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0147・町をウロウロ




 高いものの良質な防寒具を買った僕達は、次に宿を探す。先に宿の部屋を確保しておかないと困った事になるからね。そう思って宿に行くと、ある程度の部屋が埋まっていたので慌ててとった。


 ユウヤは1人部屋が空いていたので確保。トモエとナツとイルは4人部屋があったので確保できたが、僕は6人部屋を借りる事にした。何といっても僕は召喚モンスターを送還する気が無い。もちろんログアウト中の護衛としてだ。


 そんな事を話すと急に皆が部屋を取り止めて、1室だけあった雑魚寝部屋を全員で借りる事になった。僕やトモエは護衛が居るけど、他の皆は護衛が居ない。更に言えば、死亡する可能性があるトモエの従魔を危険に晒すわけにもいかない。


 僕の召喚モンスターなら復活できるので、最終的にはファル達に任せる事になった。ドースだけは送還するしかないけど、こればっかりは仕方ない。宿の従業員は召喚モンスターと聞いたので納得してくれた。


 実際、数は少ないものの、ネクロマンサーは寝ている際の身辺警護を自分の召喚モンスターに任せるのが普通なんだって。だから変な事でも何でもないらしい。流石に馬を中に入れるのは止めてくれと言われたけどね。


 雑魚寝部屋は7600デルと高かったけど、5人で割れば1520デルであり、普通に1人で部屋をとるより安かった。


 部屋をとり終わった僕達は町へと繰り出す。宿の前で待っていてもらったドースに送還する話をし、ちょっと落胆したドースを宥めながら町を見ていく。何と言ってもメインストリートを埋め尽くしていた商売の人達が気になるんだ。


 なのでメインストリートを冷やかしながら歩くんだけど、どうもわざわざ近くの村から売りに来たりしているという事を聞いた。ここはバイゼル山の魔物を狩ったり素材や山の恵みを持ち帰ってくる狩人が多いらしく、その御蔭でお金を持っている人が多いみたい。


 お金を持っている人が多いと、当然それを目当てに人が集まるもので……意外にも近くの村で採れた果物や、作っている水飴なども売れるそうだ。女性が買っているのかと思えば男性も買う人が多いらしく、町と周辺の村は持ちつ持たれつの関係らしい。


 それとこの町の最大の目玉が、極僅かに入荷されるシャルロットさんの盾なんだってさ。それを聞いた時のユウヤの表情は何とも言えない感じだった。何故なら人見知りで商売下手、話を早く終える為なら譲歩してしまうそうなんだ。


 それでも多少なので、そこまで問題になってはいないらしいけど……弟子としてはちょっと思うところがあるんだろうね。例えゲームといっても、納得できないものは出来ないだろうし。


 そうやってウロウロしてると初めての物を発見した。



 ―――――――――――――――


 <果実> 泉木の桃 品質:6 レア度:3 耐久1


 悪魔の星に生る割と珍しい桃。非常に甘くて美味しいが、とある種族の者にとっては別の意味がある。君にとってはどうだろうか?


 ―――――――――――――――



 僕はその桃を売っている屋台の人に言い、1個売ってもらう事にした。1200デルと高かったが、割と珍しい桃だそうなので仕方ない。とりあえずインベントリに入れて他の物を見て回る。何故か食べない僕にイルは首を傾げているようだ。



 「桃を買ったのに何故食べない? 食べる為に買った筈だし、さっきの鑑定には”とある種族”と出ていた。桃である以上は間違いなく仙人系の事だと思う」


 「僕もそう思うよ。でも”別の意味”があるって出てたんだ。”食べると”とは書いてなかったのがね、ちょっと引っ掛かってる。もしかしたら仙力を入れる器なのかもしれないし、食べる際に仙力を使わなきゃいけないのかもしれない」


 「なら使えばいい」


 「残念ながら動いている最中に使えるほど上手くないんだ。高度な仙力は練るのも難しくてさ、だから宿の部屋でじっくりやろうと思って」


 「成る程、それならインベントリに入れるのは分かる。でも、もう少し買っておけば良かった。甘くて美味しいとも書いてあったし」


 「………そうするかな」



 結局僕だけ戻って桃を追加で買う事に。売っていた残りは8個だったので9600デルを支払いインベントリに入れて移動、皆と合流する。その後も色々見て回り、幾つか買い物をしておく。たまにはこういう買い物もいいね。



 ―――――――――――――――


 <鞄> 革の背負い鞄 品質:5 レア度:1 耐久280


 革で作られた背負い鞄。色々な物が詰められ、それなりの重量に耐えられる。必要な物や持ち歩かなければ意味の無い物を入れておこう


 ―――――――――――――――



 この鞄の中に入れておいても効果があるらしいので僕とファルの分を購入した。採掘や伐採に採取をするのは僕とファルだからね。他の皆には邪魔になるだろうし、背負っても入れる物が無いんじゃ意味が無い。


 それからもウロウロし、十分に堪能したら酒場に行く。このゲームではお酒が出るものの、お酒の味を感じて酔えるのは成人だけで、未成年にはジュースにしか感じられなくなっている。なのでお酒を飲んでいるフリは出来るのだ。


 おそらく酒場で起きるイベントの都合上こうなっているんだと思う。そして今、その仕様を痛感している事が起きていた。



 「イッキ! イッキ! イッキ! イッキ! イッキ!」


 「ブハーッ!! ふふふふふ、次はお前さんの番だ。幾ら相手が巨人族だとはいえ、若造に負けるほど弱くはないんでな!!」


 「いやいや、そもそも俺は飲み勝負をするなんて一言も言ってないよな!? 何でこんな事になってんだよ、クソ!」



 悪態を吐きながらも律儀に飲むユウヤ。何故か体の大きなウルフマンが、ユウヤにお酒を飲むバトルを仕掛けてきたんだ。どれぐらい一方的かと言えば、ポ○モンでバトルを迫られる時ぐらい一方的だったね。


 僕達は随分時間を掛けてこの町に来てるし、その間は戦闘とか色々あったんで飲み食いしてないんだ。だから渇水度とかも高くてさ、ユウヤが負ける事は殆どあり得ない状態なんだよね。何と言っても酔えないし。



 「イッキ! イッキ! イッキ! イッキ! イッキ!」


 「ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ! ……ぶふーーぅぅっ! こ、小僧。なかなか、うぶっ! やるようだが、オ、オレ様にはかて……なぶぅ! ……ゴクッ! ないぜ」


 「今ちょっとリバースしたよな!? 大丈夫か、オッサン。今なら勝負は無効でもいいぜ? ゴクッゴクッゴクッ………ふぅ。俺まだ問題ねえし」


 「そ、そうか? 小僧がそ「イッキ! イッキ! イッキ!」う言う……かもしれねえが、オ、オレ様も、まだまだ大、丈夫だ」


 「オッサン………」



 周りの客が酷すぎる。間違いなく限界間近のウルフマンを追い詰めてるのは周囲の野次馬だ。そしてあのウルフマンも後には退けないんだろう、更に突っ張って………そして沈んだ。まあ予想通りの結末だね。


 床に倒れて吐きそうになっていたが、ムキムキの店主が外に連れ出して吐かせている。店の中で吐かれると気分悪いしね、むしろ素早く店主が動いたって事はこの事態に慣れっこなんだろうか?。



 「相変わらずアイツは酒に弱い癖に他人に絡むよなぁ。いつになったらあの悪癖を止めるのやら。いっつもオレ達に追いつめられて撃沈してるじゃねーか。少しは学習しろよ、まったく」


 「アイツに? 無理無理。それが出来たらああなってねえよ。狩人としての腕前は高いのに、どうしてああなのかねぇ。モンスターは隙無く追い詰める癖に、毎回オレ達に追い詰められてんだもんなー」


 「まあ、悪い奴じゃねえし頼りにされてるんだけど、いまいち締まらない奴だよ。あれでしっかりしてたら女からもモテるんだろうが、あの酒癖の悪さがなぁ……」



 そういう人いるって聞くけど、こんな所に居なくてもいいと思うんだけどね。運営はこのピンポイントなイベントをどうしたかったんだろう?。


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