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0132・練気を習得




 物作りも終わったので師匠の家に戻って昼食を食べよう。戻った僕達はファルに昼食を頼んで待っていると師匠に呼ばれた。なので食堂に行くと、師匠と女王は未だに飲んでいた。飲んでいるのはワインだけど、それでもお酒な筈なんだけどね?。



 「コトブキよ。実はの、マリアが言うにはゼット町の北にある湖に何やら妙な魔物が住みついたらしい。近くの村の住民には被害が出ておらんようじゃから、ちょっと行って退治してきてくれ」


 「ごめんねえー。迂闊に兵士達を送り込んで死者を出すよりも、稀人であるコトブキ君を送り込んだ方が安全なのよ。絶対に情報を持って帰って来れるし、その情報があれば必要な兵力も分かるからね。<破滅>殿は退治って言ったけど情報で十分だから」


 「分かりました。とはいえ今日はダンジョンに肉を獲りに行くので、明日からで良いですか?」


 「ええ、別に良いわよ。そこまで急いでないし、動きはないみたいだしね。代わりにこっちにもシャープホーンバッファローのお肉よろしくねー」


 「分かりました」



 何故か肉をお土産に催促されたけど、こんな早めから出てくる魔物の肉なのに高級肉なのは不思議だよ。一国の女王様でさえ求める肉がこんなに早く……ねえ? ダンジョンでしか出現しないって聞いたし、そういう意味で高級肉なのかも。


 確かに美味しい肉ではあるんだけど、たぶん現実の高級肉には足りてないと思う。まあ、高級なお肉なんて殆ど食べた事ないけどね。宝家は庶民なんで。


 昼食後、転移魔法陣で来たユウヤと一緒にダンジョンへと行くんだけど、その道中でも肉の話になった。シャルロットさんはガッツリした肉が好きで、シャープホーンバッファローは正にそういう肉質なんだよね。



 「外国人が好むタイプのガッシリしてて噛み応えのある肉。それがシャープホーンバッファローの肉だからな。師匠には他にも幾つか好みの肉があるらしいけど、シャープホーンバッファローもその一つみたいだ」


 「赤身肉でガッツリした噛み応えのある肉は、外国だと好まれるって聞くね。僕はどっちでもいいかな。美味しければ」


 「それが一番。あれが良いとか言い出したらキリがない。何処かで妥協するのは重要。祖父がそうだったから、家族は誰もその拘りは持ってない」


 「ああ。家族の誰か一人でも拘り持ってると、クッソ面倒臭いんだよな。俺のトコは叔父さんだけど、クッソ面倒臭いうえに知識をひけらかすんで鬱陶しいんだよ。会いたくもないうえに、早く終われって毎回思ってる」


 「へー……お金持ちって大変ねえ。ウチは庶民だからそんな事はないし、お爺ちゃんが味噌を手作りしてたくらい?」


 「今はないけど昔はあったね。手伝った事とかないけど、食べさせてもらった事はあるよ。焦げてくると何とも良い匂いがしてきて、あの魚は美味しかったなぁ」


 「魚って事は味噌漬けか? そういう料理の方が贅沢なんだよなー。何というか店行って食っても、こんな高い金払う価値あんの? って思うわ」


 「分かる。支払額を見てビックリするけど、その値段の価値があったか考えると疑問がある。会食とか見栄が必要な時は仕方ないとは思うけど、それぐらい?」


 「それぐらいだな。少なくとも高い金を払う価値のある料理に、今まで一度も出会った事ねーし」



 まあ、好みによるから難しいんじゃない? そんな話をしつつ、ダンジョン街に着いたので16階へと進む。ここからは角を折るのと肉を獲る事をメインに頑張る。全員に公平に分配する形で肉をゲットしていき、角は欲しい人に分けていく。


 僕とユウヤは要らないけど、トモエとイルは必要みたい。イルは何に使うんだと思ったら、やじりに使うんだって。何故か後で加工を頼まれたよ。木は<屍人の森>にあるけど、矢羽はチキン戦士を倒すしかないね。もしくはチキン歌手。



 「チキン歌手といえば、運営ダンジョン最大のクズ。某ガキ大将レベルの騒音を撒き散らす最悪の生物……と言われてるらしい。私は運営ダンジョンに行った事ないけど」


 「1階のアトラクションは早めに突破しておいた方がいいと思うわよ。あれ面倒臭いし、答えを知ってたら簡単に突破できるから。正直に言って楽しいのは一度目だけだから、さっさと終わらせておくに限るのよね」


 「俺も終わらせてあるけど、アレ最後が面倒臭いんだよな。失敗したら落とされて最初からやり直しだし。まあ、運営ダンジョン攻略スレ見たら答えが書いてあるから、それ読みながら進めば簡単だけどな」


 「ふーん。まあ、ナツと一緒に攻略するから行かないけど、攻略スレは見ておく。たぶん見ても見なくても変わらないと思う。もう攻略してる人も多いだろうし」


 「初回攻略はコトブキだから、それ以外の人は手に入れてないんじゃない? 手に入ったのも【昏睡眠】だから微妙みたいだし」


 「少なくとも多少は回復量が増えたから、そこまで使えないスキルではないよ。五感が無くなって動けないっていうデメリットはあるけどさ」


 「成る程。あのスキルはそういう効果で、運営ダンジョンの初回攻略特典。………微妙?」


 「「微妙」」


 「そうかな?」



 他の人達よりは早く回復出来るんだし、どちらかと言うと得したと思うんだけど……うん?。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:セナの【闘気操作・下級】が【練気操作・下級】に変更されます

 召喚モンスター:セナの【闘気感知・下級】が【練気感知・下級】に変更されます


 召喚モンスター:シグマのレベルが上がりました。


 ―――――――――――――――



 「おお! ついにセナが【練気】系スキルに変わったか。おめでとう。時間は掛かったけど、無事に高位スキルになって何よりだよ」


 「カタ」 「ガンバッタ!」 「ブル」 「クー!」 「ガン!」 「えっ、マジで!?」 「これは、マズいですね……」


 「いや、別に急がなくてもいいし無理しないように。無理したところで上手くいくかは分からないしさ……って人の話を聞いてないな」


 「仕方ねーんじゃねえの? 仲間が先にできるようになったら焦るだろ。唯でさえ元は自分達の方が強かった訳だし、そういう自負はあると思うぜ?」


 「とはいえ2人とも【仙力】は使えなかったって聞いたから、そこまでなんだとは思うけど……。だって高位スキルにならなくても、悪魔や天使になれるんでしょ?」


 「そういえば、そう。悪魔や天使になるには高位スキルじゃなく、別の何かが要る? 七美徳か七大罪のような意識が必要……とか?」


 「それはあるんじゃないかな? それと一定以上の実力って感じが一番しっくり来るけどね。それはともかく、急に練習を始めて戦わなくなったから、角を折るのが大変だよ」


 「ああなったら聞かないだろうから仕方ない。こっちはこっちで適当に倒すぐらい……あれ?」



 フォグが【スモールピット】で転倒させたシャープホーンバッファローの角を、ファルが鋼鉄のモーニングスターで叩いている。フランジ付きのメイスとは違うけど、大丈夫なんだろうか? ファルは気にせずガンガン振り下ろしてるけど……。


 角をゲットしつつ倒していると、悲鳴が響いてきた。ラスティアとキャスティの声なので慌てて振り向くと、タンブルゴーストに追いかけられているのが目に映る。どうやら練習に集中し過ぎて周りを見ていなかったらしい。


 こちらに走って来させ、タンブルゴーストを【クリア】で浄化する。いったい何をやっているんだろうね、この2人は。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:ドースの【闘気操作・下級】が【練気操作・下級】に変更されます

 召喚モンスター:ドースの【闘気感知・下級】が【練気感知・下級】に変更されます


 ―――――――――――――――



 いったい何をやっているんだろうね、この2人は。


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