表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/563

0146・毛皮購入




 結局じゃんけんをする事になり、その結果ナツがゲットした。最初の一回であっさりと決まったけど、2人とも愕然としてたね。気持ちは分からなくもないけど、見た目系のレアアイテムは本当に強いよ。どんなゲームでも取り合いになる。



 「コトブキ。お前が着けてるウサギ耳だって取り合いになる物だぞ、本来は。まあ幸運が多少上がるらしいけど、そういうのは大抵ほんのちょっとだろうけどな。セナが着けてる尻尾は何やら相当のレア物らしいけどさ」


 「まあ、進化した魔物の落とした<神の贈り物>だからねえ。目の前でいきなり進化した挙句、それが<首狩り兎>なんだからレアでしょうよ。私も見た時には驚いたわ」


 「そんな事があったんですか。それはまた珍しいと思いますけど、よく出ましたね? 稀人は神の祝福を得ているから復活出来るんですし、そもそも<神の贈り物>を手に入れやすいのでしょうか?」


 「それは関係ないと思う。僕の場合は多いけど、これ貴族に奪われた事あるし意図的じゃないかと思ってる。その後は運が良かったんだろうけどね。それに最近は他の稀人も<神の贈り物>を手に入れたとかは聞かないし、出品もされてないよ」


 「あれじゃね? 一週間か二週間ほど出やすくなってただけじゃねえの? で、その期間を過ぎたから祝福っぽいのが消えたんじゃねえかと思う。ようするに普通のドロップ率に落ち着いたって事」


 「ああ、成る程ね。これからは住民と変わらない取得率しかないって事。稀人の特別扱いが終わったとも言える訳だ。まあ、復活できるというだけで特別扱いだけど」


 「そうね。復活できるなんて稀人以外は大悪魔と大天使しかいないし……」


 「「「「「えっ!?」」」」」


 「ああ、知らなかったんですね。まあ、秘匿されている事ではありませんが、知る人ぞ知るという情報ですし仕方ありませんか……。そもそも大天使様と大悪魔は神が創られた方々、いわば神の使徒とも言えるのですよ」


 「その際に2つの星を与えられている訳だけど、その方向性を2分したと言われているの。大天使の星は秩序を、大悪魔の星は自由を。あくまでも方向性らしいけどね。そして大天使と大悪魔はそれぞれの星を司る為に星核と一体化した」


 「それぞれの星の中心には星核、<プラネット・コア>と呼ばれる物があり、それに星の所有者として大天使様と大悪魔が登録されているそうです。故に星を滅ぼさない限りは、両者ともに不滅なのだと聞きました」


 「塵にされても<プラネット・コア>の力で復活できるという反則的な存在なのよ。だからこそ<破滅>ですら勝てないのが大天使と大悪魔なわけ。最後には魔力も尽きて死ぬしかなくなるのよ。大天使と大悪魔は無限なわけだし」


 「それも、とんでもないねー。まあ、復活する僕達が言えた事じゃないけど」



 しかし……そうなると益々攻め込んでの勝利は無理だよねえ? 流石に攻めて支配するやり方だとブチギレた大天使に潰されるだけだろうし、やっぱりそれ以外の方法が必要になってくるなあ。今のところはヒントすらないから全く分からないけど。


 しかし一戦毎にコタロウを見てニヤニヤするの止めようか、トモエ。コタロウが必死に見ないフリしてくれてるんだけど、ペットに迷惑を掛ける飼い主って駄目だと思うよ。それと、ちょっと急ごうか。


 僕達は声を掛け合って急いで森を突破する事にした。今は走っているものの、その理由は雲行きが怪しいからだ。悪魔の星は薄暗いとはいえ、真っ暗だったり明かりが無い訳じゃない。明るさはキチンとある。


 だから見えているのだが、どうにも雨が降ってきそうなんだ。山の天気は変わりやすいとは聞くけど、今は下ってるんだけどね。それでも山の天候なんだろうか。とにかく町の場所も分かってないのに降られたら堪ったもんじゃない。


 そう思って走っているとブラックオウルに襲われたが、六角棒で叩き落して始末した。羽が残ったのでイルがインベントリに突っ込んで走る。僕は要らないんだけど、イルは矢羽に使えるかもとか言ってたんで好きにしてもらったんだ。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:シグマのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 久しぶりのレベルアップだけど確認している暇が無い。本格的に雨が降ってきて、現在ズブ濡れ状態だ。<状態:水濡れ>、なんてのがあるとは思わなかった。もしかしたら今雷系を受けると大ダメージを受けるんだろうか? 雷系魔法があるかどうかも知らないけど。


 かなりの大雨で前が見づらいくらいだけど、そんな事には構っていられない。急げや急げと走り続け、ようやく森を抜ける事ができた。「ザー」と雨が降りしきる中を走り、平原のような場所を真っ直ぐ進むと、何やら石の壁みたいな物が見えてくる。


 おそらくはアレが町なんだろう。皆も見えているからか急いで走って行くと、もう少しという辺りで雨が止む。どうやら通り雨のようなものだったらしく、だからこそ激しかったんだろう。ズブ濡れだからね。


 試しに【クリーン】を使うと、何故か服のズブ濡れ状態は解除された。どうも状態異常の1種だから乾かせたみたいだ。それをナツに教え、フォグと3人で手分けして全員を乾かす。【クリーン】の魔法が地味に優秀な事が分かって何よりだ。


 石組の壁の手前は堀になっているようで、何故かやたらに堅牢にしてある町だった。不思議に思いながらも壁の周りを回り、入り口らしき所にいる門番に入っていいか聞く。一応の質問と検査をされたがあっさり通された。


 物々しい見た目の割にはあっさり通されたと思っていると、そこは非常に雑多な町だった。入り口から真っ直ぐの通りにはゴザを敷いて物売りをしている人が居り、メインストリートを多くの人が埋め尽くしている。


 僕達は町の人に聞きながら防寒具を売っている店を探す。すると、バイゼル山に行く者も居て、取り扱っているという店があった。元々この地方の冬は寒いらしいので、そういう意味でも取り扱ってるらしい。


 僕達はその店に入り、中に居た店員に出来るだけ暖かい服を頼んだ。すると、驚くほど高い毛皮を薦められてしまう。流石にそれは買えないし、どちらかと言わなくても貴族が買う物でしょ、それ。



 「ホワイトボールの毛皮は暖かくて素晴らしい最高級品なんですけどねえ……」


 「そんな、チラッチラッと見てきたって買いませんよ。それ間違いなくお貴族様用でしょう? そんなお金持ってるように見えますか? <豪雪山>と呼ばれてる所に挑戦するので、その為の防寒具が欲しいんですよ」


 「………お客さん、はやってはいけません。何があったのかは知りませんが、自殺するには若すぎる。もっと歳をとってからでいい筈です」


 「いや、僕達は稀人なんで死んでも復活しますから。防寒具をお願いできますか?」


 「………分かりました。お客さんが稀人だというのを信じましょう。少々待っていて下さい」



 <豪雪山>ってそこまで言われるくらい危険な所なんだなぁ……。シャルロットさんは防寒具着て当たり前のように行ってたけど。


 そんな事を考えていると、店員が奥からずいぶんと分厚い毛皮を持って来た。あれはいったい何で出来てるんだろう?。



 「お待たせしました。これはバウンドベアの毛皮で作られた防寒具です。バウンドベアは名の通り柔らかい皮をしていて防御はそこまで何ですが、その反面、非常に保温効果の高い皮と毛をしているんです。こいつも寒い地域にしか生息しないからでしょうね。上下で87000デルです」


 「たっか!! 買えるけど、たっか!!」


 「半分以下まで所持金が減っちゃうけど、仕方ないね。コレが無いと<豪雪山>には行けないし、買うしかないよ」



 皆も値段に驚いたものの、仕方なしに買う事にしたみたい。僕も買っておくけど、よく巨人族用の在庫なんてあったね。そう思ったら入荷したのはいいものの、売れなくて倉庫に眠ってたんだってさ。



 ―――――――――――――――


 <服> バウンドベアの毛皮・上半身 品質:5 レア度:2 耐久340


 バウンドベアの上半身をそのまま服にした一品。腰から上がそのままであり、手首から先だけが無い。熊の口部分から顔を出せるので視界を確保できる。きぐるみの上半身と言ってはいけない

 防御力8 耐寒(大)


 ―――――――――――――――


 ―――――――――――――――


 <服> バウンドベアの毛皮・下半身 品質:5 レア度:2 耐久330


 バウンドベアの下半身をそのまま服にした一品。腰から下がそのままであり、足首から先だけが無い。ブーツなどを履きつつも寒さから身を守れる品であるが、きぐるみの下半身と言ってはいけない

 防御力7 耐寒(大)


 ―――――――――――――――



 服としては優秀だと思う。多分でしかないけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ