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0161・フリーズベア




 <豪雪山>で鉱床を探していた僕達だったが、ついに一つ目を発見した。ずっと進んだ先に垂直の壁になっている場所があり、そこが光っていたんだ。今は僕とファルとシグマで掘っている。スキルの習得に迷っていたシグマだが、何故か【採掘】を習得する事にしたみたい。


 鉱石が沢山必要になるだろうという事で手伝ってくれているようなんだ。ありがたいと思うけど、そこまで気を使わせたかな? とも思う。本人はあっさりと【採掘】スキルを入手して掘ってくれているけど。



 ―――――――――――――――


 <石> 水精石 品質:8 レア度:3


 水の魔力が篭もった特殊な石。魔力金属と溶かし合わせれば青の魔力金属に出来る素材の一つ。沢山必要になるので頑張って掘ろう


 ―――――――――――――――


 ―――――――――――――――


 <石> 白曜石 品質:7 レア度:3


 黒曜石に似た質感の白い石。石としては頑丈であり、かつ黒曜石のようにガラス質のようでもある。武具に利用される事もある石であり、魔力の通りは魔力金属と変わらない。ただし活かせるのは石工師か錬金術師のみ


 ―――――――――――――――



 「へー、確かにこの<白曜石>は使える石だね。こうなってくると、ラスティアが言っていたスノートレントもどうにかしたいけど……森に入ると出られなくなりそうで怖いし。どうしたものかな?」


 「悩むぐらいなら突っ込んでみたら? 浅くなら取り返しつくでしょ。もしくは誰か残しておくとか」


 「それなら釣った方が早くないですか? コトブキは石球を持ってますし、何回かぶつければ流石のトレントも怒って出てくるでしょう」


 「あんたも何気に酷い事を考えるわね? 段々とコトブキに染まってきてる?」


 「そ、そんな……!」



 下らない寸劇してないで行くよ。失礼なのはスルーしてあげるけど、代わりにしっかり戦ってほしいところだね。ラスティアとキャスティにトレントの事を聞いてみたら、トレントはどんな奴も魔力で強化が出来るそうだ。思ってた以上に厄介かもしれない。


 僕達は近くの林に近付きつつ、【精密魔力感知・下級】を使ってトレントを探す。外から見ながらウロウロしていると、木の形の魔力反応を発見。これは間違いなくトレントだろう。試しに【身体強化】をして石球を投げると……。



 「ギャァァァッ!!!」



 突然木の幹に顔のようなものができ、口を開いて絶叫した。間違いなくトレントなのはいいのだが、遠くの木も動いているのが分かる。どうやら仲間の絶叫で動き出すらしい。傍迷惑な魔物だなぁ。そう思いながらも【ダークボール】を撃ち込む。


 【ダークヒール】を使わないのは、トレントの動きが非常に遅いからだ。根っこで攻撃してくるとは聞いているが、それは根っこで叩いてくるだけで、地面の下から槍状にして突き上げてきたりはしないそうだ。2人に聞いたら何故かドン引きされたよ。


 他のゲームでもそうだけど、トレント系は割とそういう突き上げ攻撃をしてくると思うんだけど……まあ、このゲームのトレントがどうかは知らないし、少なくともこの連中は根っこで叩いてくる程度で助かる。


 ドースもフォグも魔法を放ち、結局はブレスを吐かれないまま倒してしまった。安全だったから良いんだけど、トレウッドは手に入らなかった。確率が低いのかは知らないけど、他にも居るのでどんどん倒そう。



 ―――――――――――――――


 <木> スノートレウッド 品質:7 レア度:4


 スノートレントの幹そのもの。木材としては優秀なトレウッドの中でも、寒冷地に住むトレントの物。高い凍結耐性を備えた木であり、寒さにも極めて強い


 ―――――――――――――――



 「確かにトレウッドは優秀って出てるね。しかし7体くらい倒した筈なのに、出たのはたった1本。出ただけマシだと思うしかないのか、それとも今日は運が悪いのか。イマイチ判断がつかないなー」


 「普通だと思うけど? とにかくどんどん倒しましょうよ。そしたら数が手に入るでしょうし」


 「いえ、今日はここまでにしましょう。遅くなったら帰れなくなるかもしれません。帰れるうちに帰るべきです。明日は朝から来ればいいのです、焦る必要はありません」


 「ああ、今日は朝からバイゼル山で掘ってたからね。明日からは豪雪山をウロウロするのに切り替えようか」



 キャスティの意見を採用し、帰れるうちに帰る事にした。流石に帰れなくなり遭難するのは怖いし嫌なので、ラスティアも文句を言わず、それどころか率先して帰っている。寒いという事もあるんだろうけどね。


 真っ直ぐ進んで洞窟まで戻り、中に入ろうとすると先客が居た。とても面倒臭い、かつ死闘の予感がする。



 ―――――――――――――――


 <フリーズベア> 魔物 Lv42


 豪雪山の主とも言われる熊の魔物。氷結ブレスを吐いてくるうえ、その爪は鉄と変わらない強度をしているとも言われる。簡単に獲物を噛み砕く顎と鋭い牙を持つので、迂闊に近接戦闘を行ってはいけない


 ―――――――――――――――



 「グルルァァァァッ!!!!」



 既にこっちをロックオンしており戦いは避けられないし、不意打ちも無理だ。そのうえ洞窟の中に相手が居るので、正面から戦うしかない。非常に不利だが倒さないと帰れないので、そうも言っていられないんだよね。



 「クー!!」



 フリーズベアが突っ込んでこようとした矢先に【スモールピット】で転倒させる事に成功したフォグ。倒れたフリーズベアに素早く【身体強化】と体重を乗せて突くも、相手の皮と毛に阻まれて穂先が止まってしまう。



 「冗談だろ!? 傷一つ付かないじゃないか! これはダメだ、魔法を主体にして戦うしかない。ファルとシグマは前に出て防御! ただし受け流すのが主体だ、決して受けるな!!」


 「カタ!!」 「ガン!!」



 前で2人が上手く阻み、その間に魔法を連発する。ドースは【ウィンドボール】、フォグは【スモールピット】で邪魔を、ラスティアと僕は【ダークヒール】、キャスティは【ライトボール】。


 とにかく武器で碌なダメージが与えられないので、魔法で持久戦を繰り広げるしかない。それにしても、フリーズベアの爪が2人の盾に当たる度に「ギャリィ!」という音がしている。おそらくは表面に被覆している石が削られているんだろう、このままじゃマズい。


 僕とラスティアの【ダークヒール】が碌に効いていないので、魔法を切り替えようとした矢先に状態異常が発生した。フリーズベアの動きが一気に悪くなったので確認すると、<状態:痺れ>となっていた。


 ここで焦っちゃいけない。一斉攻撃と言いたいところだが、こいつには氷結ブレスがある。実際ファルとシグマの御蔭でブレスを受けてないが、代わりに2人の盾は何度も受けて表面が凍っている。


 おそらく生きているなら何がしかの状態異常に掛かっている筈だ。2人がアンデッドなので助かっているんだろう。2人に感謝しつつ、僕とラスティアは【ダークボール】に切り替えて一気に攻める。


 最後はフォグの【アースボール】で倒す事が出来た。他の皆が安堵の息を吐いたものの、僕は素早く走って閂を外から外す。石の格子の扉を開けて皆を中に入れ、閂を掛けてようやく僕も安堵する。


 やれやれ、幾らなんでも強すぎないかな。師匠は「ちと、厳しい」と言っていたけど、ちょっとどころじゃないよ。フリーズベアだけは本気でヤバい。それと、2人の盾を何とかしないと、またフリーズベアが出てきたら耐えられないだろう。


 そういったものも含めて良い経験ではあったけど、死ななくて良かった。


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