0127・とある人物の末路
全ての青銅と鋼鉄を使い終わったので昼食にしよう。僕は食堂に行き昼食を食べた後、ラスティアとキャスティにハ○チュウを渡してログアウト。リアルでも昼食を食べて雑事を熟したら、再びログインしてユウヤを待つ。
どうやらトモエも行くみたいだ。細工ばかりしていても暇だからだろう。物凄く大所帯になるけど、これはこれで仕方ない。かわりにこれだけ多ければ喧嘩を売ってくる者もいないだろう。ユウヤが来たので僕達はダンジョン街へと移動する。
ユウヤが居て、これだけ人数が居るのに何故盗賊は襲ってくるんだろう? バカしかいないんだろうか? それにしてもこっちの人数が多いからか、向こうの人数も妙に多い。
「ヤロウども! オレ様達の盗賊団立ち上げにはちょいと小物どもだが、ブッ潰して<剛雷団>の名を天下に知らしめてやるぜ!! いくぞ!!」
「「「「「「「「「「おぉ!!!」」」」」」」」」」
「何かのイベントかコレ? 妙に盗賊どもが多いし、あの盗賊リーダーなんかスキンヘッドでムキムキだぜ。いかにもな盗賊団すぎるだろうよ」
「あの盗賊リーダーが持っているのが剣じゃなくて斧なら完璧だった。惜しむらくは何故かまともな剣を持っている事。そこは無頼漢のような斧でないと。できれば両刃の」
「さっきから黙ってるけど、コトブキ君なにかあったの? ジッとあの盗賊リーダー見てるけど……とりあえず戦おうよ」
「うーん………ねぇ、ラスティアとキャスティ。僕はどうしたらいいと思う? アイツは首だけにするべきかな、それとも捕縛した方がいいんだろうか。どっちかなぁ」
「ん~~~、私も悩むわねぇ。どっちでもいいような気はするんだけど、恩を売るなら捕縛かしら? 面倒なら首を切り落とせばいいと思うわよ」
「私もそう思います。ここは乱戦に託けて相手の背後に回り、絶対にこの場から逃がさないようにするべきでしょう。向こうがこちらに気付いたら逃げられますよ?」
「そうだね、僕もそう思う。ここは僕達だけで一気に背後へと回ろうか。皆はこのまま戦闘を頼むよ。僕達は後ろに回ってあのバカを潰す」
そう言って【身体強化】をした僕達は一気に敵の背後へと迂回して回りこむ。僕達の行動は見えていたんだろう、でも後ろに来た時点でやっと気付いたらしい。
「キサマは!? あの時のクソガキか!! お前の所為で私はここまで落ちぶれたのだぞ!! ここで会った以上、今すぐブチ殺して恨みを晴らしてくれるわ!!」
「世の中ではそれを逆恨みって言うんだけど、頭が悪いから知らないみたいだね? それに……僕はお前如きに負けるほど弱くないんだよ。自分の実力を勘違いしすぎさ」
「キッサマー!! 今すぐ死ねぃ!!!」
ドタドタと走ってくるコイツを見ていると、戦いの素人にしか見えないな。ワザとそう見せている……何て事も無く、相手の袈裟切りをかわした僕は六角棒で元兵士長を転倒させる。
当然倒れたんだから、起き上がるのを待ってやる必要などない。すぐに【身体強化】をしつつ膝裏を何度も踏みつけ、ズタズタに破壊する。ラスティアとキャスティは両腕の肘を踏みつけて破壊中だ。
「ウギャー!! ガァッ!! キサ、ガアァァァァァ!!!」
関節を潰したら後は放置する。このままだとあっさりと死んでしまうかもしれないので、わざわざ【ファーストエイド】で止血をしてやったぐらいだ。どうもこのゲーム、人体が壊れるとちゃんと治さないといけないらしい。
プレイヤーだと死亡すれば全て治って復活するのだが、NPCではそうもいかず、しっかりとした治療法で治す必要がある。逆を言えば、コイツはそういう方法でないと両腕両足を治せない。逃亡防止という言い訳は、おそらく通用すると思う。
他の盗賊に関してはボッコボコで終了している。何といっても情け容赦する者は誰もいないからね。僕の事を「ああだ、こうだ」と言うナツとイルでさえ、敵に対しては容赦しない。イルは分かるけどナツもなんだねぇ。
「何だかコトブキ君から、生暖かい視線が飛んできてる気がする」
「きっと情け容赦が無いナツに戦慄してる。でもコトブキも情け容赦が無いから、どっちもどっち」
「いや、イルも容赦しねーだろうに。そもそも容赦なんかしてたら殺されるんだから普通はしないけどな。ただ、コトブキのはブッチギリでおかしいだけで」
「まあ、わざわざ両腕両足壊して放置してるくらいだもんね。知り合いっぽい感じはしたけど」
「コイツはドゥエルト町の元兵士長で、薬師ギルドのギルド長と手を組んでた一人だよ。コイツだけ逃亡したらしく行方が分かってなかったんだ。まさか盗賊団の頭をしてるなんて思わなかったけど」
「おいおい、薬を不当に値上げしてた一味のヤツかよ。それで、コトブキはどうするんだ?」
「ゼット町に連れて行こうと思う。向こうなら牢屋もある筈だし、両腕両足を壊してる以上は逃げられないだろう。ドース、コイツを乗せてほしいんだけどいいかな? 向こうですぐ下ろすから」
「………ブル」
「何だか思いっきり渋々って感じだな。気持ちはよく分かるけどさ。俺達はこのままダンジョン街まで行くけどいいか?」
「いいよ。ゼット町の兵士に預けたら、ドースに乗って戻るから」
僕はそう言ってドースに元兵士長を乗せると、【身体強化】を行って一気に走る。その速さでもドースは楽々ついてくる。流石は馬だとしか言い様が無いね。そんな僕達はアッサリとゼット町についたので、門番の兵士に事情を説明する。
流石に大事だと気付いたのか慌てて兵士長が現れ事情を聞かれたので、盗賊をしていた事と襲われた事を説明。すると早馬で情報は来ており、元兵士長は指名手配されていた事が分かった。その褒賞はなんと25万デル! 聞いた時にはビックリしたよ。
僕はゼット町の兵士に預けて25万デルを受け取り、町の外に出てからドースに乗る。そこまで時間も掛からなかったのでドースに走ってもらい、すぐにダンジョン街に着いた。皆はどうやら待っていてくれたらしい。
「ごめん、遅れたみたいだね」
「いや、そんな事はねえよ。まだ到着してそこまで時間も経ってないしな。それよりどうだった? 少しは金が貰えたか?」
「引き渡して25万デルだったよ。1人につき5万デルね」
「おお! すまねえな、コトブキ。助かるぜ。それにしても大して強そうな奴じゃなかったけど、25万もするんだな」
「あいつさ、指名手配されてて情報もバラ撒かれてたみたい。首だけなら10万だったから、両腕両足を破壊するだけに止めて正解だったよ。はい、2人はう○い棒ね」
「………うん、大丈夫、私キャラメル味とか好きじゃないのよね、コーンポタージュはギリギリセーフだけど。やっぱり食べるなら、たこやき味かバーベキュー味でしょ」
「それってどっちもソース味なんですから、然して変わらないでしょうに」
「なに言ってるの、青のりとか含めて色々違うに決まってんでしょうが。これだから胸に栄養が集中したバカ舌は」
「何ですって!? 貴女こそソース味のような濃い味しか分からないバカ舌でしょうが! そんなマヌケが味を語らないで下さい!!」
「ぬぁんですってぇー!! 今日という今日は絶対に許さないわよ!!」
「2人ともこんな所で騒がない。あんまり恥ずかしい事してると、おやつ抜きにするよ」
「「!!!」」
「一瞬で終わったわね。どれだけお菓子が欲しいのよ、この2人は。それにしても子供みたいな騒ぎ方だったけど、これで”アレ”を出したら戦争にしかならないんじゃないかしら」
「き○この山、そしてたけ○この里。それは人々を二分し、忌まわしき戦争を引き起こすモノであった……」
「アニメのオープニングじゃねえんだからさあ、それはどうよ? 言いたい事は分かるけども」
皆もバカな事やってないで、ダンジョンに入るよー。




