0162・雪怪木と白曜石
落ち着いた僕達は転移魔法陣でバイゼル山へ、そして屍人の森へと戻る。ようやく本当の意味で安堵できた僕達は、師匠の家へと戻りファルに夕食を頼む。水精石や白曜石も雑多な物が混ざっているので、精錬して綺麗にしておく。
次にスノートレウッドを使い、まずはトンファーを作ってみた。それがこれ。
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<格闘> 雪怪木のトンファー 品質:5 レア度:3 耐久370
雪怪木ことスノートレントの木であるスノートレウッドで作られたトンファー。攻撃力や破壊力よりも、魔力に強い素材である事の方が重要である
攻撃力13 破壊力2
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ふ~ん……やっぱり木製だからか、鋼鉄に比べれば落ちるね。それでも木製でこれだけの攻撃力をしていれば十分過ぎると思う。そのうえ耐久力は鋼鉄製と一緒なんだ、ビックリするね。で、当然こうする。
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<格闘> 雪怪木と白曜石のトンファー 品質:4 レア度:3 耐久450
スノートレウッドと白曜石で作られたトンファー。攻撃力や破壊力が高く、魔力に強い素材である為に多くの敵に使える優秀な武器
攻撃力21 破壊力3
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これは凄い。全体的に向上してるけど、何と言っても鋼鉄製より上なんだよね。魔力を通して使えるうえに、この攻撃力は素晴らしい。惜しむらくはこれ、超接近戦用なんだよ。フリーズベアの事を考えると、ちょっと怖い。
とりあえずセナの鋼鉄のトンファーと交換して棒手裏剣も回収し、ファルの盾から石を剥がして鋼鉄を被覆する。今までよりも重くなってしまったけど、これは仕方ない。流石に鋼鉄を使わないとフリーズベアの爪が防げないからね。
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<格闘> 雪怪木と白曜石のヌンチャク 品質:4 レア度:3 耐久460
スノートレウッドと白曜石で作られたヌンチャク。攻撃力や破壊力が高く、魔力に強い素材である為に多くの敵に使える優秀な武器
攻撃力23 破壊力4
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十分な攻撃力と破壊力を確保できた。後はファルかシグマなんだけど、ここはシグマにしておく。近接戦闘が出来ないとシグマも厳しそうだからね。シグマは武器を1つしか持ってないし。
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<斧> 雪怪木と白曜石の片手斧 品質:4 レア度:3 耐久480
スノートレウッドで作られ、刃の部分に白曜石が被覆された片手斧。魔力に強く、多くの敵と安定して戦える優秀な品であるが、修理できないのが玉に瑕。ただし錆びないという利点がある
攻撃力25 破壊力3
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今日手に入れた物は多くないものの、それでもギリギリで3つ作れた。やはりスノートレウッドが沢山必要になるな。頑張って戦わないと。最後にシグマのタワーシールドの石を剥がし、鋼鉄を薄く被覆して全てが終了。ファルが来たし夕食に行こう。
「今日は豪雪山に行くと言うておったがどうであった? コトブキなら戦えたであろう?」
ニヤニヤしながら語る師匠。間違いなく魔力強化系の魔物が出るって知ってたんだな、それが分かる表情だ。まあ、師匠が隠す事もしてないだけなんだけど。
「フリーズベアにはかなりの苦戦をしました。正直に言って、魔力で強化出来る武器がないと満足に戦えません。そこまで戦闘が多くなかったおかげで無事だったようなものです」
「それでもフリーズベアが倒せたなら十分過ぎるの。それで水精石などは手に入ったか?」
「はい。白曜石とスノートレウッドも手に入れましたが、セナのトンファーとヌンチャクにシグマの片手斧で無くなりました。明日からも頑張って入手してくるしかありません」
「ほほほほほ、苦労したならよい。楽ばかりになれば誰であっても驕るでな。洞窟から出て右に鉱床が1つ、左に鉱床が2つある。どちらに行ったか知らぬが真っ直ぐ進めばよい。それ以外の所に行くと遭難しても知らぬぞ」
「その遭難が怖くて真っ直ぐにしか移動してないっての。途中にあった林でスノートレントと戦ってたけど、7体で1本だったわ。普通ぐらいの確率だし、あいつらシケてるから仕方ないのよね」
「そうですね。面倒な魔物の割には、何も落とさずに消えていく腹立たしい連中ですし。ああいうのは稀に居ますけど、徒労感が大きくてイヤになってくるんですよ」
「ヘー……」
トモエはコタロウのレベル上げをダンジョンでしていたけど、やっぱり気になるようだね、豪雪山が。明日は一緒に行くって言ってるけど、大丈夫かな? 支配モンスターが寒くて無理って可能性も……。
夕食後、いつものソファーに寝そべってログアウト。2人にはアポ○チョコレートを渡しておいた。今日はここまで。
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2000年 9月14日 木曜日 AM8:41
今日はちょっと遅れたけど、理由は洗濯物が多かったから。その程度でしかないけど、時間は多くかかる訳で……。さっさとログインしないとトモエが五月蝿そうだな。
ログインしてギンをどけ、プレイヤーマーケットの売り上げを木箱に入れてギンを出す。久々の儀式だけど、どうやら今日もナツとイルはログイン出来ないらしい。ギンと遊んでいるとファルが来たので朝食に行き、トモエに準備が出来ているか聞く。
特に問題無いようなので、朝食を終えたら着替えて出発する。バイゼル山へ転移した後、豪雪山へと転移。即座にギンが騒ぎ出した。どうやら寒いらしく五月蝿いので、仕方なく僕の防寒具の中に入れる。
防寒具の中に着けている革鎧と服の間に入ってきて、そこで縮こまっている。余程寒いみたいだけど、コタロウは平気そうなんだよね? まあ、それぞれ動物というか魔物で違うんだろうけど。
トモエが若干睨んでくるんだけど、ギンが全く出る気がない事を言うと諦めたみたいだ。僕に当たられても困るんだけども。
昨日と同じく閂を外して扉を開け、外に出たら外から閉じる。トモエは一面の銀世界に若干ゲンナリしてるっぽいけど、コタロウが走り回っているのでテンションが上がったらしい。犬は元気だね、って狼だった。
昨日と同じくまずは右へと進んで行くと、昨日と同じくウサギが登場。すぐにコタロウを狙ってきたもののファルに阻まれ、セナのヌンチャクの直撃を受けた。一撃で昏倒したらしく、雪の上に落ちてからピクリとも反応しないウサギ。
素早く足に噛み付いて振り回すコタロウと、その横からモーニングスターを振り下ろすファル。直撃したウサギはそのまま死亡して消えていく。意外にコタロウの噛み付きパワーは大きいようだ。それとも昨日レベルを結構上げたのかな?。
「ふっふーん。今のコタロウはハイ・ミニウルフなの! 昨日とは違うのだよ、昨日とは!!」
「いったい何処の巨星なのさ、何処の。それはともかく、狼と熊が出てきたら魔法で戦うようにね。多分だけど支配モンスターも【魔力操作】系を持ってないとダメージが殆ど与えられないと思う。今日は初めてだから、僕も分からないけどね」
「魔力強化タイプでしょ。昨日聞いたから大丈夫、大丈夫」
まったく大丈夫そうじゃない一言を聞きながら進んで行くと、昨日と同じホワイトウルフが現れた。トモエに支配するか聞いたけど、大きいから要らないそうだ。なのでファルとシグマを前に出す。シグマが頑張って攻撃しているものの、碌にダメージは与えられていない。
やはり武器だけでなく【魔力操作】系スキルが必要だという事が分かった。次に魔力を通しつつセナに攻撃してもらうと、再び一撃で昏倒する魔物。どうやら魔力を含んだ攻撃は、攻撃力も破壊力も強化されるらしい。
とはいえ幾ら強力になるといっても、必要が無い時に使わせちゃいけないな。思っていた以上に耐久力が減っている。乱発するとマズい攻撃みたいなので、その情報をトモエと共有しておく。
思っていたよりも厳しいと感じたのか、トモエも渋い顔をした。魔力金属と同じく、耐えられる素材でコレだからねえ。
160話の誤字報告、ありがとうございました




