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0123・ナツとイルと合流




 朝から豪勢な朝食を頂いている席で、兵士に取られていた僕達の装備と薬の受領証に代金、それに僕達への賠償のようなお金を貰った。領主として必要な事なんだろうから、僕達は素直に受け取っておく。


 その後は領主の館を後にして帰るんだけど、町の入り口で偶然ナツとイルに出会った。どうも2人ともここまで来ていたらしい。次の町への馬車を探していたので止めさせ、歩いて僕達と移動する事に。



 「それにしてもタイミングよく会えて良かった。擦れ違っていたら分からなかったかもしれない。ダンジョン街と町の間にある森なんて普通は行かない」


 「まあ、分かり難い場所にはあるかな? アンデッドしか出ないし訪れる人は多くないね。【浄化魔法】があれば浄石は手に入るからプレイヤーマーケットで出せば儲かるんだろうけど」


 「料理に使う浄石は最近飽和気味だよ? 誰かさんが浄化(弱)って付いた武器を出した所為だけど、それで倒すとたまに浄石を落とすんだって。それで結構出回るようになったみたい。アンデッドを浄化すれば出る事は知られてたけど、ゴーストを浄化武器で倒すとドロップ率が高いって掲示板に書いてあったよ」


 「成る程、浄化(弱)が付いた武器で倒しても浄石が手に入るんだ。それは知らなかったよ、いつも【浄化魔法】で倒してたし」


 「それはそうと、コトブキが召喚モンスターを連れてないのは何故? ネクロマンサーなのに」


 「ああ。それは捕まって詰め所に連れて行かれる際に送還しなきゃいけなかったからだね。昨夜まで牢屋に入れられてたし、その後は代官屋敷に連れて行かれたから召喚する訳にはいかなかったんだ。とりあえず皆を出すか」



 そう思って心臓付近から魔力を練り上げて召喚魔法陣を展開しファルを呼び出す。何だか今までより随分消費が少ないような? 【精密魔力操作】になったからだろうか? それはともかく、今のMPで呼び出せるだけ呼び出そう。


 ファル、セナ、ドース、フォグ。ここまでで半分以下になったので、今は歩きながら回復中だ。何故かファル達が凄いジト目で見てくるが、何かあったのだろうか?。



 「ファル達は何かあったの? 思いっきり僕をジト目で見てくるけど……生憎と心当たりは無いんだよね」



 そう言うと「はぁ~、やれやれ」って感じのジェスチャーをされた。出てきて早速そんな態度をとられるとは思わなかったけど、何があったんだろう? ファル達がジト目で見てくる事なんてあったかな?。



 「カタ」 「センニン」 「ブル」 「クー」


 「センニン? ………ああ! 【魔闘仙】の事ね。それでジト目で見てきてたのか。確かに【魔闘仙】という種族になったけどさ、特に能力値が変わったりしてる訳じゃないし、そこまで劇的に変わってる訳じゃないよ」


 「カタ」 「ヤレヤレ」 「ブル」 「ク」



 何だかファル達が顔を左右に振っている。何処かで見たリアクションだと思ったら、ラスティアとキャスティも首を左右に振っていた。そこまでの事かな? そもそも僕としては修行が先であって【魔闘仙】なんて知らなかったんだけどねえ。



 「【魔闘仙】というのは仙人? ……成る程、新種族。流石はコトブキ、間違いなくおかしい事をやったに違いない」


 「コトブキ君。色々聞いてるけど、あんまりメチャクチャなのは駄目だと思うよ、私も」


 「コトブキは自分がおかしいって自覚ないのよね。だからやったら出来たとか言い出すのよ。それが出来るって時点でおかしいという自覚が無いって、色々アレ過ぎるんだけどねぇ」


 「本当に。<散魔印>が刻んである牢屋の中で魔法を使うなんて、普通に考えればバカのする事です。大多数の者なら何も出来なくて終わるんですけど、コトブキはそれを押し通しました。その時点で大半の者は達成不可能な事をやり遂げているという自覚をして下さい」


 「そんな事言われてもねー……僕は修行としてやってただけで、あんな事になるとは思ってなかったんだよ。それに出来る人が居るって教えてくれたのはキャスティだろうに。師匠や<氷獄の魔女>は出来るって言ったじゃないか」


 「あのですね、コトブキ。その2人は魔女なのですよ。普通の者は【魔力操作】系を順当に強化していくだけなんです。見習い、下級、中級、上級、皆伝級、超級、天魔級。かつての私やラスティアでさえ超級だったのですよ?」


 「そうそう。一部の頭のおかしい奴は大天使や大悪魔と同じと言われる天魔級だけどさ、普通はそこまで上り詰めるのは無理なわけ。コトブキのやった事は超級の私達でさえ出来なかった事なのよ。それを自覚しなさいって言ってんの」


 「だからさ、それを言われても困るって僕は言ってるんだよ。おかしくたって出来たものは出来たんだからさー。それに2人だって僕と繋がってるからか出来たじゃないか。得したんだから文句言わない」


 「まあ、そうだけど」 「まあ、そうですけど」


 「それはいったい何? 学校で聞いた【精密魔力操作】っていうスキルの事? 少なくともそういうスキルは今のところ知られてない。秘匿してる……可能性も低いと思う。あと【魔闘仙】ってどういう種族?」


 「【魔闘仙】は前にもコトブキに説明したけど、天使の国の【闘仙】と死闘を繰り広げて相打ちになった伝説の種族ね。珍しい【仙術】が使える種族で、後にも先にもその1人ずつしか到達しなかったと言われる種族よ」


 「それって……色々な意味で危険な気がするんだけど、気のせいかな? 追いかけられたり、色んな人から聞かれたり、凄く面倒そうな予感がするよ」


 「それ予感じゃなくて答えじゃん。<散魔印>っていう魔力を散らす物がある牢屋の中で修行してただけなのにね、どうしてこうなった? って感じだよ」


 「それは学校でも聞いた。その時に思ったのは重力3倍とかで修行してるイメージだったけど、どうやら間違っていなかったみたい。コトブキ本当はヤサイ星人説」


 「それやだなぁ……毎回ピンチまで追い詰められないと敵に勝てないじゃん。後あれってさ、あそこまで自分を追い詰める修行をする意味あるのか疑問なんだよね。だって死に掛けたら強くなるんだしさ、それをし続けた方が良くない? あの2人で」


 「言いたい事は分かるけど、それを言ったら終わってしまう。だから言わないのがお約束」


 「まあ、そうなんだけどね。それはそうと魔力は心臓付近から練るといいよ。<散魔印>のある部屋で修行してたらそれが分かってさ、普段のやり方も集中してするようになったね」


 「「魔力を練る?」」


 「え、えぇー………そこから?」



 僕は仕方なく魔力の扱い方から順番に教えていく。何となくそうじゃないかなと思ってたけど、ナツとイルはかなり適当に魔力や闘気を使っていた。イベントの時も妙な感じだと思ったけど、綺麗に流れてなかったんだよね。それでもスキル使用者よりはマシだけど。


 スキルで使ってる奴って突然体に魔力が走るんだ。一瞬明かりが灯って、それが体の中を巡って放出されて魔法陣になって消える。それがスキルでの魔法なんだけどもマニュアルでは当然違ってて、体に魔力を自分で巡らせて収束し放出、大気中で魔法陣の形に作り発動。



 「つまり、最初に巡っているところから既に違うという事?」


 「そう。巡っている時に魔力をコントロールして放出。魔法陣を一瞬で形作ったり、魔法陣に均一に魔力を注いだりする事で、威力や消費魔力などを調整出来るんだ。更に言えば、魔法陣に注ぐ魔力も調整出来る。もちろん限度があるみたいなんだけど」


 「知らなかった……」



 イルがそう呟く中、横でナツがコクコク頷いている。僕も基本をしっかり習った訳じゃないけど、師匠のやっている事は大凡おおよそそんな意味だと思ってる。


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