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最強魔法使いは転生者!!  作者: 星風カンナ
9/11

教室での出来事

マズイ……

ワクワクしながら魔法学校の門をくぐったは、いいけど……

教室の場所が分からない!!

(誰かに聞くしかないかなぁ……)

途方に暮れているとルカが話しかけてきた。

『レイン、どしたの?』

『教室の場所が分からないのよ。』

私は素直に答える。道?校舎内?に迷うのは、少し恥ずかしいが、隠してもどうせ心を読まれて一発だ。

『あぁ~、レイン方向音痴だもんね!』

『ち、ちがうわよ!』

『ちがくないでしょ~』

『っ!! からかわないで…!』

ルカは本当に失礼だ。

私はけっっっっっして、方向音痴ではない。

すこぉし道に弱いだけ……

(はぁ、誰かいないかな……)

人に聞こうにもまわりに人がいないから聞くことも出来ない。

(本当にどうしよう…)

途方にくれる私と楽しそうなルカ。

なんとも言えない対照的な二人が出来上がった。

辺りを見渡し、人を探していると突然声をかけられた。

「きみ、どうしてここにいるの?」

「あ、えっと…」

突然のことで言葉につまる。

何せ話しかけてきた相手は、とてもきれいな顔をしていたのだ。

(こんなにきれいな顔、前世含んでも初めて。)

「んん~、新入生かな?」

相手の顔に見惚れていると少し困ったように話しかけられる。

「あ! はい。道に迷ってしまって…」

新入生、という言い方からしてこの人はきっと、先輩なのだろう。これは、教室にたどり着くチャンスかもしれない。

「そっか! 教室はどこなの?」

(きた! これで無事に教室にたどり着ける!)

「Aクラスです。」

「──へぇ~」

(なんだろう。なんか、変なことでも言ったかな?)

私の発言に対する変な「間」のようなものに違和感を覚えたけど、次の先輩の言葉で違和感は全てどこかへ吹っ飛んだ。

「一年生のAクラスはここを左に曲がったあと階段を上れば見つかると思うよ。」

「!! ありがとうございます!」

(左に行って、階段を上る!)

頭のなかで先輩の言葉を復唱してインプットする。

「いいえ、入学おめでとう。」

爽やかに笑う先輩はとても大人っぽくて、つい、気を引かれてしまう。

一年生という言い方も、久しぶりの学校も懐かしく思う。

「じゃあ、頑張ってね。」

「はい!」

なんて、優しい先輩なんだ!と感激しながらも、忘れないうちに教室に向かう。

(ここかな?)

1-Aとかかれたクラスプレートのかかった教室を見つけたときの安心感はかなりのものだった。

(ふぅ、落ち着いて。なにもしなければ変に目立たない。静かに教室に入って、静かに座るだけ。)

心を決め教室のドアに手をかける。

ガラガラガラ──

ドアを開ける音がとても大きい気がする。

一斉にこちらを見つめる複数の目玉に居心地の悪さを感じる。

(うぅ、何度繰り返してもこの感覚は嫌いだわ。)

なにも思っていないようなふりをして、自分の席を探す。

が、とても広い教室だし、なかなか場所がわからない。

(どうしよう? 誰かに聞いた方がいいのかもしれないけど……)

すごく静かな教室で声を発するのはかなり勇気がいる。誰かに聞くべきか迷っていたその時、

「大丈夫? あなたの席は向こうだと思うよ。」

隣にいた女の子が私の席の場所を教えてくれた。

「ありがとうございます!」

「どういたしまして。」

(この学校には親切な人が多くて助かるなぁ。)

しみじみとそんな風に感動していると、教室に誰かが入ってきた。

「みなさん、今日からこのクラスの担当のローズで~す!!よろしくお願いしますね~。」

(……すごい癖のある先生ね。)

すごく元気な人が担任になってしまったみたいだ。

「この後、広間で式をやって~、軽く自己紹介をしたら、今日はおしまいで~す。じゃあ、さっそく移動しましょ~!!」

本当に元気な人。

(この人、絶対に生徒からなめられるタイプだよね。大丈夫かな?)

入学初日にして、これからの学校生活がすごく不安になってきた。

「先生、式とかめんどいんでサボってもいいですか?」

(……さっそくなめられてるじゃん!!)

皆が移動しようとしているなか一人だけ、ニヤニヤしながら、椅子に座ったままの男子生徒がいた。

赤い髪と赤い瞳で、そこそこ顔はいいが、威圧的で反抗的な態度のせいで、周りのみんなは若干ひいている。

「式は全員参加ですよ~。」

先生は相変わらずな様子で答えているが、教室には緊張の色が混じっている。

「だから、俺は参加しないって言ってるんですよ。」

「それだと、私が怒られちゃうから~」

「はぁ?先生、俺が誰だか分かって言ってんの?」

(あ、絶対親が偉いパターンだ。)

もう、こういうのは確定しちゃってるパターンだと考えなくても分かる。

「俺は大商人の息子だぞ。」

やっぱり、大商人なんて隠すような言い方をして注目を浴びたいだけのおバカさんじゃん。

「だからなんです?」

「は?」

「私は、ここの教師ですよ~。あなたはここの生徒ですよね~」

先生はかなり面倒さそうに答えている。

「っ!!たかだか教師の分際で!」

(あ、魔法使うね。)

止めるべきなのか、見守るべきなのか。ここでこの人の魔法を阻んだら、悪目立ちしてしまう気がする。それに先生がどれ程のものか見たい気持ちもある。

『ルカ、これは放置で。』

『了解!』

念のためルカにも伝えておく。

「フローガ!!」

男子生徒が放ったのはいわゆる『火の玉』。そこまで威力が強い魔法ではないから、あたっても大ケガはしないだろうけれど、まず、室内で放つ魔法ではない。

『ルカ、建物に結界』

『は~い!』

手出しはしないつもりだったけど、勉強する場所がなくなるのは困る。

「俺の魔法はこんなもんじゃないぜ! フローガ・トイコス!」

先生の立っていた場所をぐるりと火の壁が取り囲む。

大方、他の生徒へのパフォーマンスなのだろう。

(面倒ね。私がやっちゃおうかな。)

先生が怪我をおったとは考えられないけれど、このまま、こんなことが続けばでは式に間に合わなくなるかもしれない。入学直後から他クラスに見下されるのは避けたい。

「はぁ~、また私の評価下がるじゃないですか~」

突然先生が炎の中から声を発した。

「余裕なふりですか?そこから動けないくせに?」

余裕ぶっているのは生徒の方だ。フローガとフローガ・トイコスで先生へのダメージは大きいと過信していたみたいだけれど、そんな技は一切通用していない様子だった。

(このままなら、手を出す必要なんて無さそうね。)

私は安心して様子を見守ることにした。

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