0121・魔闘仙
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闘気に関する一定以上の経験を達成しました
【闘気操作・下級】は【練気操作・下級】に変更されます
闘気に関する一定以上の経験を達成しました
【闘気感知・下級】は【練気感知・下級】に変更されます
※スキル:【仙力操作】を習得しました
※スキル:【心力操作】を習得しました
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おめでとうございます。魔力を精密に扱う事ができ、練気と仙力と心力を自力で扱えるようになった為、新たな種族に進化可能です
新たな種族である【魔闘仙】に進化しますか?
・YES
・NO
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………練習してただけなのに、どうしてこうなった? いや、MMOは取り合いだから当然進化するんだけどさ、僕だけ色々とおかしな事になっている気がするんだけど……気のせいかな?。
絶対コレもっと後で出てくる予定のものだよね? 何で今の状況で仙人とかいう危険なも……自力で?。
……これってまさか事前情報無しで自分で辿り着かなきゃ駄目なんじゃないの? ……まあ、とりあえずYESっと。
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お知らせします。悪魔の星にて種族進化を果たしたプレイヤーが現れました。これにより種族に関するヘルプの一部を解禁します。
種族を変更する方法は様々ありますが、多くの人の話に耳を傾けたり、様々な場所に足を運べば見つかるかもしれません。頑張ってプレイヤー自身の手で見つけ出して下さい
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………ちょっと待って、さっきのは<ワールドアナウンス>じゃないの? そのうえ種族進化の所為で僕が光輝いたからか、2人が「ギョッ」とした後ジト目で見てくるんだけど。これって説明しなきゃいけない流れだよねぇ。
「あー……さっき【闘気】系のスキルが【練気】っていうスキルに変わってさ、【仙力】と【心力】も使えるようになったんだ。その結果、種族が<魔人>から<魔闘仙>に変わってね。それで「ピカッ」としたみたい」
「「………」」
「うん、まあ、気持ちはよく分かるんだ。いきなりで訳が分からないのは僕も同じだしね。それに…「魔闘仙!」……?」
「コトブキ! <魔闘仙>っていったら、相当古い時代に居たって言われる非常に珍しい種族よ!? 特殊な【仙術】を使う種族で、天使の国の<闘仙>と死闘を繰り広げて最後は相打ちで倒れたって言われてるの。一部じゃ伝説の類の眉唾な話だって言われてて、信じられていない程の存在……なんだけど」
「ええ、私もその話は聞いた事があります。どちらも互いをライバルと認め合い、何度も戦い続けてきたと言われる2人です。その2人以外に<闘仙>も<魔闘仙>も居なかったと聞くぐらい、伝説の人物なんですよ」
「もしかして僕が<魔闘仙>になったって知られると……ヤバい?」
「「うん」」
そっかー、ヤバいかー……。1人しか居なかったって言われる伝説の種族って怖いなぁ。そのうち<闘仙>っていう種族のプレイヤーも出てきそうだけど、僕よりも随分と後になりそう。それはそれで大きさ差になりそうだけど、良いのかな?。
少なくとも今のところ能力値が上がったとかは無いし、僕が悩む事ではないんだろう。でも、鑑定されたら一発でバレるよねえ。流石に対策は出来そうもないから素直に諦めるしかない。今は牢屋に入ってるのが、せめてもの救いかな。
そんな事を考えつつ【闘気】改め【練気】を練り上げていく。やはり丹田から練るのが一番楽であり、魔力を精密に操作して解き絡ませ捩り、1本の太い縄のように編み上げる。それを全身に巡らせていき、自分の体の隅々にまで……。
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※スキル:【仙体強化】を習得しました
魔力と練気の経験が一定以上であり、かつ高度な仙力を練られるようになった為、スキルの統合が行われます
スキル:【身体強化】と【仙体強化】が合わさり新たなスキルになります
※スキル:【魔仙術】の【魔仙練体】を習得しました
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もう止めて、僕のライフはとっくにゼロよ!。
………それは冗談としても疲れてくるね、本当に。新しいスキルを手に入れて「やった!」と思ったのも束の間、新しいスキルになるとか意味が分からない。【仙体強化】の使い勝手とかもサッパリだしさー。
むしろ1度も使ってないから、僕にとっては幻のスキルだよ。それは横に置いておくとして、まずは説明と使い勝手の確認だね。
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<魔仙術> 魔仙練体 強化
魔力と練気の密度を高めて混ぜ合わせ、高度な仙力として練り上げて肉体を強化する仙術。基本にして奥義とも言われ、強化中は呼吸の必要すらなくなる。身体強化よりも肉体は強化されるが、そこまで大きく強化される訳ではない
最大の利点は、使用中に限り全力で動き続けられる事である。呼吸の必要なく疲れもせず、全力戦闘を継続し続けられるが、それも仙力があればこそ。ひたすらに己を磨くべし
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うわぁ、何この……何とも形容し難いスキルは。メチャクチャだけど、これを練りながら戦うのは今のところ無理。どう足掻いても練るのが精一杯で、少しでも動くと仙力が途切れる。というか難易度が高すぎるんだ。
普通の人っていう言い方は悪いけど、スキルを使用するだけの人は相当レベルを上げないとまともに使えないよ、コレは。ちょっとシャレにならない。後、普通の【身体強化】も変わらず出来るみたいなので助かる。今のメインはこっちだね。
再びラスティアとキャスティに説明したら、2人とも疲れた表情で顔を左右に振っていた。僕もそっち側だったら同じ気持ちだったろうね。言いたい事はいっぱいあるけど、それはグッと堪えて修行を再開しよう。
2人は今【闘気】の方の修行をしているみたいだけど、上手くはいかないらしい。やはり魔力と比べて押さえ込まれてないからだろう。僕と繋がっているとはいえ限度はあるようだ。それが良いのか悪いのかは難しいところだけども。
夕方まで修行に励み、プレイヤーマーケットで夕食を買って食べる。食後のお菓子をどうしようか考えていると、急にドタドタと僕達の所に走ってくる音が遠くから聞こえてきた。
ラスティアやキャスティと顔を見合わせるが、2人もこれといって思い当たる節は無いらしい。仕方なく待っていると、記録係の人が来て鉄格子を開ける。随分急いでいるみたいだけど何かあったのかな?。
「すまない君達! すぐに来てくれ!! 時間が無いんで手短に話すけど、この町の代官であるオルトーモス様が君達に会って一言謝りたいと申されているんだ。細かい事は歩きながら話す! だから来てくれ!」
「え、ええ。分かりました」
何だか随分焦ってるみたいだが、何で僕達が代官と会う事になったのやら。僕達は何の関係も無いと思うんだけどねぇ、接点も何も無いし。そもそも僕達はこの町に薬を持って来ただけなんだけど……。
何故か新しいスキルに変化したり習得したり、あまつさえ種族が変わるとかいう意味不明な事になってるんだよ。この町に何をしに来たか忘れるレベルの不可思議な事が起こったうえ、なんでこうなったのか未だに分からないし、理解も出来ない。
周囲の兵士を見渡してみると、なにやら必死の形相をしてる。代官に会うだけなのに何でここまで切羽詰った顔をしてるんだろう。聞きたいんだけど聞いている余裕が無さそうだし、困ったな。
流石に必死の形相の中でも僕達の不信な表情に気付いたんだろう、記録係の人は早歩きしつつ僕達に事情を話し始めた。




