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0115・アトー村




 「皆、敵がこっちに来てるけど安全第一で。怪我でもしたらバカらしいから無理しないようにね」


 「カタ!」 「ボコボコ」 「ブルッ」 「クー」 「ゴン」 「ま、助けてやる義理も無いしね」 「随分と偉そうな兵士ですね?」



 盗賊が7人ほどこちらに来たが、ファルとシグマとキャスティが前に出て盾を構える。左右にカイトシールドのファルとャスティがおり、中央にタワーシールドのシグマが鎮座している為、盗賊たちは簡単に攻められない。


 その左からドースが【ウィンドボール】を放ち、右からフォグが【アースボール】を撃ち込む。盗賊は簡単に浮き足立ち、そこに左からセナがヌンチャクで襲いかかり、右からラスティアが薙刀で襲いかかる。


 頭をカチ割られながら、首を切り飛ばされて混乱する盗賊に対し、【ダークヒール】を用いて更に状態異常を追加する僕。盗賊が崩れたら、後はいつものようにボコボコだ。そうしていると盗賊もマズいと思ったんだろう、追加をこちらに差し向けてきた。



 「クソがっ!! さっさとそこのガキどもをブチ殺せ!! これ以上、手間ぁかけさんじゃねえっ!!!」


 「「「「「「「おぅっ!!」」」」」」」



 更に7人が追加されたけど、そもそも僕達の敵にはならないんだよね。戦力の逐次投入は悪手だって知らないのかな? まあ、盗賊如きが知ってる訳ないか。僕達が狙われた訳じゃないから本命は向こうだしね。


 その時点で戦力を分けるしかないんだ。もしくは一点突破でターゲットに突っ込むとかね。そうしなかった時点で追い込まれるのは当然だろうに……盗賊のボスは随分苛立っているみたい。まあ、僕達の所為で上手くいかなくなったみたいだしねえ。


 向こうの兵士も奮戦しているみたいで、数が減ってきたきたみたいだ。盗賊のボスが声を張り上げているけど大勢は決した。そう思った矢先、兵士が馬車の裏に回ると、突然範囲魔法が放たれた。緑色の波が広がってくる。


 慌てて皆に防御をするように言うと、結構なダメージを受けたものの、その隙に馬車は逃走して行った。何なんだアイツら! 碌でもないな!!。



 「クソがっ!! もうちょっとでクソッタレのゴディムの首が取れた筈だったのによ!! このクソガキどもが邪魔しやがって! 今すぐブチ殺すぞっ!!!」



 もはや盗賊のボスと3人の下っ端しか残ってないが、こっちにかなりの憎悪を向けてきている。どうもさっきの豪華な馬車は腐った貴族か何かが乗ってたみたいだ。僕達には関係ないうえ、こっちを狙ってくるのが悪い。そのうえタイミングも悪いんじゃ、失敗しても仕方ないね。



 「まあ、そうねえ。こんな白昼に襲うよりも暗殺者でも雇うか、夜に屋敷に全員で押し入ればいいのに。そっちの方が討ち取れる確率は高いわよ。だいたい外で襲うなんて、逃げられたら終わりに決まってるでしょ」


 「そうですよね。逃がしたくないなら、先に馬車を引っ張っている馬などを始末するべきでしょうに。更に弓矢が使える者を雇い、毒矢も用意して確実に足を奪うべきです」


 「それだけじゃないよ。投石を始め、まずは遠距離武器で攻撃するべきなのに何も用意していない。何故なら馬車に傷が付いてなかったからね。それに本当に殺したかったのなら必死さが足りない。相打ちでもいいから殺す、そういう気迫が無いんだよ。総じて言えば全部足りない」


 「…………な、何なんだよ……。何なんだよ、てめぇらは!!!」


 「私は<狂性の悪魔>、もしくは【色欲】の悪魔よ」


 「私は天使の星の【純潔】の天使です」


 「僕は<破滅の魔女>の弟子だね」


 「………な、んで、そんな、奴等が………」


 「「「………」」」


 「さっきも言ったけど運が悪かっただけさ。どのみち師匠からお使いを頼まれてるから、今日ここを通るのは確実だしね。本当、運が悪かったと思って諦めてよ。じゃあ、ここで死んでもらおうか。喧嘩を売ってきたのはそっちだしね」


 「ま、待て! オレ達は不当に薬を高値にして暴利を貪ってやがる、薬師ギルドのギルド長ゴディムを殺したかっただけだ。アイツの所為でオレの家族も仲間の家族も薬が無くて死んじまった! オレ達は仇を「それで?」討つ為に……」


 「それでこっちの命を狙った事が無かった事になるとでも? 言い訳は死んでから、やれ!!!」



 僕は油断している盗賊のリーダーに石球を投げて殺し、その瞬間動き出したファルとセナとラスティアがそれぞれの盗賊を殺す。キャスティは目が点になっているみたいだけど、どうしたんだろう?。



 「いえいえ、いきなり殺すのはどうなんですか? 流石にアレは卑怯と言わざるを得ません! 幾らなんでもやって良い事と悪い事がありますよ!!」


 「いやいや、キャスティこそ何言ってんの? まだ戦闘中だよ? 戦闘中に相手が話しかけてきただけで、こっちが止まってやる義理は無いじゃないか。相手が犯罪者や盗賊でも、話し掛けてきたら黙って聞かなきゃいけないわけ?」


 「それは……でも、事情があるような感じでしたよ? 流石にそれを無視してさっさと殺すのは……」


 「あのね、キャスティ。それをするのは政治の仕事。つまり薬師ギルドか、ここを治めている貴族がするべき事なんだよ。力があるからって、勝手に他人の領分にしゃしゃり出るのは良くない事だ。相手には相手の領分があるんだから、自分勝手に踏み込んじゃ駄目だよ」


 「まあ……そう、なんですけど……」


 「まさか、あの【純潔】がコトブキにやり込められるなんてねー。散々私が正論言っても無視してきた癖に」


 「貴女の場合は、自分にとって都合が良い時に正論を言っていただけでしょうに。それは正論を言っているのではなく、正論を利用しているだけです。正しいとはいえ、日頃の行いが悪過ぎるからでしょう」



 また2人は言い合いをしてるけど、僕達はスルーして盗賊どもの残した物を回収していく。青銅の武器や木の棍棒などを回収し、歩きながらそれを加工してプレイヤーマーケットに流す。魔物が出てきても大した魔物じゃなく、仲間達に任せていれば終わる。


 そうやって街道を進んでいると、ようやくと言えばいいのか村に着いた。あくまでも行商人の馬車などが進める距離に村が置いてあるから、歩きだとそこまで遠くないのかな? そんな事を考えつつも、宿を探して聞き込みを行う。


 すると普通は村長の家に泊まるのだが、何か豪華な馬車の偉い人が泊まっているらしい。こりゃ困ったなと思っていると、小さな子供がウチに泊まっていけばいいと言ってくれた。案内してもらうと、大きな家ではあるものの結構痛んでいる家が見えてくる。


 村の外れだけど、家は他の家より大きいな。そう思いながら案内してもらうと、家には誰もいなかった。おかしいと思って聞くと、どうやら畑に出ていてまだ帰ってきていないそうだ。この子は手伝わなくていいのかと思って見たら、今日の手伝いは終わったらしい。


 それで村の入り口に居たのかと納得していると、どうやら誰か帰ってきたようだ。魔力が近付いてきている。



 「ん? ……お前さんらは何もんじゃ。何でウチにおる?」


 「爺ちゃん。この人達泊めてほしいみたいなんで連れて来たんだ。お金持ってるらしいし、泊めてあげたら?」


 「村長のトコに行けばよかろうが、何でウチに来る」


 「村長の家には大きな馬車が来てたよ? 何か豪勢なヤツ」


 「ふん、アレが来とるんか。成る程のう。で、お前さんらは泊めてほしいんじゃったかの? だったら5万というところじゃな」


 「いやいや、爺。何ボッタくってんのよ。幾らなんでも5万もする訳ないでしょうが、足下見るにも限度があるって知らないの?」


 「ならば外で野垂れ死ねば良かろう。ウチに泊まる必要は無い。さっさと出て行け」



 どうやら泊めたくない何かがあるっぽいので、僕は出る事にした。何かやたらに睨んでくるしね。


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