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0156・新しい石と木の情報




 ナツとイルの居ない朝食の席で、鉱石を掘りに行ってから<豪雪山>に行く事をトモエに行っておく。昨日どうしても売ってくれと言っていた鬼人族の狩衣の人に、槍を売ってしまった事を言うとトモエだけでなく師匠も納得した。



 「鬼人族。特に貴族階級の者どもは武器に目がない奴等が多いのだ。その鍛冶師が言う通り、奴等は魔力が多くないのでな、それでしっかりした金属製の物を喜ぶのよ。次に喜ぶのは魔鉄の武器であろうな。あれは闘気の通りが良い」


 「もしかして、武器って魔力や闘気で強化が出来るの? 知ってたら今までの戦闘でも、もっと効率よく敵を倒せてたのに!」


 「何か勘違いしておるようじゃが、魔力や闘気で武器を強化すると、驚くほどに武器が傷むから気をつけるがよい。その傷が少ないのが魔力金属なのだ。ただ属性が付くだけではない、魔力で強化しても傷みが少ないからこそ切り札のように使われる。そういった武器が今後必要になっていくであろう」


 「ワザと魔力金属で持つ方も居ますよ。属性が付いていると却って使いにくい事もあります。特にエレメンタル系などは同属性だと吸収してしまいますからね。魔力金属だけだと属性攻撃力が無いかわりに吸収もされません。ただしエレメンタル系にはそこまでダメージを与えられませんが……」


 「それにしても寒い所に行くのも大変ねえ。<水精石>が採れるらしいから分からなくもないけど、私達の分まで防寒具を買ってくれなくても良かったのよ? だったら行かなくて済んだのに」


 「使い魔にあるまじき言葉じゃの、言いたい事は分からんでもないがな。とはいえ<豪雪山>は<水精石>だけではない。少なくとも<白曜石>が採れるのも分かっておる」


 「<白曜石>ですか? <黒曜石>ではなく?」


 「うむ。<黒曜石>はガラス質の物じゃろ? そうではなく<白曜石>はそれに似た質感の石でな。ただし<黒曜石>よりも遥かに強度が高く、それでいてガラス質のものと同じように鋭く出来るのだ。木と組み合わせれば優秀な武器になろう」


 「そうかもしれませんが、その場合は木も選んだ方が良いと思いますよ? 魔木……は無理でも、トレウッドは使いたいところでしょう。そうすれば木の耐久力も十分だと思います」


 「「トレウッド?」」


 「トレウッドはトレントの木の事よ。トレントを倒すと手に入る事がある木でな、魔力の通りもよく耐久力も高い。確かに<白曜石>を使うのであれば丁度良いとも言えるな。ただし、この近くでは手に入らんが」


 「なら<豪雪山>とかいう山で木を伐ってきたら? どうせスノーウッドぐらいは生えてるでしょ。もしかしたらスノートレントが居るかもしれないけど……」


 「それは面倒臭いですね。彼らトレントの息は臭いうえに、何らかの効果がありますし……。グリーントレントが最悪なので、スノートレントはまだマシですが」


 「グリーントレントはジャングルのような場所にしかおらぬが、あやつらは毒の息を吐いてくるからのう。面倒な事このうえない。おまけに木に擬態して不意打ちをしてくる。サブ職業が<樵>でなければ簡単には気付けんし、厄介な魔物じゃ」


 「トレントって<樵>じゃないと気づけない魔物なんですか?」


 「いや、そんな事はないわよ? コトブキなら【精密魔力感知】なんだし気付くんじゃないかしら。<破滅>だって一度も引っ掛かった事がない筈だし、多分そういう理由よね?」


 「まあ………そうなんじゃが、答えをあっさりと言うでない。経験する事は重要じゃというのに、先に答えを教えてどうする?」


 「ごめん、ごめん」



 幾ら事前情報があっても、それだけで危険を避けられる訳じゃないから、結局のところは経験しないと分からないけどね。朝食も終わり掛けた頃、僕はトモエに赤仙桃を渡して説明しておく。



 「何か出血と骨折に効くらしいから、滅多に使う事にならないと思う。出血関係というのが微妙に分かり難いけど、何となく普通の出血関係じゃないんだろうね」


 「ほう、仙桃が作れるようになったか。流石は【魔闘仙】よ。仙桃は仙人系種族であれば作れる訳ではない。仙人系の種族でも修行を経た者にしか作れぬと聞くからのう。それがあっさり作れるとは……」


 「仙力を練って流していたら出来たんですよ。特に意識もしていなかったので最初は驚きましたね」


 「私達はそれ以上に驚いたけどね。桃色の普通の桃が緑色に輝いた挙句、段々と桃自体も緑色に染まっていくし。挙句の果てには見た事もない回復アイテムまで作り出すしさー」


 「美味しかったですけどね。ところで私達の分は……」


 「10個しか作ってないから、お昼にね。師匠はどうですか?」


 「うむ、1つ貰おうか」



 僕は師匠に赤仙桃を渡し、ファルと一緒にバイゼル山へと行く。昨日と同じように3ヶ所の鉱床で掘り、手に入れた鉱石を師匠の家に戻って精錬する。青銅と鋼鉄にした後は武器を作るんだけど、青銅は置いておき先に鋼鉄で槍を作ろう。



 ―――――――――――――――


 <槍> 鋼鉄の笹穂槍 品質:7 レア度:1 耐久520


 総鋼鉄製であり非常に耐久力の高い槍。形状は笹穂型であり、有名な槍と同系のタイプである。刺突も斬撃も出来るタイプの物なので使い勝手が良い。総鋼鉄製の為に重いものの、その破壊力は高い。

 攻撃力22 破壊力2


 ―――――――――――――――



 攻撃力は変わってないけど、破壊力が1上がってるね。槍にとっての1ポイントがどれだけ大きいのかは分からないけど、少なくとも前回の物よりは優秀になった。その分重いけど。普段は六角棒で戦おう。


 青銅は適当に三節棍にして売り払う。何故か妙に要望が多いんだよね。格闘武器の需要がやたらに大きいというか……いったい何なんだろう? メイス系も相変わらず多いけど、同じぐらい三節棍とかヌンチャクの需要がある。


 全て終わって一息吐くと、ファルから呼ばれたので昼食へ。トモエは色々な素材とコタロウのレベル上げにダンジョンへ行ったらしい。師匠は昼まで寝てたそうだが、午後からは<屍人の森>の最深部の掃除をするそうだ。


 掃除だとサラッと言えてしまえるところにレベルの違いを感じるが、今はレベルキャップで止まってるからしかたないね。それよりも昼食を終えたら<豪雪山>へ行くから2人とも着替えておいてよ?。


 僕は昼食後、ソファーの部屋に戻って2人に赤仙桃を渡すとログアウト。リアルに戻って昼食を食べる。その後は雑事を終わらせてゲームにログイン。何故か2人とも近くで赤仙桃を食べている。随分ゆっくりしてるけど、どうしたんだろう?。



 「ああ、コトブキ起きたのね。……私達がここに居る理由? 実はちょっと前に【強欲】の奴がやってきてさ、面倒な稀人に使われてたからかくまってくれって言ってきたのよ。で、嫌がった<破滅>がどっかに転移させたわ」


 「容赦なかったですよね。【強欲】の意見もほぼ聞いていませんでしたから。何処に飛ばしたのか知りませんけど、死んではいないでしょう。流石に死の危険がある場所には飛ばさないでしょうし」


 「ヤツを飛ばしたのはビスティオ……つまり獣王国じゃが、ゲートの真上に飛ばしてやったわ。おそらく今ごろエルフェリアに行っておろう。ある意味で面倒な稀人などおらぬ場所じゃ。ヤツも喜んでおるに違いない」



 エルフェリアって凄い差別の酷い国じゃん。しかもそこ稀人いるし。掲示板でも<古式ゆかしい伝統のエルフ>って書かれてたくらいだしねぇ。それにしても排他主義的なエルフって、どうしてもレイシストなイメージを持ってしまう。


 実際に掲示板を読んでると、どうもエルフェリアのエルフだけが排他主義的で他の全種族を見下してるみたい。他の地域のエルフはそういう感覚を持っておらず、特にハーフエルフはエルフェリアのエルフを毛嫌いしているそうだ。


 おそらく半分エルフだからこそ、余計に差別されたんだろう。それよりも、そろそろ防寒具を着込んで出発しよう。ダラダラしてても無駄だし。


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