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0167・豪雪山での素材集め




 朝食を終えた僕達は防寒具を着込み、転移魔法陣へと進む。今日はギンを最初から懐に入れているトモエ。昨日は動き難かったから助かるよ。今日はちゃんとした武器を持ってるんだし、前でも戦えるからね。


 バイゼル山に行くとユウヤが既に待っていたので、一緒に豪雪山へと転移。閂を外して格子を出たら、閂を閉じて洞窟を出る。



 「一面が銀世界だなー! こりゃ豪雪山と呼ばれる筈だ。それにしてもこれだけの毛皮着てて寒いとか、ちょっと尋常じゃねえぜ。さっさと採って、さっさと帰るのが一番だな」


 「それがさ、簡単に移動出来たら苦労はしない距離なんだよ。とりあえず歩いていこうか」



 まずはいつも通りに右へと向かっていく。こっちはウサギやホワイトウルフしか出ない方なので、出てきた魔物と戦うのだが……。



 「クッソ! ウサギはともかく狼には碌に効いてねえ! 魔力で強化しないと効かねえってマジなんだな。師匠でさえ魔鉄のメイスで向かったらしいから、俺が頑張っても意味ねえな、こりゃ!」


 「あの大きなメイスは魔鉄で出来てたんだね。どう見ても撲殺兵器にしか見えなかったけど」


 「師匠が使えば丸太でも撲殺兵器だっての。それより体当たりだけで殺されかねないぜ?」


 「まあ、それは見ただけで分かった。アレは駄目だって見た瞬間に思ったからさ。<不沈>ってシャルロットさんは言われてるみたいだけど、あの盾を見た瞬間、山が突撃してくるのを幻視したよ」


 「ちなみに言っておくんだけど、盾での突撃はシャルロットの得意技よ? あいつ、それでどれだけの敵を轢き殺して撥ね殺してきたか。そういう戦い方をする奴なのは覚えておきなさいね?」


 「「「………」」」



 いや、「轢き」殺して「撥ね」殺すって何さ? シャルロットさん自体が質量兵器って事? ……これはアレだ、深く考えちゃ駄目なヤツだ。ここはゲームの世界なんだし、何でもアリだと思えば普通の事……いやいや、装甲車じゃないんだからさぁ。


 色々ツッコミたい部分はあるけど全力でスルーし、僕達は昨日も通った道を進んで行く。途中で何度か魔物と戦い、到着した採掘ポイントで採掘。その後はスノートレントとの戦いを始める。昨日と同じように石球を投げつけ戦闘を開始したら、後は個々に戦っていく。


 僕達は毎回レイドを組む形で戦っているので、誰が倒してもドロップ取得の権利は全員にある。このゲームではレイドを組むとドロップなどの確率は下がるので、欲しい物がある場合は組まない方が良い事も多い。


 僕達は気にしないので問題ないが、どんなMMOでもドロップで揉めるのはあるあるだ。レアアイテムでさえ揉めない僕達が珍しいとも言えるけど、僕はレアが有ろうが無かろうがそこまで気にしない。無くても戦えるなら何も問題は無いしね。


 ちなみに使い魔の2人は別枠で、召喚モンスターとも違う枠となっている。どうにも特典みたいな感じで、2人が居ても仲間枠を圧迫せずにドロップ率も落ちていないっぽい。


 今回は1本だったけど、やはりスノートレウッドの入手確率は低いなぁ。



 「このスノートレウッドっていうのが必要になりそうだけど、何本出た? 俺1本しか出なかったんだけど、コレって確率的にどうなんだ?」


 「普通。僕も最初1本しか出なかったけど、ラスティアがそんなものって言ってたから。スノートレウッドを集めるのは大変だよ、特に木って結構色々な物に使うしね」


 「まあなあ。師匠なんて魔力を籠めても傷が付きにくい良い素材だって言いながら、割って炭にしてたぞ? 何でも魔力金属を属性金属にする場合は、魔力に馴染みやすい木材の炭を使った方が良いんだってさ」


 「これから魔力金属が主体になっていくのかもしれないけど、まず魔力金属の作り方を知らないんだよね。何処かで情報を仕入れた方が良いんだろうけど、何処で教えてくれるんだろう? シャルロットさんに聞いたら教えてくれるかな?」


 「エンリエッタさんに聞くのは駄目なのか?」


 「師匠は放任主義っていうか、ギリギリまで自分の力でやれってタイプだから、碌に教えてくれないんだよね。今日は珍しく教えてくれたけどさ。あれも珍しい事だし」


 「【総合鑑定・天魔級】に【詳細看破】、そして【鑑定妨害】のスキルね。コトブキの鑑定が出来ない話をしたら教えてくれたのよ。どうもコトブキに対しては【看破】系が無ければ無理っぽいわね」


 「へー、ありがちなスキルとはいえ、習得の仕方がサッパリ分かんねえ。ま、【総合鑑定】にランクがあるって分かっただけありがたいか。鑑定って統合されたら終わりだと思ってたからなあ、まさか下級にすらなってなかっただけとは……」


 「本を読んで知識を溜めるのと、実地で鑑定して経験を積むのが重要みたいだね。まだレベルキャップで30以上へは上がらないし、今はゆっくりとスキルレベルを上げれば良いかな?」


 「コトブキは相変わらず読まねえのな。お知らせの所に、日曜日に第二回のイベントがあるって書いてあったぞ。知ってると思ってたわ。その次の月曜日はアップデートで、レベルキャップが外れるんだよ」


 「ヘー、やっとかぁ。それにしても二回目のイベントって何するんだろ?」


 「あんた達、余裕ねー。ま、倒せてるから問題無いけど、ちゃんと注意しなさいよ。昨日みたいに足下にアイススライムが居るかもしれないんだから。って、フローズンエレメンタル……」


 「あの濃い顔のが現れましたか。いちいち面倒ですけど放置も出来ませんし、さっさと倒しましょうか」


 「面倒って、ただの雪だるまじゃ「GYAAAA!!」ねえ、キモッ!!!」


 「やっぱりそう思うわよね? 急に劇画風の顔になんのよコイツ。それまで普通の雪だるまの癖に、なんでこういう地味な事してくるのかしら?」



 ユウヤも飲み込めなかったかー。可愛い系からの豹変はよくあるパターンとはいえ、いきなりやられると反応するよねえ。僕もかろうじて飲み込めただけで、ギリギリまで出かかったから気持ちは分かるよ。


 その後もアイススライムやフローズンエレメンタルを倒しながら進み、崖に着いたので採掘していく。なかなかの崖だけど、まだまだ豪雪山には上があるんだよ。どれだけ高い山なんだろうか? そう思っていたらスマッシュタイガーが現れた。


 昨日と同じようにセナ達に警戒してもらっていたから襲われてないけど、よくシャルロットさんは一人で掘りに来れるよね。実力が違うと言えばそれまでなんだけども。



 「ぐおっ!?! づぅ、クッソ! やってくれるじゃねえか、コイツ!! おらぁッ!! ……って、コイツもかよ!?」


 「ユウヤ。ここではウサギとスライム以外は強化される。スライムは魔法で倒すからよく分からないけど、実質ウサギ以外は魔力を込められる武器が要ると考えていい」


 「おいおい、勘弁してくれよ。マジで一人で来なくて良かったぜ! 俺は碌に魔法とか覚えてねえんだよ。今度からは何かの魔法を覚えておく!!」


 「覚えるなら【火魔法】か【水魔法】じゃない? どっちも鍛冶に使うみたいだし。よしっ、上手く当たった!」



 昨日トモエに作った鞭が、上手くスマッシュタイガーの顔面に直撃。どうもスマッシュタイガーは目をやられたらしい。目を瞑りながらも激怒したような咆哮を上げる。しかし戦闘中に目を瞑るのは致命的だ。


 セナのヌンチャクが直撃したすぐ後、ファルのモーニングスターが頭に振り下ろされて気絶。その隙を逃さず、シグマが斧を首に叩き付けた。赤い血が派手に噴出したスマッシュタイガー。やっと戦闘が終わった。



 「あの虎、スゲー強いのな。というか、ここの魔物ってどいつもこいつもレベル30を超えてるし、魔力で強化する奴等ばっかり。間違いなくレベルキャップ外れた後に来る所だろ」


 「レベルキャップが外れた後に来たって、強化武器を持ってなければ苦しい事に変わりはないよ?」


 「まあ、そりゃそうだけど……」



 愚痴を言いたくなる気持ちも分かるけど、先に強い武具を手に入れられるんだから良い事だと思うよ、僕は。


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