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0168・勇者と名乗るモブ




 スマッシュタイガーを倒した後、再び鉱床で採掘を行い掘れるだけ掘る。


 それが終わったら近くの森へ【ダークウェーブ】を連発し、スノートレントとの戦闘を開始。昨日と同じく8割ほどを先に倒してしまい、残りを皆で始末して終了。仲良く2本ずつ手に入った。


 しかし20体ほど倒して2本というのは本当に少ない。スノートレントが大して強くないから助かってるけど、これで強かったら厳しいと言わざるを得ないね。それでも100体倒して1つとかよりはマシだけど。


 来た道を戻りつつ適当に魔物を倒し、洞窟近くにまで戻ってきたら【精密魔力感知・下級】で調べる。すると、やはり洞窟の中に魔物の魔力を感じる、間違いなくフリーズベアだろう。



 「つまりアレか? ここに来たら必ず崖の所でスマッシュタイガーが出て、必ず帰りの洞窟ではフリーズベアとかいう一番強い奴と戦わなきゃなんねえの? マジかよ、厳しくね?」


 「おそらく、ではあるんだけど……流石に3連続こうだとね、確定と言っても良いと思う。とにかくフリーズベア戦だ。フォグは昨日、一昨日と同じように【スモールピット】を頼む」


 「ク!」



 準場万端で洞窟に入っていくと、予想通りにフリーズベアが居た。咆哮を上げながら向かってくるも3日連続3回目の転倒をし、転がりながら僕達の前へ。前衛の皆が一気呵成に攻撃し、何と右前足を切り落としてしまった。


 フリーズベアは絶叫を上げながら痛がるが、戦場でそんな事をしても追撃を受けるだけである。更なる追撃を受けたフリーズベアは結局良いところもなく死んでいった。ブレスすら吐かれなかったから完勝だね。



 「今日は運良く完勝できたけど、一昨日は死闘だったし、昨日も苦しかったんだよ。フリーズベアってブレス吐いてくるから、さっきの戦闘はここ3日で一番上手くいっただけ」


 「心配しなくても弱いって勘違いしたりしねえって。そもそもだけど、あのスマッシュタイガーより強いんだろ? その時点で勘弁してくれって話だ。一撃で盾がどんだけやられたと思ってるんだよ? 正直言って新しい盾が要るわ、ここ」


 「僕は鋼鉄を被覆したけど、ユウヤはどうするんだい? 僕が作ってもいいけど……」


 「いや、流石に盾士で鍛冶師だからな、自分で作る。むしろコトブキに頼みたいのは棍棒だ。あの白曜石とスノートレウッドとかいう木を組み合わせて棍棒作ってくれ」


 「了解」



 閂をして転移魔法陣に乗ってバイゼル山へ。シャルロットさんの家の鍛冶場に入り、まずは白曜石を精錬する。その後ユウヤに合わせてスノートレウッドを【変形】させ、白曜石を被覆すれば完成だ。ユウヤの言う通り普通の棍棒だけど、これでいいのかな?。



 ―――――――――――――――


 <棍棒> 雪怪木と白曜石の棍棒 品質:4 レア度:3 耐久580


 スノートレウッドに白曜石を被覆しただけの棍棒。非常に分かりやすい武器であり、蛮族御用達の武器にも見える。巨人族用であり大きく威力も高いが、それ以上にシンプルであるが故の耐久力の高さが魅力。蛮族武器と舐めない方が良い

 攻撃力21 破壊力6


 ―――――――――――――――



 「耐久580!? たっか! 何だコレ!! 攻撃力とか破壊力以上に、ビックリする耐久力だなー。魔力を流すと武器に負担が掛かるって聞いたし、耐久力が高い方が都合がいい。しっかし……コレすげえなあ」


 「それでいいみたいなんで、僕は師匠の家に戻るよ。昼食食べた後、僕も物作りしなきゃいけないし」


 「おお、すまねえな。助かったぜ、コトブキ。これで俺も豪雪山で戦える」


 「僕としても多く加工経験が得られるのは助かるからね、それぐらいは問題ないよ。じゃ」



 ユウヤと別れた僕は転移魔法陣で屍人の森に戻る。今日はいきなりナイフが飛んでくるという事はないみたいで何より。そう思った矢先に、またおかしな連中が攻めてきた。十数人で徒党を組んでいるが、昨日と同じだろう。



 ―――――――――――――――


 <ABCDEF> 稀人 Lv28


 種族:ウルフマン

 メイン職業:犯罪者

 サブ職業:犯罪者

 状態:健康


 クラン:最強勇者


 ―――――――――――――――



 「また適当ネームのモブが来たのかー。適当なネームで誤魔化せると思ってるのかもしれないけど、適当なネームの時点でモブなんだよね。最強とか名乗ってるダッサいモブ。自分達の事ぐらい理解しなよ」


 「あんだと、テメェ!!」


 「モブは口も汚いんだね。まあ、脇役にすらなれないザコだから仕方ないんだけどさ。<厨二病クランに入ったらモブだった件>。うん、間違いなく売れないラノベのタイトルだ」


 「調子に乗っ、グベェッ!?」


 「調子に乗ってるのはどっちかな? この程度の実力で向かってこられてもねえ、僕を殺すのは無理だよ。モブ君にはそれが分からないんだろうけど、さ!」


 「ガヴェッ!? ガフュ、ゴフュッ!!」



 喉元がガラ空きなんだよ。弱過ぎて”アイツ”が起きてくる事も無い。それに既にGMコールしてるから、おそらくこの状況も記録されてる筈だ。師匠の家に攻めてきたのはコイツらだし、犯罪者だから殺しても問題無い。


 というよりあの犯罪者っていう職業、おそらく稀人専用だと思う。NPCでさえ盗賊とかなのに、わざわざメインもサブも犯罪者っていう職業になってる。アレはどう考えても懲罰用の職業だろう。


 修羅スケルトンや、リビングアーマー・ミラーも凄いけど、トライボーンウルフがエゲつない。思ってた通りに3つの頭がそれぞれ魔法を使うんだけど、酷かった。


 よく分からない闇の帯で雁字搦がんじがらめにされて噛み千切られたモブ。闇の炎に焼かれて死んでいったモブ。闇の小さな球が飛んでいき、着弾した瞬間広がって吹っ飛んで死んだモブとか居たんだけど……? あれ、本当に僕が使えるようになるの?。


 修羅スケルトンは上の二本の腕で持ち上げて、下二本で滅多打ちにしてたし、リビングアーマー・ミラーはいきなり背後から刺し殺してた。ある意味でリビングアーマー・ミラーが一番酷いと思う、真面目に戦う気が無いみたいだしね。


 モブ君達をさっさと処理し、後片付けは師匠の召喚モンスターに任せて家に入る。ソファーのある部屋に入るとトモエが細工をしていた。どうやら外の事には興味も無かったらしい。



 「外にまた<最強勇者>の奴等が来てたんでしょ? コトブキがモブって言ってるの聞こえてたから」


 「まあね。最強勇者とか名乗ってるダッサいモブって言っておいたよ。実際さー、適当ネームの主人公なんて居る訳ないじゃん。勇者って事は主役だよ? 主役がモブネームな訳ないだろうにね?」


 「勇者ああああ。何かそんなのが昔あったような? まあ、そういうネタだから良いんだけど、アイツらは唯の荒らしだからねぇ。そのうえ勇者でも何でもないし。勇者って勇敢な個人の事よ? SNSなんかで募集してる時点で勇者でも何でもないじゃない」


 「何て言うか、狩人ギルドで会ったヤンキー君と同レベルなんだよ。<最強勇者>とやらと<世露死苦>。僕にはどこが違うのかサッパリ分からない。他人に迷惑をかけるモブ。どっちも結局は型に嵌まってる<何処かの誰か>という程度でしかないのにね」



 ファルが昼食に呼びに来たので食事に行く。どうもトモエもまだ食べてなかったらしい。僕達は食事をした後にログアウト。リアルでも昼食を食べる。それにしても、モブ君達を駆逐するには時間が掛かりそうだね。


 Gってカサカサしてしぶといから仕方ないんだけど、彼らは自分達がそのレベルだと気付いてもいない。本当に無様な連中だ。


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