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0144・バイゼル山を下りる




 朝食と話を終えた僕達はバイゼル山へと出発するんだけど、お金を木箱から出して持っておくのと、そろそろフィーゴとシグマを召喚しておく。


 ちなみに召喚モンスターは一度やられると12時間は再召喚できない。非常に厳しいが、もともとサモナー系は有利なので仕方がないとも言える。


 テイマー系と違って死んだら終わりではなく、死んでも再召喚すれば済む以上、これぐらいのペナルティの重さは諦めるしかない。


 召喚したフィーゴは、その後に召喚されたシグマにすぐ【憑依】して居なくなる。支援型ではあるんだけど、戦えない訳じゃないのにね。


 バイゼル山へと移動し、シャルロットさんの家に居るユウヤにフレンドコールで話しかけるとすぐに出てきた。どうやらユウヤも同じような話をシャルロットさんから聞いていて、僕達の到着を待っていたらしい。



 「どうせすぐに来るだろうって思ってたから適当に待ってたんだよ。掲示板読んでたから暇じゃないし、もし来なかったらフレンドコールすればいいやとしか思ってなかったしな」


 「まあ、ユウヤらしいと言えばらしいけど、とりあえず出発しようか。どういう道でバイゼル山を下りていけばいいのか分からないけど、とりあえずは進もう。ユウヤ、お金は持って来た?」


 「あっ、ヤッベ! 忘れてた。ちょっと待っててくれ、すぐに取ってくる!」



 そこもいつも通りのユウヤな感じはするけど……うん、戻ってきた。それじゃあ、出発しよう。



 「師匠が言うには、家からそれなりの間は道らしき物があるから、それを辿っていけばいいんだってさ。その後は森のような場所に突入する事になるから、とにかくそれっぽい所を下りて行け、多少ズレたところで問題などないって言われたわ」


 「いや、ズレるのは問題大アリな気がするんだけど? でも道なんてない場所だと、それぐらいアバウトになるのはしょうがないのかな? 森の中だと目印も無いだろうし。それっぽい所がよく分からないけど」


 「とにかく行ってみるしかない。少なくとも行商人が来れる以上は、そうおかしな道じゃない筈。馬車か荷車かは知らないけど、その程度は持って来れる道がある」


 「その程度の道がないと行商の人も来れないし、確かその人から食糧を買ってるって聞いたよ。なら食糧を乗せて来れる道がないとおかしいもんね」


 「食糧はお手伝いさんだから、師匠はあんまり知らないけどな。師匠は割と食い物には無頓着っつーか、気にしないところがあるからなあ。かつては旅をしながら色々動いていたらしいし。人見知りなのに? って思うけど」


 「それもそうだね。凄い経験とかもしてきていると思うんだけど、それでも人見知りは治らなかった……っていうのも凄い気がする」


 「それは治らなかった事? それとも人見知りなのに旅をしていた事? ……両方なのは私も同感」



 僕達はシャルロットさんの家を離れ、道なりに山を下って行っている。まったく道が無いなんて事はなく、なんかそれっぽい感じに土が剥きだしになっており、道という感じに見えなくもない。


 現れる魔物も大した魔物でもなく、そのうえ数も少ないので簡単に対処可能だ。ちなみに師匠が新しく作った転移魔法陣には、僕達が出発する直前シャルロットさんが乗っていた。防寒具を着込み、総鋼鉄製と思われる盾と巨大なメイスを持ってたけど。


 あれを見て喧嘩を売るバカは居ないだろうなと思ったよ。魔物なら居るだろうけど、普通の種族は喧嘩を売ったりなんてしない。盾で体当たりでもされたら、絶対に死ぬ。そう思える威容だったからね。


 代わり映えしない景色の中をテクテク歩いて行き、たまに出てくる魔物を倒すだけの暇な移動。仕方がないとはいえ、ゲームの中で何やってんだろうという気持ちになってくるね。



 「そういや、レベルキャップに到達した連中はそれなりに出てきたらしいな。特にプロゲーマー連中は一度キャラの再作成をしてるのに、レベルキャップまで到達したらしいからな。かなり頑張ってレベル上げをしたんだろう、話題になってたくらいだし」


 「腐ってもプロゲーマーってところかな? ただ、このゲームって急激にレベルを上げてもいいのかは悩むけど。なんか隠しパラメータが多そうなんだよねー、いろいろと」


 「素材への慣れとか含めて、確かに色々ありそうだよな。盾1つとっても、ラウンドシールドとカイトシールドとタワーシールドで別々なんだぜ? ラウンドシールドを作りまくってても、カイトシールドやタワーシールドを作ったら品質が低いって普通にあるからなー」


 「そのうえ素材によって違うんでしょ? 正直に言って鍛冶師って大変だと思うよ。錬金術師の場合は必要になってくるの【魔力操作】系だから、それぞれで違う感じじゃないね。基本は一つで素材ごとに違うのかな? たぶん錬金術師も面倒臭い分けられ方はしてると思うけど」


 「エンリエッタさんとマリアさんが言ってた魔力金属じゃないの? 金属を作るのは錬金術師の得意分野みたいだし、そっちの方で細かく分かれてるんじゃない? マリアさんが言ってた色って、何となくだけど属性色って感じなのよねえ」


 「「「あー……」」」 「何の話だ?」


 「マリアさんっていうのはブラッディアの女王様で、ちょくちょく師匠の家に来るんだけど、そのマリアさんが魔力金属の話をしてたんだよ。赤、青、緑、黄、白、黒。そして魔銅、魔鉄、魔銀、魔金。それぞれ分かれてるんだってさ」


 「………ん~、つまりあれか? 赤魔銅というのは、火属性の魔力金属の銅って事か? ………どんだけ組み合わせあるんだよ。それ全部を慣れるまで作らなきゃいけねえの? ………コトブキ、頑張れよ」


 「………気付きたくなかった。その組み合わせは酷すぎる。そのうえ敵の弱点に応じた属性が必要なんだろうし、結局は全部の高品質を作れるようにならなきゃいけないじゃん」


 「まあ、それしかない。<解体師>の私は高みの見物」


 「イルは色んな魔物と何度も何度も戦わないと、素材が増えないかもしれないと思うけど? それに、もしかしたらレアな部位とかを手に入れる確率が上がるかもしれないし。私の場合はそれぞれの肉や野菜や果物を使わないと駄目なのかな?」


 「バフ付きの料理も、今はバフの効果も小さくて短いからなぁ。10分くらいだろ? 効果あるのって。食べてボス戦らしいけど、そこまでしなきゃいけないボスも今のところはいないし、役に立つのはむしろこれからだよなー」


 「だろうね。今のところは苦労しないと倒せないボスとか居ないし、まだまだシナリオも始まって大して経ってないしさ。色んなイベントが各地で起こってるらしいけど、全体像はまったく分からないって掲示板にあったよ」


 「そうそう。私も読んだけど、これから天使の星も悪魔の星も侵略フェイズに入っていくんじゃないか? そんな感じで書いてあった。むしろプレイヤーは侵略に協力とか同行する形なんじゃないかって」


 「ああ、成る程。プレイヤーが徒党を組んで攻めるんじゃなくて、何処かの国が攻めるのに便乗する形かー。確かに大規模戦争ってなったら、プレイヤーだけじゃどうにもならねーか」


 「そんな大規模戦争が起きたら、大型イベントとして全員参加とかになりそうだけどね。その時だけ距離とか位置とか無視して、全員集まるって感じで」


 「そして相手の星の領土を取ったり、取られたり? ……ありそう」



 だよね? それまでに様々な小イベントがあって、そこの成否で色々変わりそうだなぁ。このゲーム、イベントだって教えてくれないから、色々気をつけながら進めないと……。


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