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0129・帰宅




 15階のボスを倒して16階の魔法陣を登録したけど今日はここまで。ユウヤも多少はレベルが上がったし、トモエはバナナが手に入ったので喜んでる。それにリナ達のレベルも上がったようだし、ついに限界レベルに到達したみたい。


 僕達はダンジョン街を出て帰り道を歩いているけど、ユウヤも限界レベルが近いみたいだ。順当に皆もレベルが上がってるけど、まだまだゲーム全体では少ないんだろうと思う。



 「こういうのは大抵の場合、経験値は溜まったままになってるから別に損も無いしな。仮に切り捨てであっても仕方ねーか、で終わる話だ。コトブキじゃねーけど、色々な経験とかのデータは残るみたいなんで、レベルを上げるだけが全てじゃないんだよな」


 「青銅を扱ってると徐々に品質が上がるし、いきなりやっても上手くいかないんだよね。最近はようやく品質8とか9が出せるようになったけど、それまでは大変だったなぁ」


 「ちょっと待て、何で品質8とか9が出せるんだよ!? 俺なんて未だに4~5を彷徨ってるっての! いつの間にそんな品質が出せるようになったんだよ! やり方教えろ!!」


 「いやいや。僕の場合は【精密魔力操作】っていうスキルになってから品質が上がるようになったから。それまでの品質はユウヤと一緒だよ。鍛冶師と錬金術師じゃ違うんだから参考にはならないんじゃないかな」


 「………まあ、言われてみりゃ確かにそうか。これからも修行するしかない……のかね? 何かこう、コトブキみたいにパッと上手くなる方法ねーかなー。最近どうにも頭打ちなんだよ」


 「僕も似た様な時期はあったよ。丁寧にやってみるとか、師匠のやり方を思い出して正確に真似てみるとか。それしかないんじゃないかな?」


 「まあ、上手い人の真似って基本だよね。コトブキ君ほど上手くないけど……」


 「コトブキはおかしい記憶力で真似てるだけだから、私達には参考にならない。普通の人間でも出来る方法を探すべき」


 「普通の人間じゃないみたいな言い方は止めてほしいなぁ。世の中には瞬間像記憶とか持ってる人は居るんだし、僕はそこまでじゃないよ」



 <屍人の森>近くまで来たら<般若衆>が居たので、僕達は会釈して通り過ぎた。ナツとイルも知っていたらしく、配信に映る気も無いので適当だ。向こうはお仕事だけどこっちは遊びだしね、更に言えば面倒事に巻き込まれるのも嫌だし。


 そのまま森の道を通って師匠の家まで進むと、誰かが修羅スケルトンに殺されていた。また誰かバカが来たらしい。鱗っぽい皮膚をしていたので鱗人族だろう。消えたところを見るに稀人なんだろうけど、何をしに来たのやら。


 僕達は修羅スケルトンに挨拶しつつ師匠の家に入り、ユウヤは転移魔法陣で帰っていった。ファルを料理に向かわせるとナツも台所に行ったので、僕はソファーのある部屋で【昏睡眠】を使用。少しでもスキルレベルを上げておきたい。上がるかは分からないけど。


 トモエやイルにラスティアとキャスティは女子トーク状態だったので、【昏睡眠】は逃げるのに都合が良かったとも言える。掲示板やプレイヤーマーケットを見て時間を潰し、回復し終わったら戦利品を適当に流す。バナナは持っておこう、キャステイがよく食べるし。


 そろそろ夕食かな? と思ったら強烈な魔力反応が2つ現れた。一瞬で2つ現れたのでおそらく師匠だと思うんだけど、もう1人は誰なんだろう? そう思いつつもファルが呼びに来たので食堂に向かう。


 椅子に座って待っていると、ちょうど師匠が食堂に入ってきた。その後ろから来たのは……女王様? 何でマリアさんが来たんだ? しかもそのマリアさんは何故か僕を見て固まってるし。師匠はチラリと僕を見てニヤニヤしてる。



 「今戻ったが、知らぬ者が2人おるの? まあ、それは構わんが………<男子、三日会わざれば刮目して見よ>とは言うが、ここまで変わっておると笑うしかないのう。いつの間に古の【魔闘仙】となったのやら」


 「いやいやいやいや、<破滅>殿。そんな簡単にサラッと言う事じゃないから。今、伝説が事実だと証明されたんだけど? この瞬間、歴史が動いたというレベルなんだけど? そんなサラッと流していい事じゃないわよ!!」


 「そうは言うがな……落ち着け、マリア。確かに伝説の者と同じ種族になっておるが、何も分かっておらんのだ。天使の星におったという【闘仙】もまた何も分かっておらん。仙人系の種族は数は少ないがおる。ただ、【闘仙】と【魔闘仙】に関しては全く分かっておらんのだ」


 「それは、そうだけど……あら、ありがとう」



 師匠と女王が着席したら料理が運ばれてきたけど、ナツとイルとトモエは誰? という顔をしている。ラスティアとキャスティは特に表情を変えないので知っているらしい。



 「トモエ達3人が見た事の無い人は、このブラッディアという国の女王様でマリアトゥーラさんだよ。師匠は首都に行くって言ってたから、それでじゃないかな?」


 「うむ、そうなんじゃが……。妾の事よりもコトブキ、そなたじゃ。いったい何があった? 何故種族が変わっているかも驚きだが、何故伝説の種族である【魔闘仙】になった? いや、なれたのだ?」


 「えーっと……とりあえず最初から話します。師匠から薬の入った木箱を受け取った僕達は西へと歩いて行きました。アトー村の手前で盗賊に襲われている馬車を発見。その馬車の護衛達は僕達に盗賊を擦り付けて逃げました」


 「………」


 「落ち着けマリアよ。それで?」


 「はい、その後はアトー村に行き泊めてもらい、次の日に出発。昨日の馬車が後ろからつけてきました。どうにも僕達をタダで利用しようとしていたらしく、立ち止まると馬車も停止する始末。仕方なく僕達はそのまま歩いて行き、ドゥエルト町の手前で馬車は僕達を追い抜いて進み、右から来たファングベアに体当たりをされて横転しました」


 「なんじゃ、それは? よく分からぬな」


 「その後、関わりたくなくて立ち止まっていたら馬車の中の者は食い殺され、兵士が来て倒していました。ドゥエルト町の兵士長が僕達を勝手に犯人だと言って連行、詰め所に連れて行かれて尋問。その後は牢屋に入れられました」


 「………」


 「まあ、怒りは分かるが抑えよ。で?」


 「牢の中には<散魔印>という物が刻んであったんですけど、そこで魔力を練っていたら出来たので練習してました。そうやって練習していると【魔力操作】が【精密魔力操作】になり、【闘気操作】が【練気操作】に変わりまして……。そのついでに【仙力操作】と【心力操作】も習得しました」


 「………あのねぇー、<散魔印>は魔力を使わせず封じ込める為にあるの。練習の為にある訳じゃないのよ?」


 「はははははは、かつての妾と同じ事をしておるな。うむうむ、良い事じゃ。鍛練は何処ででも出来る。利用できる物は何でも利用して強くなれ」


 「私達は一緒に居たからだけど、笑い事じゃなかったわよ。呆れる事しか出来なかったし、溜息しか出なかったわ。本当にね、目の前で頭のおかしい事をされても反応に困るの」


 「まったくもってラスティアの言う通りです。そもそも下級のスキルしか所持していないのにですよ? それで超級だった私達でさえ出来なかった事をやるのですから、意味が分かりません」


 「目の前で見ていたらそうでしょうね。想像できるわ。私でさえ唖然とするしか出来ないでしょう、そんなの。<破滅>殿も十分におかしいけど、弟子もおかしくなるのかしら? いえ、軽くだったのは事実だけど、私の魅了が効いてなかったんだった……」


 「あらら、<始祖の吸血鬼>に魅了されて耐えたっていうのも凄いわねえ」



 やっぱりそうなんだ。その割には称号とかは手に入らなかったんだよねえ。


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