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0102・サービス開始から1ヶ月




 3ヶ所で掘り終わり、戻ってきたら鍛冶場でユウヤが精錬している。昨日はあの後で納得するピーラーが出来たらしく、既にユウヤからピーラーは返してもらった。僕は既にピーラーを流しているけど、確認したら売れていた。


 別に良いんだけど、プレイヤーにも必要なのかな? 町に居たりする料理人は必要になるのかもしれない。さて、ここからは真面目にしなきゃね。昨日とは違い出来るだけ少ない工程で確実に作っていかなきゃ。そうしないと品質が落ちる。


 集中して精錬していく事で、銅、錫、鉄は品質6で取り出せた。ここから青銅と鋼鉄にしていくんだけど、何処まで上手くやれるだろうか……。悩んでいても仕方ないので【合成】していくのだが、まずは【昏睡眠】で寝て全回復してからだ。


 ……よし、全回復した。全てを万端にしたのでこれで何とか…………ふーっ! 青銅の品質は5か。1つ下がったけど、それでも悪くない。今までよりも良い物は作れる筈だし。それよりも問題は鋼鉄だ。


 こちらが上手く作れるようにならないと、いつまで経っても良い武具が作れない。だから上手く作れなきゃ……おぉう、マジで!? 品質が3つも下がって3に。


 えー……こんなに難しいの? そう思ったんだけど、ユウヤも鋼鉄は品質が2だったらしいので相当難しい金属みたいだ。まあ鋼鉄製の物が簡単に作れたら困ると言われれば、それまでなんだけどね。しっかし、それにしても厳しい。


 仕方ないので出来た鋼鉄は包丁やはさみなどのちょっとした刃物にして流す。流石に武器にするには品質が足りないし、僕が使う伐採斧などにする訳にもいかない。この程度の品質だと簡単に折れるような物が出来かねない。


 品質5が流通の品質である以上は、品質は4か5にしたいところだ。それまでは自分の分も作らず、適当に道具でも作って流した方が精神的なダメージも軽くて済む。流石に鋼鉄を使っておいて酷い品質なのはねー、武具には使えない。


 集中して作成していたからかそれなりに良い物が作れたけど、能力値があれば上手く作れるって事は無いだろう。どうも試行錯誤と回数が必要な気がする。石と木も色々作ってきたし、石だけでも武具と石球に棒手裏剣。木も棍棒と棒に盾もだ。


 おそらく1つの素材で様々な物を作るという事に意味がある。今の僕としてはその結論しか出せない。そもそもスキルレベルが表示されないので、これくらいのレベルがあれば、何て言えないからさ。何となくこんな感じ、っていうのが何とかってところ。


 それはトモエもユウヤも変わらないらしいので、他に説明のしようが無いんだよね。ちょこちょこ夜にスマコンで話すけど、ナツとイルもそんな感じだって言ってた。何だかアバウトな感覚に頼らなきゃいけないけど、それもまた面白くはある。


 ベータの時と同じく、皆で色々なものを持ち寄って何とかしていくっていう連帯感。そんなものを感じてるんだ。それも僕だけじゃないから、ただの妄想でもないみたいだし。一人でやりたい人も出来る仕様になっているので、そういう意味でも面白いんだろう。


 MMOでソロプレイ? と思わなくもないけど、掲示板ではソロ専用板まで登場してる。あれには流石に驚いたよ。おっと、終わったんでそろそろ師匠の家に戻ろう。


 師匠の家に戻って昼食をとり、ログアウトして雑事を熟したらログイン。午後からは師匠の家で読書に耽る。真面目に読んでなかった本を真面目に読み、読んでなかった本も読み込んでいく。ラスティアは昼寝をしに行ったので、放っておいていいよ。


 ファルは丸太を使って【木工】をしているが、僕はその作品をプレイヤーマーケットに出している。実は意外にも売れていて、差し引きで言えば儲かっているんだ。皿とかコップとか箸とかも売っていて、他の木工師も売り出したくらいには人気がある。


 色々な本を読み、なるべく知識を溜めこんでおかないといけない。かつて<首狩り兎>が鑑定できなかったからね、あれは何度考えても知識不足としか思えないんだ。レアアイテムの鑑定が出来ていたので、<首狩り兎>という名前自体は把握する事が出来た。


 にも関わらず、ステータスの方の鑑定は名前すらちゃんと表示されなかった。つまりレアイテムは知識に関係なく鑑定スキルがあれば表示されるけど、モンスターはそうはいかないって事だろう。


 なら知識を溜め込むしかないし、そう考察している人は僕以外にも居た。知識を得なければ習得できない以上は、知識を得なければスキルレベルが向上しなくても納得は出来る。


 夕方まで十分に本を読めたので、今日はこれぐらいにしておこう。プレイヤーマーケットで買って物作りをしてもよかったんだが、今日読んでおかないとまた忘れそうだったんだよね。おっと、木箱に売上金を入れておこう。


 ファルが呼びに来たので食事をし、僕はログアウトする。今日はここで終了だ。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 8月25日 金曜日 AM7:39



 今日も朝から雑事を熟すんだけど、とある事の所為でシズが五月蝿い。



 「いや、人の事を五月蝿いって言ってる場合じゃないでしょ。昨日でサービス開始1ヶ月だったのに何も無かったんだから、普通は何も無いって思うでしょ。まさかその次の日に急に大型アップデートでログイン出来ませんってなるとは思わないじゃん」



 そう、シズの言うとおり大型アップデートの為、今日はログイン出来ない。伝えられたのは昨日の夕方になってからであり、僕は夕飯の時のシズとの会話で知った。


 何でも、世界的に色々な物が変わる為の大型アップデートらしい。出てくるフィールドモンスターなども変更があるらしく、これからもこういう大型アップデートはあるそうだ。


 どうりで今まで大して強くもないモンスターばっかりだと思ったよ。もちろん<屍人の森>の深層とか反則的な場所もあったんだけどさ。


 それと、新たに<訓練場>という場所が出来るらしい。これは名前の通りの場所で、お金を払うとモンスターと戦える施設となる。


 儲かるかどうかは分からないけど、今までに出会った事があるモンスターを呼び出して戦えるらしい……んだけど、ドロップ率は低めに設定されているそうだ。それとレアアイテムは出ない。


 ただしレベル上げには使えるので、そこは問題無いそうだ。ちなみに現在のレベルキャップは30であり、今回の大型アップデートでは引き上げられない。それも説明されていた。一番高い僕でもまだ28だし、引き上げる必要は無いだろう。


 僕達は朝から夏休みの課題を熟している。正しくはシズが熟しているのを見つつ、僕は聞かれたら教えるという形でダラダラと情報収集中だ。スマコンを使って掲示板の書き込みを読みつつ、何か良い情報は無いかと探っている。


 それと並行してナツとイルとの情報交換も行いながら、シズが間違っている所を指摘した。ブー垂れているけど、間違って提出しても困った事になるのはシズだよ? そう言うとシズは黙る。小学部から散々やってきた事だからね、今さらだ。



 「それにしても、細工の腕が上がってきたからか、ここ最近色々作れるようになってきて楽しかったのよ。そのタイミングで大型アップデートとか。露骨にやる気を削がれるタイミングよねー……」


 「仕方ないんじゃない? 1ヶ月って節目の前後は警戒するべきでしょ。1ヶ月経ってからでも十分に大型アップデートの可能性は考えられたし、まだストーリーすら始まってなかったからね」


 「そうだけど……まさかサービス始まって1ヶ月は様子見の期間とか、誰が想像できるっていうんだか」



 シズの言う事も分かる。この大型アップデートが終わったら、ようやく<レトロワールド>のストーリーが始まるんだ。まさか今までのが準備期間だとは思わなかったよ。どれだけ壮大なのか、それとも何らかの為に準備期間が必要だったのか。


 少なくとも<天使の星>と<悪魔の星>を舞台にした<レトロワールド>は、明日本格的に始まる。何て思いつつも、シズの間違いを指摘しながら待つしか出来ないんだけどね。


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