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0151・狩人ギルドでの揉め事




 そろそろ戦場の高揚感も治まってきたので歩いて町へと戻る。皆と一緒に適当な雑談をしつつ町の入り口まで戻ると、狩人ギルドのギルド長と周りのスタンピードで一緒に戦っていた人達に迎えられた。



 「よく、戦ってくれたな!!」 「サイクロプスを倒してくれて助かったぜ!!」 「オレ達もうダメだと思っちまったよ!!」 「ありがとう!!」 「本当にありがとう!!」


 「死なずに済んだのは、お前達の御蔭だ!!」 「マジで助かったぜ! ありがとう!!」 「キャー!! カッコイイ!!」 「すげえ美人なのに強いんだなあ!!」



 皆に迎えられ、左右に手を振りながら応える。何か有名人になった気分だね。プロゲーマーとかってこんな気分なんだろうか? 正直言って必死に顔を取り繕うのが大変だよ。疲れてるのに笑顔とか……。



 「ふふ、私が美人」 「私に決まってるでしょ」 「2人の目は節穴なんだね……」


 「あんた達、喧嘩は今しちゃダメだからね?」 「そうですよ。こんな状況で喧嘩などしたら大恥になります」


 「「「………」」」



 ラスティアとキャスティは美人と言われ慣れてるのか余裕だね。それにしても美人程度ならトモエも言われ慣れてる筈なんだけど……まあ、いいや。藪を突付いて大蛇が出ても困るし。それよりも僕達を先導している狩人ギルド長は何処に行くつもりなんだろう?。


 そう思っていたら狩人ギルドまで連れて来られたよ。そのまま2階にまで連れて行かれたんだけど、何だがイヤな感じがするなー。



 「すまん、すまん。そんなに警戒しないでくれ。別に何か寄越せとかそういう事を言う気はねえ。そもそも魔物は倒した者のもんだ。オレ達のような狩人が一番その事を知ってる。苦労もな」


 「なら、こんな密室にまで連れてきて何の用ですか? そもそも有無を言わさぬように取り囲んで連れてきましたよね?」


 「あー、すまん。簡単に言うとだ、バルンカとメードの息子であるドーディオのヤツが五月蝿いんでな、一応の聞き取りをしなきゃなんねえんだよ。他のヤツの証言でOKと言えなくもねえんだが、本人達から証言とってねえってなったらオレ達の落ち度になるんでな」


 「バルンカとかメードとかドーディオとか知らないんだけど? 誰、それ?」


 「えっと……ネクロマンサーのお前さんが話しかけたら、愛想の悪い男と女が居なかったか? そいつらがバルンカとメードで夫婦なんだよ。で、その息子が少し離れた所に居たっていうドーディオだ」


 「あー、なんか居たような居なかったような……。正直言ってどうでもいいんで、あんまり覚えてませんね。スタンピードと戦う方が大事でしたし、やたらに自信過剰だったんで話したくなかったですし」


 「まあなあ。あの夫婦は腕は悪くねえんだが、どうにも……な。自分達の立ち位置を勘違いしてやがるんだよ。悪ガキがそのまま大人になっちまったようなモンで、人の話を聞きゃしねえ」


 「愚痴は他所でやってもらうとして、そのバカな夫婦がどうかしたの? たしかサイクロプスにやられて重傷を負ってな……何かイヤな予感がするわね?」


 「おう、オレもあんまり言いたかねえんだが、バカのドーディオがネクロマンサーのお前さんに後ろからやられたって言うんだよ。召喚モンスターに襲われたってな。他の奴等も見てたのにだ。頭が悪いにも程があるんだが、それでも証言を取っとかなきゃなんねえって訳だな」



 それを聞いた後、僕は溜息を吐きつつも話していく。別に嘘を吐く必要も何も無い。僕達はそれぞれ何があったのか淡々と述べていく。するとドタドタという音が鳴った後、ドアが突然開かれた。


 そこには明らかに目つきの悪い子供というか少年が居た。それを見た時、そういえば子供が一人居たなと思い出す。僕も高校一年だから、まだ子供の範疇ではあるんだけどね。見た目は中学生ぐらいの子だ。



 「お前ぇ! お前の所為で親父とお袋が大きな怪我をしたんだぞ! どうしてくれるんだ! ああ!!」



 何コイツ? チンピラ……じゃなくてこの歳なら不良かな? それともヤンキーと言うべきだろうか? 漫画の中に登場する絶滅危惧種のヤンキーみたいな喋り方だよ。凄いなー、とむしろ関心するね。



 「おい、ドーディオ!! てめぇ、オレの執務室に勝手に入ってくるってどういう了見だ。叩き潰すぞ!!」


 「ああ! やってみろや、コラァ!! 誰だって相手になってやんぞ、ああ!!」



 マジでヤンキーじゃん。むしろ何を考えてこんなキャラを作ったのさ、運営は。僕にはそっちの方が不思議で仕方がないんだけど?。


 百歩譲って頭の悪い奴が難癖つけてくるイベントは分かる。そして息子がおかしな事を言い出すのも。でもさー、どうしてその息子をヤンキーにする必要あったの? 別に息子がヤンキーである必要なかったよねぇ……。



 「てめぇ! さっきからオレが喋ってやってんのに無視しやがって何様のつもりだ、ああ!! 調子に乗ってッと、そこの女の前でボコボコにすんぞ!! いや、ちょうどいい。オレの女にしてやんぜ!!」



 目の前でヤンキー君がイルを引っ張った瞬間、僕はヤンキー君の股間を蹴り上げ、首の後ろに肘打ちを喰らわせて体を叩き落す。うつ伏せに叩きつけられたヤンキー君の首に腕を回して絞め上げ、確実に苦しめていく。



 「グ、ウゲ……ゴッ……ガブッ……ハー、ガッ! ゴグ……ゲッ……ゲヒュー、ガブァッ!! カッ……コヒュ」



 僕は決して落ちないように呼吸をさせながらも苦しめ続ける、決して落ちて楽などさせない。お前は苦しめ!!。



 「あー、すまんが流石に手を放してやってくれるか? さっきのは明らかにドーディオが悪いんでペナルティをつける。流石に首を絞めるというのは宜しくないんでな、頼む」


 「………」



 周りを見ると「仕方ない」という顔をしているので渋々外す。ヤンキー君は頭が悪いから体に教え込まないと理解しないと思うんだよね。こうやって「なあなあ」で済ませるから、つけ上がるんだと思わないのかな?。



 「ゲホッ! ゴホッ! ゴホッ! ……クソが! てめぇ、もう我慢ならねえ! ここで死ねや!!」



 突然右腰に持っていたナイフを抜いて僕を刺そうとしてきたが、持っている右手を左手で流しつつ引っ張り、左膝で思いっきり股間を蹴り上げた。即座に崩れ落ちて悶絶しているが、これはダメだな。



 「皆、帰ろうか。ここの狩人ギルドは人殺しがしたいらしい。こんな密室に連れて来た挙句、子供一人満足に指導出来ないばかりか、子供を使ってこっちを殺そうとしてきた。話にならない」



 僕はそう言ってさっさとドアを開けて出て行く。後ろからギルド長の大声が聞こえるが知った事じゃないね。こんな危険な所に長居する訳がない。


 子供一人まともに指導できず、そのうえ今度はこちらを殺しにきたんだ。裏で狩人ギルドが糸を引いていると思うのは当たり前だろうに。狩人以外が活躍したから邪魔になったのかな?。



 「流石はコトブキ、いろんな意味で容赦が無い。サイクロプス退治の功労者が狩人ギルドに連れて行かれて、ギルド長の部屋でナイフで刺し殺されそうになった。つまり狩人ギルドはそういう組織」



 イルだって大きな声で通るように喋ってるじゃんか。もちろん僕がやろうとした事もそういう事なんだけどさ。それと地味にあの子供に腕を引っ張られた事が頭に来てたんだね?。


 そしてトモエもユウヤもナツも次々にさっきあった事を大きな声で喋っている。君達も僕の事を言えないと思うよ。まあ、乗っかってくれてるんだろうけど。


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― 新着の感想 ―
<破滅>と<支配>と<不沈>の弟子を名乗ったらどうなっちゃうんだろ.....
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