魔法学校入学
「レインちゃん、忘れ物はないかしら?」
「うん。大丈夫。」
引っ越したばかりの家の玄関で靴を履く。
「レインちゃん、気を付けるんだぞ。」
「ありがとう、お父さん。」
お父さんは優しくて、すぐに仲良くなることができた。
お仕事の関係で家にいないこともあるけど、いつも私を可愛がってくれる。ただ──
「──っ、お父さん……、くぅぅぅ!」
私の言葉全てに過剰に反応するのはやめてほしいけれど………
「それじゃあ、いってきます。」
今日は魔法学校入学の日。
「いってらっしゃい。」
魔法学校には学校寮もあるけど、お母さんが私と離れたくないという大変親バカな理由で、森の近くのひっそりとした家から、学校近くのお父さんの家に引っ越すことになったのだ。
私は多分、よく言われる『転生』というものをしたんだと思う。
日本で生活していたけど……
今の生活が好きだし、もういいのだけど。
「ねぇ、レイン。大丈夫?」
昔のことを考えていたら、ルカが話しかけてきた。
ルカは私の魔力から生まれたらしい。
私の魔力はすごく多いらしいし……
いろいろ、あるけど、考えても無駄だと割りきってあまり考えないようにしている。
(それにしても、ルカはどうしてついてくるの。)
ルカは金の髪と紫の瞳を持っていて、50~60cmの見た目のすごく整った顔をした男の子?だ。
私はお母さんゆずりの透けるような青い髪と、お父さんゆずりの薄紫の瞳だから、なんとなく私たちは似ているのかもしれない。
「ルカ、どうしてついてくるの?」
「え、レインが心配だから。」
「「……………」」
「帰っていいよ。」
「なんで!!」
おかしい、ルカは絶対におかしい。
私の魔力から生まれたからか、私に過保護すぎる。
今も一緒に行くと駄々をこねてるし、ホントにどうしたのだろう。
「はぁ、絶対に誰にも姿を見せないでね。」
「うん! もちろんだよ!!」
(嬉しそう……)
ルカ、かわいいのはずるい。
「あ、そうだ。レイン、気をつけてね。」
「何が?」
急に真面目になったルカが警告してきた。
「レインはそこそこの魔力量を演じるんでしょ?」
「そうだけど……?」
私の魔力量は普通じゃないから、魔法学校では普通の魔力量を演じるつもりでいた。
その方が変に絡まれたりしないだろうし……
「多分、普通の魔力量っていうほうがめんどくさいと思うよ。」
「どういうこと?」
「魔法学校では弱肉強食ルールがあるんだよ。だから、普通だと下に見られるかもしれないから。」
「なるほど。」
魔力量が多い方の人たちが調子に乗る。
まぁ、よくあるやつだ。
「絡まれたら、ぶっ飛ばしても良いと思うよ!」
「そうだね。考えてみる。」
「やった! ボクの活躍が期待できるね!」
まぁ、絡まれたとしても少し魔力量が多いくらいじゃ私の周りにいつも張られてる結界は破れないだろうし、大丈夫だと思うけれど。
ルカの心配性のせいで、私の周りには常に数種類の結界が張られている。
だから、大抵の攻撃は無効化されるのだ。
「そろそろ、隠れてて。」
「は~い!」
ルカを隠れさせて、しばらく歩くと魔法学校が見えてきた。
魔法学校は入学を歓迎する声と、入学を喜ぶ声が混じり、不思議な雰囲気に包まれていた。
私はワクワクしながら、正門をまたぐ。
(さぁ、楽しもう!)
ここから、私の魔法学校での生活が始まる。