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0125・屍人の森に帰還




 ダンジョン街への道を無言で集中している一団と共に歩いている。そろそろシグマには色々なスキルを覚えさせた方がいいだろうか? 進化してるし【身体強化】ぐらいは持たせたいんだよね。でも基礎スキルもあるし、どうしよう?。


 いつもそうだけど、悩んだら本人に聞くのが一番だ。そう思いシグマに聞くと基礎スキルの方を覚えたいらしい。本人的には順番に1つずつ強くなっていくべき、そう考えているのかもしれない。意外に堅実派なのかな?。


 後は【体捌き】と【足捌き】なので教えていると、何故かナツとイルも加わってきた。僕は前に2人に話したんだけど、2人は基礎スキルを覚えられなかったそうだ。なので魔力と闘気は横に置き、先に基礎から学びたい。ようするに上手くいかないので気分転換したいようだ。


 何をしているのか傍から見たら意味が分からないだろうが、集中して何かをしている連中と体を動かして何かをしている連中の塊である僕達。馬車が来たら体を動かしている者が避け、通り過ぎたらまた道に出て体を動かす。


 そんな事をしながら移動していると昼になったので休憩し、プレイヤーマーケットで昼食を買う。ナツとイルも移動中に料理は出来ないので購入し、食べながらも何処が悪かったかなどをラスティアやキャスティに聞いている。


 2人も何だかんだと言って、元悪魔と封印された天使だ。アドバイス自体は的確なんだと思う。僕の場合感覚的な部分が多いのであまり説明は得意じゃない。それでも「ここはバッ!」とか「こうしてダッ!」とか擬音で説明したりはしないけど。


 昼食後、再び移動しながら練習していると、ようやくシグマが基礎スキルを習得した。やはり歩きながらというか、移動しながらの練習は身が入らないのだろう。習得できたのは僕が既に持っているからかな?。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:シグマが【体捌き】を習得しました

 召喚モンスター:シグマが【足捌き】を拾得しました


 ―――――――――――――――



 残りは3枠だけど何のスキルを習得するんだろう? シグマはリビングアーマーのウッドタイプだ。平均的なうえ、元々リビングアーマーは戦闘タイプみたいだし……どうやら本人も悩んでいるらしい。


 まあ無理にスキルを習得する必要もないし、今でも戦闘能力は十分にある。そもそもシグマに求めているのは盾としての役割なので、新しく覚えた基礎スキルで更に安定するだろう。そう思っていると、ダンジョン街が見えた辺りでナツとイルの2人が声を上げた。



 「「出来た!!」」


 「2人とも、おめでとう。基礎スキルか魔力かは分からないけど、新しいスキルが習得できたみたいだね。なかなか大変だったみたいだし、やっぱり移動中じゃ難しいのかな?」


 「それはそう。とりあえず基礎スキルの【握り】が習得できた。私は弓矢を使うからコレの影響は大きい」


 「私も同じだよ。最近は小さな盾を持ってるから盾が安定しそうで助かるし、今までよりメイスに力を籠められそう。こういうスキルがあるって知ってても、簡単には身につかないから大変」


 「基礎はどんな事でも凄く大事。でも、わざわざスキルにしてあって、更に誰も教えてくれず隠されてる。ここの運営は色んな意味でイイ性格をしていると思う。そういう人達だと思って対処しないと足を掬われる」


 「運営は敵じゃないんだけどね? まあ、疑う気持ちは分からなくもないとはいえ、そうやって疑い続けてもゲームにならないから軽く考えた方がいいよ。運営もそこまで色んなものは隠して無いんじゃなかな? ネタバレしたら困るから隠してるんだと思うし」


 「……まあ、それはそうかもしれない。大型アップデートで動き出したばかりだし、まだまだ苦労してもらわなければ困るってところかも。基礎スキルがあったのかと騒ぎになって皆が習得に走る。それも予定してる?」


 「多分ね。もしかしたら基礎スキルが一定以上ないと習得できないスキルとか、手に入らないアクティブスキルなんかがあるかもしれない。今どんなスキルがあるかは知らないけど」


 「掲示板だと【魔刃】という剣のアクティブスキルを覚えた人が話題になってたよ。何でも剣を振ると魔力の刃が飛んでいくんだって。遠くまで届かないし、すぐに威力が落ちるらしいけど」


 「へー……近接戦闘だと役に立ちそうだね。いきなり近距離で刃が飛んでくると避けられないから、上手く使えば優秀なスキルになるんじゃないかな?」


 「私も読んだけど、クールタイムが3分もあるから使い勝手はよくない。決め技として使うか、崩し技として使うべき」


 「ああ、連撃の起点に使うか最後の一手にするかって事? 確かに3分は長いし微妙かな。たまにクールタイムが24時間なんていうスキルのあるゲームもあるけど、ああいうのは大体が魅せ技なんだよね」


 「だから24時間でも誰も文句を言わない。格好をつけるための技でしかないし、失敗しても掲示板で話題の中心になれる」



 ダンジョン街を過ぎてある程度歩いてきたら、<屍人の森>の入り口が見えた。森に入っていく道が見えるけど看板などは立っていない。確かに言われてみないと気付かないかもしれないなー。その割には<羅門会>とか<般若衆>は見つけたんだよね。


 そんな事を考えつつ道を進んで行き、出てくるアンデッドは浄化していく。主にナツが浄化してるけど、浄石が欲しいらしいので任せている。浅層では大したアンデッドも出ないし、経験値も大した事がない。なのでイルはどうでもいいそうだ。


 ようやく師匠の家に帰って来れたので修羅スケルトンに挨拶し、ナツとイルは知り合いだと話す。少し警戒があったが解けたので、師匠の家に入らせてもらう。セナやドースは外で闘気の訓練をするみたいで入ってきていない。


 ソファーの部屋に行くと、いつもと変わらずトモエが細工をしていた。どうも今は角を使っているらしい。



 「おかえり、コトブキ。あんたが居ない所為で角が手に入らないのと、鉄のチェーンが手に入らないのよ。今から行って掘ってきて」


 「えっ? ………ま、いいか。今日の分は掘っておかないと勿体ないからね。ファルと2人でパパっと行ってくるよ。それで、トモエの鉄は?」


 「私は今日も掘ってきてるけど、全部鉱石のまま。帰ってきたらお願いね」


 「了解」



 まだ時間はあるので出発しようとすると、何故かナツとイルがついてくると言い出した。「どういう事?」と思ったら、どうも鉄製の装備が欲しいらしい。後の事も考えると、今の内に【採掘】をゲットしておいた方が良いのも理由だそうだ。


 僕達は師匠の家を後にし、修羅スケルトンから学んでいるセナとドースとシグマを見ながら転移魔法陣で飛ぶ。僕とファルとフォグ、それにナツとイルで鉱床に行き掘っていく。最初は何も掘れなかった2人も、【採掘】を習得してからは順調に掘れているようだ。


 【採掘】を持っていないと掘るポイントが分からないが、鉱石などを手に入れるポイントで掘らないと【採掘】スキルは手に入らない。鍛冶師のプレイヤーなんかは弟子入りして教えてもらうか、他人が掘っているポイントを後で掘ってスキルを習得するみたい。



 「ハイエナとか呼ばれているけど、スキルが欲しい人は気にせずやってる。【採掘】スキルぐらいは多くの人が持ってもいい。おそらく鉱石は常に不足する」


 「作れる物が多いし、最後には壊れちゃうもんね。それに戦闘中だと武器を直せないし、【研ぎ】スキルがないと研いでも耐久は回復しないそうだから」



 僕は鍛冶師の所に持っていくから、あんまりその辺りは詳しくないんだよね。


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