二度目の人生
「お母さん、今忙しい?」
ルカと約束をした日、私はお母さんに尋ねた。
「なぁに、レインちゃん。」
「少し話があるんだけど……」
「良いわよ! 沢山お話ししましょう!」
「ありがとう。」
お母さんは忙しいはずなのに話を聞いてくれた。
「それで、話って何かしら?」
「うん。えっと……」
私はルカと話し合い、魔法を本格的に学ぶことにした。しかし、魔法を学ぶにはこの国の首都まで行く必要がある。なぜそんな必要があるのか。それは魔法を学べる場所、つまり魔法を学べる学校が首都にしかないから。ブルへリア魔法学校魔法を教えるための学校であり、この国唯一の魔法学校。
「私、魔法学校に行きたいの。」
私が住んでいるところは田舎中の田舎。首都まで行くだけでもかなり大変だ。それなのに魔法学校に行かせてくれなんて、お母さんはきっと反対する。
「そっか、レインちゃんはやっぱり頑張り屋さんね!」
「お母さん、私、本気で魔法を学びたいの! だから──」
「ふふ、お母さん嬉しいわ。」
「え?」
お母さんは笑っていた。ダメよ、とか、ごめんなさい、とかそういうことを言われると思っていた。だけど、お母さんは優しく微笑んでくれた。
「お母さん少し心配だったの。レインちゃんはいつもつまらなそうにしてたから。つまらなそうにしてるのに、何かに追われて苦しそうだったから。だから、お母さん嬉しいわ。レインちゃんがやりたいことを見つけられて。」
「お母さん……」
「頑張って、レインちゃん。お母さん、応援するわ。」
「っ! お母さん!」
「あらあら、レインちゃんはまだ泣き虫さんね。」
「ありがとう。ありがとう、お母さん。」
「どういたしまして。」
嬉しかった。私のことをずっと見ていてくれたことが。やりたいことを認めてくれることが。すごく嬉しかった。
私はずっと前世の私だった。レインという名を名乗った、かおりだった。でも、今、やっとレインになれた気がした。この人をお母さんだとちゃんと思えた。そして、次は後悔しないように生きようと、そう思った。
(ありがとう、お母さん。私、ちゃんと頑張るから。)
『よかったね。レイン!』
『うん! ありがとう、ルカ。』
こうして私の二度目の人生は幸せとともに始まった。