブ】を放つ。当たり前だけどMPは回復するので使わないと損だ。ラスティアやキャスティにドースやフォグもウェーブ系魔法を放っている。


 味方に被害が出ないように上手く使って敵を倒しているからか、殆ど後ろに進ませる事なく処理できている。最初のウェーブだから、そこまで強くもないのは分かっているけど、最初が上手くいくと弾みがつくからね。上手くいっていて何よりだ。


 そのまま戦っていると、敵の数が減ってきた。おそらく第1ウェーブは終了なんだろう。



 ―――――――――――――――


 第1ウェーブが終了しました


 ―――――――――――――――



 すぐに次のウェーブが始まったりはしないだろうから、今の内に皆にアイテムを渡しておこう。まさかこんな物がドロップするなんてねえ。



 「よっ、おつかれー。第1ウェーブはこれで終了みたいだけど、他のところではちょこちょこ取り零しがあったみたいだな。この拠点を纏めている仁王が怒ってたぜ」


 「あれ? 金剛騎士団の仁王がまとめてるの? 集中して戦ってたから知らなかった。確か仁王って【忍耐】の天使と契約した筈よ。そんな書き込みを見たし」


 「「ゲェッ!?」」


 「ラスティアはともかくキャスティまでそう言うって事は、相当の人物みたいだね? 極度のドMで修行好きとは書いてあったけど……」


 「あの者は自分を虐めるのが好きなのですが、修行をしながら自分の体を虐めつつ……変な興奮をするんですよ。何なら修行中に「ハァハァ」言い出すくらいでして」


 「本当にね。私もアイツ嫌いなのよ。昔戦った際に鞭で攻撃したらさー、あからさまに「ハァハァ」言いながら悦ぶのよアイツ。【色欲】の私までドン引きするぐらいよ? 【忍耐】の天使じゃなくて【悦楽】の悪魔の方が正しいんじゃないの?」


 「私も似たような事を思った事がありますが、それでもあの者の心根は間違いなく【忍耐】なんです。あんなに悦んでいても【忍耐】であり、私達天使も不思議でしょうがないのですよ」


 「そんな奴なのかよ。ネタキャラみたいに言われてたけど、とりあえず近付かないでおこう。それよりも南の沼地で手に入るのがまさか主食とはなー」


 「おにぎりとパン。稀にサンドイッチだったり、チャーハンだったりする。訳が分からないけど、ここは主食。ならおかずは?」


 「………おかずは東の草原みたい。お肉やお魚が出たって書き込みがあるよ。何故か拠点10の人しか使えない掲示板があって、そこしか読めないし書き込めない」


 「ついでに北が木で、西が石なのも当たってたわね。砥石は西みたいだけど、今のところ特に必要ないわ。魔力強化を使わない限りは、そこまで大きく減ったりしないし。むしろ殆ど減ってない」


 「多分だが、耐久値が減るような魔物じゃないんだろうな。最初の頃の武器なら減るんだろうけど、俺達が持ってるのは魔力強化してくる魔物用の武器だし」


 「流石にそろそろマズそうだから、僕は前線に戻るよ。そこまで各ウェーブの間隔も長くないだろうしね。前に居てどこまで戦えるかは分からないけど、可能な限りは減らすから」


 「おお。無理そうなら後ろに流せよ。俺達も居るんだからな!」



 さて、次は第2ウェーブだ。どんな敵が向かってくるのか楽しみだなぁ、戦い難いけど。


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