0158・運営さん達10
2000年 9月5日 火曜日
『プレイヤー<コトブキ>がプレイヤー<ナツ>とプレイヤー<イル>と合流しました。フレンド登録している事から面識があると思われます』
「シャルロットの弟子もそうだったみたいだから、リアルの知り合いだろうね。多分だけど白山つながりなんじゃないかと思う。まあ、突っつくのは怖いからスルーで」
『会話内容を聞く限り、リアルにおいて【精密魔力操作】の事を教えたようです。ですが、この2人はそれを掲示板には流していません。監視は続けますが、警戒度は下げておきます』
「まあ、そこまで警戒しなくてもいいんだけどね。そもそも彼しか出来ないから何の問題も無いし。何よりあの低レベルでやること自体があり得ないと言い切っていいからさ。普通はもっと各スキルのレベルが上がって、多くのサポートを受けられるようになってからだよ」
『現在のスキルレベルであれば、プレイヤー<コトブキ>は殆ど自力だけで達成したと言っても過言ではありません。αテスターやβテスターでも不可能であり、βテスターの時のプレイヤー<コトブキ>であっても不可能です』
「そうなんだよねぇ……彼って進化してるって言ってもいい訳なんだけど、アレかなぁ。貴族に殺されるイベント。あの後の彼の目、間違いなく変わってたんだよ。あそこで本気になったのかな?」
「どのみち悪い事ではないから気にするな。むしろ特異点とも言える彼には本気を出してもらわねば困る。ある意味で人の可能性というものを見せてくれている訳だからな。我々観測者だけが、その事の意味を理解していればいい」
「ま、それはそうですね」
『………』
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2000年 9月7日 木曜日
『プレイヤー<コトブキ>の前に、一連のイベントの主犯である元兵士長が現れました。元兵士長が率いる<剛雷団>との戦闘が始まります』
「まあ、始まったところで彼には勝てないから特にどうもこうもないけど。強いて言えば、彼が元兵士長を殺すかどうかぐらいね。殺しても問題解決するからどっちでもいいし、貰える金額が違うくらいかしら?」
『首を持っていくと10万デル。身柄を渡すと25万デルです。プレイヤー<コトブキ>は、プレイヤー<トモエ><ユウヤ><ナツ><イル>と共にダンジョンへ行く途中だった為、負ける事はあり得ません』
「あーあー、彼だけでも無理なのに他のプレイヤーが居るって絶望的ねえ。そのうえ後ろに回ってボッコボコじゃないの。しかもキッチリ生かしてるし」
『他の盗賊は強くもない為、あっさり蹴散らされています。そしてプレイヤー<コトブキ>の召喚モンスターは、手早く倒す為に急所しか狙っていません』
「………本当に彼にそっくり。一応マスターの行動を学習するようにはなってるけど、それにしたって彼の連れてる召喚モンスターは異常というほかないわ。情け容赦の欠片もなく始末していくんだもの。キリングマシンになりかねないと言われる筈よ」
『プレイヤー<コトブキ>だけでゼット町に連れて行くようです。馬に乗せた方が早いからでしょう』
「まあ、賞金を受け取ってから、馬に乗って帰ってくればいいだけだしね」
…
……
………
『プレイヤー<ユウヤ>がバナナを99房スタック出来る事に疑問を呈していますが……』
「それねえ。散々悩んだらしいんだけど、面倒臭がって纏めたらしいわよ? 開発が面倒臭がったから、全て8本で1房になってるし例外は無いの。わざわざバナナで細かい設定する必要もないしね。1本でもスタックできるのは、それするとインベントリの邪魔だからさっさと食べろって事」
「まあ、言葉は悪いけどバナナだからねぇ……持って帰って売っても安いし、プレイヤーマーケットに流すほうが売れるんじゃないかな? 普通の食料として使えるし」
「ダンジョンにある物だからね。お菓子と違ってワールドに在る物はちゃんと食料として使える様に出来てるわ。バナナで飢餓度を何とかするのは大変だけど。1本で3しか減らないから」
「8本食べても24か……1房食べても低いねー。食料としては使いにくいか。おやつ感覚で食えるくらいかな。ゲームの中で朝バナナダイエットする人は居ないだろうし」
「懐かしいわね。昔そんなダイエット流行ったけど、アレって効果あったのかしら?」
「さあ?」
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2000年 9月8日 金曜日
『プレイヤー<コトブキ>の召喚モンスターである<セナ>が【精密魔力操作】と【練気操作】を習得しました。現在スキル枠の空きがありませんので【仙力操作】は習得出来ませんが、次の進化で習得すると思われます』
「……あらら、これは本当に習得するね。と、なると【屍解仙】への道が開けるんだけど、まさかあのグーラがねえ。彼が【魔闘仙】であり、このグーラが【練気操作】を持つ以上、間違いなく次はハイグーラだろうし、その次は……」
『プレイヤー<コトブキ>であれば【屍解仙】へと進化させると思われます。それと召喚モンスター<セナ>がそちらに誘導する可能性が高いでしょう』
「まあ、アレはアンデッド系でも極めて特殊な進化だからねえ。まず格闘系に寄ってないと進化できないし、それに基礎スキルの全てが必要であり、かつマスターが仙人系種族じゃないといけない。情報が開示されると荒れるだろうけど、気にしなくていいね」
『元々想定されていた騒ぎとなります』
「うん。だから慌てる必要も何も無いさ」
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2000年 9月9日 土曜日
『プレイヤー<コトブキ>がブルーサーペントと接触。予定通りに攻撃されました。召喚モンスター<フィーゴ>と<シグマ>が死亡しました』
「ふむ。彼は回避できたが、後ろに居た召喚モンスターは回避できなかったか。まあ、仕方なかろう。相手は遥かに高レベルなうえ、いきなりだからな。とはいえ彼自身は第一関門をクリアか」
『プレイヤー<コトブキ>が死亡していれば、その時点でスカルモンド伯爵が動くところでした』
「まあ……それを見たい奴等も居るようだがな。さて、ブルーサーペントを報告するか、もう一度調べに行くか。これによって分岐するが、彼はどうするんだろうな?」
『一度目はカメレマンを認識出来ないようになっています。二度目からは認識可能ですが、もう一度足を運ばないと見つけられません』
「警察は現場百回とか言うしな。簡単に見つけてもらってもこま、彼はもう一度調べに行くようだ。【精密魔力感知】や【練気感知】を持つ彼なら、カメレマン如き見つけるだろう」
『プレイヤー<コトブキ>がカメレマンを発見しました。そして暗殺者のリーダーに石球を投げつけて悶絶させています』
「相変わらずだが容赦が無いな。間違いなく生け捕りにする為に投げたんだろう。これで捕縛すれば、このイベントは満点の成績で終わるな。獣王国ビスティオの狙いが明らかになる」
『ブルーサーペントの毒殺と、ゼット町の鍛冶師の引き抜き。それによって軍事技術を高めてのブラッディアへの進攻です』
「そうだが、最初が頓挫したからな。このまま彼が幾つかを防ぐと、獣王国は方針を転換してエルフェリアにターゲットを変える。私としてはそちらの方が面白くなると思うのだが……」
「人によるんじゃないですか? 自分はエルフェリア潰れろ派なんで、そっちの方が良いですけどね」
「全方位見下しタイプのエルフは、本当に古いエルフだからなぁ。今の時代じゃ受け入れられないが、かつての時代は気位が高いで済まされてたんだよ。驚きだが」
「本当、そうですよねえ。そもそもエルフは自然派でー、とか言いますけど、ドワーフの使ってる金属だって自然の物でしょうにね」
「まったくだ」
『………』




