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0112・ユウヤとダンジョン16階へ




 師匠の家に戻ってきた僕は、スケルトン・クラフターに全ての肉を預けた。結構な量があった筈だけどヒョイヒョイ持って行ったのは流石だなぁ。それはともかく持って帰ってきた角をどうしようか? そう思っていると、トモエが欲しがったので1本あげた。



 「角を使う細工物ってそれなりにあるんだけど、最近コトブキから借りてる尻尾の御蔭か上手くいくのよね。器用さって大事なんだと改めて思うわ。私ってサキュバスなうえ<魔隷師>じゃない? 魅力が結構必要なのよねー」


 「ああ、そりゃそうだろうね。僕なんて魅力はまったく上げてないよ。特に必要だとも思わないし、モブ扱いでいいしね。周りから良く見られたりとか友好度が上がりやすいらしいけど、そこまで必要な能力値とは思えないし」


 「そういう事してると能力値が足りなくて、後で泣きを見るわよ? 多分だけどイベントの発生に関わってるだろうし、いつまでも前に進まずにグルグルと同じ様なイベントを消化し続ける羽目になったりしたらどうするの? あのゲームみたいに」


 「………ちょっとは魅力に振ろうかな?」



 しまった、あの最悪なクソゲーの事を忘れてた。魅力の数値はあるんだけど、その数値が一定以上じゃないとイベントが起きず、全く先に進めないというゲームがあったんだ。御蔭で僕は酷い目にあったんだよね。妙に召喚モンスター達との能力値に差がついているし、結構マズいかな?。


 まだ挽回できると信じて、ちょっと振っとこう。僕だけイベント起きないなんて地獄を味わいたくない。このゲーム1ポイントずつしか振れないし、挽回するのにかなりの時間が掛かりそうだ。やれやれ……最初から振っておけば良かった。


 まあ、文句言っても始まらないし、夕食が終わったらログアウトだ。明日から上げよう。……って、次レベル上がったら30じゃないか! ……もういいや、覚えてたら上げとこう。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 8月30日 水曜日 AM8:09



 今日はどうしよう? ログインしてからギンをどけて、売上げ金を仕舞ったらギンを抱き上げる。置いておいた木のブラシで昨日と同じように撫でていくんだけど、今日は嫌がらず大人しく受けているだけだ。


 十分にブラッシングしたら終了となる筈が、「もっとやれ」とギンは叩いてくる。仕方なくブラッシングしているとファルが呼びに来たが、そうするとギンはすぐに食堂へと移動して行く。昨日とは違うが、あの気ままさが猫なんだろうな。


 朝食を食べたら今日もバイゼル山へ。3ヶ所の鉱床を回った後、師匠の家に戻ってきて青銅や鉄で物作りをする。今日の午後からはダンジョンに行くが、ユウヤも一緒に行くらしい。何でもそろそろ本格的にレベル上げがしたいんだって。


 ラスティアとキャスティは<屍人の森>を回るそうだ。流石に深層には行かないように言っておいたが、キャスティも天使の力を封印されているので無茶はしないだろう。とりあえず青銅で格闘武器やメイスを作って売り出す。


 品質が高いから売れるものの、昨日の刀を望む人達が居る。どうやら思っている以上に刀を使いたかった人は多いみたいだ。潜在的な欲求でもあるんだろうか? まあ、今日の青銅は全て使い切っているので流石にもう無理だけど。


 それよりも鋼鉄を使ってセナとラスティアの短剣を作るんだけど、ラスティアの物は普通の短剣、セナのはククリナイフにした。それがこれ。



 ―――――――――――――――


 <短剣> 鋼鉄の短剣 品質:4 レア度:1 耐久300


 鋼鉄製の普通の短剣。可も無く不可も無いその形状と重量は極めて扱いやすく、万人向けの一品。耐久も高く、地味に優秀な武器

 攻撃力18 破壊力1


 ―――――――――――――――


 ―――――――――――――――


 <短剣> 鋼鉄のククリナイフ 品質:4 レア度:1 耐久300


 ひらがなの「く」の字の形をした短剣。内側に刃が付いている為、扱いやすく力を籠めやすい。藪を払う事から魔物退治まで、幅広く使える優秀な武器

 攻撃力19 破壊力1


 ―――――――――――――――



 よし。2人の予備武器とはいえ十二分に優秀な武器が出来た。あとは僕の武器の分しかないしギリギリの量だな。どうしても1日に採れる量じゃ、そこまで手に入らないんだよね。仕方ないんだけどさ。まあ、明日には武器が揃うだろう。



 ―――――――――――――――


 <槍> 鋼鉄の槍 品質:4 レア度:1 耐久380


 鋼鉄で出来た穂先を持つ槍。形状は直槍でありシンプルで扱いやすい。刺突の威力は高いが抜けなくなる可能性に注意しよう

 攻撃力21 破壊力1 


 ―――――――――――――――



 なかなか良い槍が出来たんじゃないだろうか? 十字槍か笹穂槍にするか悩んだんだけど、もうちょっと品質の良い物が作れるようになってからにしようと思って今回は素直に直槍にした。使いやすいしシンプルだから今までとの差も分かりやすいと思う。


 ファルが呼んでいるので食堂に行き昼食をいただく。食後、多くの種類のう○い棒を2人に渡してログアウト、現実での昼食と雑事を行う。済ませてログインすると、凄い勢いで2人は食べていた。どうやらうま○棒にもハマったらしい。


 美味しそうに食べている2人はそのままにし、ユウヤからのフレンドコールがあったので転移魔法陣へ。合流したら一緒にダンジョンへと歩いていく。ユウヤとは10階まで一緒に進んでいるので、11階の石壁迷宮からスタート。


 もはや順路は分かっているので地図も見ず、最速で進んでいきつつ<浄石>もゲットしていく。ユウヤにとっては戦いやすくて戦いにくい場所みたいだ。アンデッドだから戦いやすいけど、天井が低くて戦いづらい。地形が敵という状態のようだ。


 珍しい状況だと思いつつも、僕達が【浄化魔法】で倒しながらどんどん進み15階まで到達。一旦休憩とし、僕は【昏睡眠】で回復する。近くに居るのにも関わらず、ユウヤとはメールで会話するという訳の分からない状況に2人で笑った。


 全回復したらボス戦へ。ユウヤが居るので<オーク玉>は使わず、開幕【ダークウェーブ】連打で削り、MPが無くなったので近接で倒していく。ボス10頭のHPもそれなりに減っていたらしく、そこまで攻撃せずとも倒せているようだ。


 特にユウヤは鋼鉄の金砕棒なので凄い威力をしている。フランジの付いたメイスにするか悩んだらしいが、こっちの方が見た目で凶悪だから採用したみたい。せっかく自分で作るんだし、誰も持ってない武器を作りたかったそうだ。気持ちはよく分かる。



 ―――――――――――――――


 種族レベルが上がりました


 召喚モンスター:シグマのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 ボス戦が終わった僕らはさっさと16階の魔法陣に行き登録する。これでユウヤも16階に転移出来るようになった。次に来る時は石壁迷宮を突破しなくても済む。



 「しっかし頭が2つの犬がボスってどうなんだ? オルトロスじゃねーんだからさーって思うも、見た目は完全に犬なんだよなー。何というか大型犬で頭が2つあるだけって感じで、オルトロスって感じじゃねえわ。犬っぽさが前面に出てる感じ」


 「どうみても神話や伝説の類じゃなく、頭が2つのワンワンだからねえ。獰猛さとか凶暴さが薄いからかな? どうしても犬っぽさが抜けないというか……何とも言えないっていうか、説明し辛い」


 「本当にな。凄いレベル上がるけど、そこまでのボスか? って感じ。たぶん最初のコトブキの魔法が効いてるんだろうけど、それにしてもオルトロスクラスとは思えないな」


 「だねえ。ま、さっさと16階に下りてレベル上げしようか? ついでにシャープホーンバッファローの肉をお土産にすればシャルロットさんも喜ぶんじゃない? 師匠だって獲ってきてくれって言ったくらいだし」


 「それはそれで、頻繁に通わされそうな気もするけどな。ああ見えて師匠だって巨人族だからな、それなりには食うんだよ」


 「ああ、成る程……シャープホーンバッファローの肉って高級肉なんだよね。お手伝いさんも含めて沢山食べそう」


 「………」



 先に祈っておくよ、ユウヤ。御愁傷様。


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