0010・ゾンビーナ
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種族レベルが上がりました
メイン職業:ネクロマンサー・見習いのレベルが上がりました
召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました
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ピロン♪
うん? レベルアップしたのはいいけど、何か来たな。えーっと……ああ、シズからのフレンド登録か。相手の名前とIDを知っていればフレンド登録申請が可能になってるんだよね、このゲーム。ちなみにIDからじゃアカウントの乗っ取りは不可能だ。
なので知られても特に問題ない。更に鬱陶しいプレイヤーはブラックリストに入れれば見えなくなるし、触れられなくなる。なので気にせずプレイ可能だ。ストーカーなんかには一番効くらしい、何故ならガン無視状態になるから。存在すら認識されなくなる。
……良し、登録完了。
ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪
急に何だよ? 何でこんなに……って、シズだな。ユウヤ達に僕のID教えたのは。別にいいけど、僕に一言も無しって……よし、これでOK。
『それで、急にフレ登録申請してきたけど、なに? 何かあったの?』
『おお、久しぶりだな珠。いや、こっちではコトブキか。それはともかく、お前らどうして裏切りやがった。こっちは天使の星から始めてるんだぞ?』
『そんなの、普通でつまらないからに決まってるじゃん。よくある中世ヨーロッパ風の世界で戦うとかさ、流石にどうかと思うんだよ。今までに散々そんなゲームやってきたんだからさー』
『そうだね。流石に私も聞いてた感じ、普通っぽそうだから止めたよ。コトブキくん久しぶり! といっても夏休み前にも普通に会ったけど。私はナツね。本名と殆ど変わらないけど』
『コトブキ久しぶり、棗と私は上手く合流できた。今回の名前はイル。椿油からオイルでイル。今回も考えるのが面倒だったから適当』
『相変わらずだね、五條さんは。僕はいつも通りだしユウヤもいつも通りか。一応言っておくと、僕はネクロマンサーで錬金術師ね』
『俺、とりあえず一旦消して作り直すから後でな。種族は分からないけど、盾士で鍛冶師なのは変える気ねえから。じゃ!』
『そんなに一緒の星でプレイしなきゃ駄目かな? まあ、それは横においておくとして、シズは知ってるからいいけど、ナツとイルは?』
『私はダークエルフ! そしてメインは神官・見習いでサブは料理人・見習い。事前情報で貰った通り、神官は【浄化魔法】が使える便利な職業だったよ』
『私はキャットマンを選んだ。メイン職業は盗賊・見習いでサブ職業が解体士・見習い。【解体】スキルがあると、やっぱり多くの物が得られる。ただしスキルレベルが低いだろうから、そこまで変わらないけど』
『僕も配下のスケルトンに【解体】スキルを持たせたいんだけどね。今はどうやって持たせたらいいか分からないんだよ。プレイヤーが倒すと消えちゃうからさ、解体とかさせられないし。師匠の御蔭で【棍棒術】と【盾術】は覚えてくれたけど』
『コトブキは今どこ?』
『残念だけど合流は無理。近くにゼット町って所があるらしいけど、地方名すら分からない。今いる場所は<屍人の森>っていう所で、師匠である<破滅の魔女>ことエンリエッタさんから指導を受けてる最中』
『んー……』
『おっと、スケルトンとゾンビ犬が出てきたから一旦切るよ』
どうやらシズはユウヤ達と初日からフレンド登録をしてたみたいだ。まあ初日の怒涛の展開を考えれば、友人達から連絡が来なくて良かったかな? とりあえずウロウロしつつ道から離れた遠くも探索してるけど、思った以上に屍人の森は広い。
それだけ魔物が居るからありがたいし、僕の場合は【魔力感知】で敵の位置は分かるからね、不意打ちを受けないのが大きい。更には森の中に入ると障害物が多くて、むしろこっちが戦いやすいぐらいだ。
木の横からチクチク刺したり、骨の犬を木にぶつかるように誘導したり、正直に言って負ける気がしないね。もちろん調子には乗らないけどさ。それに<澱み草>も結構見つけたから、根ごと掘り返してインベントリに入れてる。
インベントリは20種しか入らないけど、1スタック99個まで持てる仕様だ。古いゲームにはこういうのが多かったらしい。今は<澱み草>が31、<腐った肉>が26、<魔石>が56入ってる。
ちなみにスケルトン系を倒すと<骨>というのが手に入る。これはファルが欲しがったのであげると、自分の骨に融合していた。くっ付けると「ピカッ」と光って吸い込まれるんだ。多分強化されてるんだと思うけど、微々たる量でしかないんだろう。
ファルは喜んでるから良いんだけどさ、強化以外にも何か重要な気もする。例えば……進化先とか。
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メイン職業:ネクロマンサー見習いのレベルが上がりました
※スキル:【屍命召喚】にゾンビ召喚が追加されました
召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました
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おお! ついにゾンビが追加されたか!! とりあえず今すぐ魔力を使って登録を………殆ど魔力を使いきった所為で、新しい仲間であるゾンビを呼ぶ事が出来ない。仕方ないな、魔力が回復するまで、そこら辺をウロウロするかー。
それにしても今回のレベルアップでは精神が上がったな? 連続で魔力ばっかりだったけど、ここに来て精神かー。おそらく魔力と精神が上がっていく職業なんだろうけど、他でどうサポートしていくかだな。
再びウロウロしつつゾンビを倒したりスケルトンを倒したりしていると、MPが完全回復していた。ちょうど<澱み草>も多くなってきたし、一旦師匠の家に戻ろう。とりあえずゾンビを召喚してからね。
「【屍命召喚】、ゾンビ!」
地面に作り出した魔法陣からゾンビがせり上がってくるが、内臓がガッツリ出てますよ? しかもザコ敵のゾンビより体が壊れてる!? マジでかー……うん? 確か師匠は<腐った肉>をゾンビに食わせるって言ってたな? もしかして……。
「セナ、この腐った肉を食べてくれる?」
「うー」
セカンド・ゾンビーナ。2体目の召喚であり、セナは胸が膨らんでるから女の子なんだよ。Cぐらいだと思うけど、見た感じだから適当でしかない。
胸は破れてる服で隠れてるんだけど、その下のお腹から腸がこぼれてる。そっちの方に目が行くのでいやらしさは無いな。だから「ピカッ」そっち、って何?
セナが腐った肉を口に入れて食べるごとにピカピカ光って……おお! 体が修復された!! 何だかゾンビじゃないくらい綺麗だぞ。
「良かったな、セナ。綺麗になったぞ」
「う!」
同意してるんだろうと思うけど、スケルトンとゾンビなのに妙にコミカルというか、何だか明るさを感じる。陰鬱な感じがしないのは助かるね。幾らネクロマンサーだって言っても、僕自身は根暗じゃないし。
さて、そろそろ師匠の家に戻ろう。セナは僕が指示してから攻撃するようにね。せっかく綺麗になったのに、攻撃喰らったらまたこぼれそうだからさ。と思ったら出てきたよ、ゾンビとスケルトン。
「ファルはスケルトン、セナは僕が足を潰したら攻撃ね。それまでセナは待機してて」
「カタ!」
「う!」
よし、それじゃあ、ゾンビの足を切って……と。もう慣れたものだから、足を切るぐらい簡単に出来るね。
「足は切れた、セナ! ストンピングだ!」
「う! う! う! う! う! う! う! う! う! う!」
何だか楽しそうな感じがする。ゾンビだから表情は動かないんだけど、何故か妙に楽しそうな……あっ、倒した。
「う♪」
君、やっぱり楽しそうだよねえ?。




