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0100・金属色々




 木炭を1個借りて一部を【分離】したら、その小さな木炭を【粉砕】する。そして………どうしよう? 【合成】したいのは炭素であって炭じゃない。これはアレだろうか? 木炭から炭素を【分離】しつつ、鉄に【合成】するしかないのかな?。


 ……失敗したら鉄が勿体ないけど、とりあえずやってみよう。僕は粉になった炭から炭素を【分離】しつつ、その炭素と鉄を【合成】する。その結果、特に変わりはしなかった。



 ―――――――――――――――


 <素材> 鉄 品質:3 レア度:1


 唯の鉄。とても使いやすい金属であり、様々な事に利用されてきた歴史がある。人類の発展に必要不可欠な金属


 ―――――――――――――――



 特に内容というか説明も変わっていない。となると炭素が足りないのかな? トモエとユウヤもジッと見てきてるけど、僕はこのまま実験を続けよう。炭を【粉砕】して炭素を【分離】しつつ、その炭素を【合成】していく。



 ―――――――――――――――


 <素材> 鋼鉄 品質:2 レア度:1


 炭素を程よく含有した炭素鋼。古くから利用されてきた合金であり、人類にとっては歴史的にも重要な金属。その割には解明されるのに長い時間が掛かった。先人の知恵に感謝しよう


 ―――――――――――――――



 ……鋼鉄になったものの品質が下がってるなあ。このままもう少し続けていこう。ここまで品質が低いのは、多分だけど何度も錬金を繰り返したからだ。錬金を繰り返す毎に品質が低下する以上、出来れば1回で成功させなきゃいけない。


 なのでこの鋼鉄はもう駄目だろう。それならそれで、これ以上炭素を入れたらどうなるかの実験をした方が良い。そう思って僕は炭素を更に【合成】していく。



 ―――――――――――――――


 <素材> 銑鉄 品質:1 レア度:1


 炭素が多すぎる鉄。その所為で硬いものの脆い。これではまともに使えない為、炭素量を減らす必要がある。様々な方法があるが、君はどんな方法を使う?


 ―――――――――――――――



 「という事で、厄介な事に3種類の鉄がある事が分かった。鉄、鋼鉄、銑鉄。いわゆるコークス炉なんかで作られるのが銑鉄だね。鉄ってなってるのは、おそらくだけど純度の高い軟鉄なんだと思う。柔らかいものの、粘り強くて伸びるから折れないヤツ」


 「成る程なあ。これって思ってる以上に面倒臭いぞ。どうりで品質が2~3にしかならない筈だ。師匠の魔力炉を使わせてもらっててもコレだからなあ。師匠もよく鉄を使うけど、納得だわ」



 魔力炉というのは魔力を使って鉱石の中の金属を抽出する魔道具だ。シャルロットさんの所にあるのは大きくないけど、鍛冶師に鉄なんかを供給している所では大型の炉を使うらしい。魔力以外を使わないエコな炉で、環境を破壊しない画期的な炉でもある。まあ、リアルじゃないしね。


 そこでそれぞれの金属に抽出されるのだが、雑多な金属は一纏めにして出てくる。例えば鉄を取り出す設定にしていれば鉄だけが取り出され、銅に設定されていれば銅だけ取り出される。そうやって取り出されていき、分からない物や要らない物は処分される。


 大抵はダンジョンに捨てられるのだが、そういうゴミは時間経過で消えるらしい。ダンジョン内に存在し続けられるのは、ダンジョンが規定したものだけなんだそうだ。シャルロットさんは、そういう雑多な雑談を鍛冶の合間にしてくれるんだって。ウチの師匠とは随分違うなぁ。


 まあ、師匠が悪いと思った事はないけどね。最低限のフォローというか、敢えて最低限だけして僕が気付くのを待っているみたいだから。


 それはそうと、金属を取り出してたらMPが無くなったので寝よう。まだまだ【昏睡眠】で回復量が上がっているという実感は無いけど、それでもスキルとして設定してある以上は何かある筈だ。それを期待して僕は寝転がって目を瞑る。


 相変わらずな掲示板などを巡回しつつ、回復が終わったら目覚め、また金属を取り出していく。回復時間が掛かる為、魔力炉よりも時間が掛かるが仕方ない。そうやって金属を取り出し終わったら、次は昨日の分も纏めて青銅にしていく。


 銅と錫しかないから通常の青銅にしかならないし、銅に少しずつ混ぜていき、最適な比率を出していく。まあ、昨日既にネットで調べておいたんだけどね。ゲームだからそこまで意地の悪い事はしていないだろう。


 亜鉛や鉛が無いので微妙だが、だいたい5~10%程度で青銅になる筈。いちいち現実と同じだと、まともに物作りなんて出来なくなっちゃうからね。



 ―――――――――――――――


 <素材> 青銅 品質:3 レア度:1


 銅と錫の合金。古い時代から使われている金属であり、イメージほど悪い金属ではない。主に創作物の影響で、鉄よりも落ちるとされている可哀想な金属


 ―――――――――――――――



 ……いや、どうなんだろう? 確かに10円玉も青銅だしね。青というか緑青色じゃないけど、あれも青銅の一種だって書かれてたし、おそらく細かく考えれば色んな青銅があるんだと思う。それが一纏めで青銅と呼ばれてしまってるから鉄よりランクが落ちるとされてるんだろう。


 でも鉄は鉄で高張力鋼とかあるらしいし、結局は青銅より上だと思うけど……まあ、そんな事はいいか。それよりこの青銅で作れるだけ色々作ろう。そろそろ品質がそれなりの青銅も作れるようにならないと、鉄に進めないよ。


 次は鉄だけど、これは相変わらず包丁とか鍋とか薬缶とかかな? 南部鉄器みたいにしたら格好いいんだろうけど、品質が悪いからやめた方がいいね。適当にピーラーでも作って出そう。需要があるかもしれない。


 ……冗談でやってみたんだけど、まさか作れるなんてね。ここの運営とか開発は、良い意味で頭がおかしいと思う。



 ―――――――――――――――


 <道具> ピーラー 品質:3 レア度:10 耐久80


 皮剥き器。それ以外に説明のしようがない道具である。しかし包丁で皮を剥くのが当たり前の世界にコレを持ち込むのは、異邦人たる稀人だけであろう


 ―――――――――――――――



 いや、まあ、そりゃねえ。この世界観の中でピーラーなんて作るのは稀人だけだと思うよ。作った僕が言うのもおかしいけどさ。


 それでも作ったものはしょうがないし、プレイヤーマーケットに流そうかと思ったんだけど、何故かラスティアに取り上げられた。



 「ねえ、なにコレ? ………薄い刃が付いてるのは分かるんだけど、こんなの武器にもならないし、作った意味あるの?」


 「ああ、ラスティアは知らないのね。それはピーラーって言って皮を剥く道具よ。人参とか茄子とか、いわゆる野菜の皮剥き器ね。包丁でやるより綺麗に剥けるの。……レア度10!?」


 「………成る程、コレって稀人しか知らない道具ね? ……あっ、鑑定出来るようになった。つまり皮剥き器だと認識しないと、私達も鑑定出来ないってわけかー。やってくれるわねえ」



 そう言いながら、ラスティアはピーラーを持って何処かへと行ってしまった。勝手に持って行かれても困るんだけどね。仕方なくかんなとか作って遊んでいると、ドタドタという音と共に誰かがやってきた。


 鍛冶場の入り口を見るとシャルロットさんと、この家というか屋敷のお手伝いさんが居て、僕の方を凝視してくる。いったいどういう状況なのさ、これ?。


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