名付け
どうして今すぐ魔法の練習をしてはいけないのか、その問いに男の子は丁寧に答えてくれた。
「あのね、君の魔力は普通の人よりすご~く、多いんだよ!だから、君が今すぐ魔法を使おうとすると、魔力が暴走して死んじゃうかもなんだ!」
(え? それって早く言ってほしかったんだけど……)
説明を聞かなければ私は死んでいたかも知れない。今度からは人の話は最後まで聞こうと思った。
「それじゃあ、私は魔法は使えないの?」
「ううん! 使えるよ! でも、条件があるんだ!」
「条件?」
「うん! 簡単な条件だよ!」
簡単な条件で、魔法が使えるなんてお得でしかない。そう思った私は条件を聞いてしまった。
これが、私の転生後、一つ目の間違いだった。
「条件はボクに名前をつけること! それと、ボクの存在を認めること! これだけだよ~!」
「名前をつける?」
あまりにも簡単な事すぎて聞き返してしまった。
「うん! さっきも言ったけどボクは君の魔力から生まれたんだ。だから、君がボクに名前をつけて、存在を認めてくれれば、ボクたちは魂で繋がるの。そうすればボクが君の凄く多い魔力を安定させられる!」
(うん! よく分からないわ……)
「つまり、どういう事なの?」
「えっと……君とボクが繋がるの!」
(だめだ。まったく分からない。)
「と~に~か~く~! ボクに名前をちょーだい!」
はやく、はやくと急かしてくるあまり、よく考える時間がなかった。そのせいで、この後大変なことになるのに。
「分かったわ。今、考える。」
(金色、薄い紫、男の子、小さい、わがまま、かわいい……)
「決まった?」
「うん。あなたの名前は、ルカ。ルカ・アマリリス。それがあなたの名前。」
呼びやすいように2文字で、簡単なものにした。のだが……
「ルカ! ルカ!! それがボクの名前!? 嬉しい!!」
と、大喜びしている。
「ねぇ、君の名前も教えて!」
そして、ようやく私の名前を聞いてきた。ずっと『君』呼びだったから、名乗るタイミングも逃したし、さすがに魂が繋がる?なら、名前で呼んでほしかったのだ。
「私は、レイン・アマリリス。よろしくね、ルカ。」
「うん! よろしく! レイン!!」
(名前だけで大袈裟だな。)
「あ、そうだ! 言い忘れてたんだけど、レイン───だよ!」
(え!? そんな、聞いて、ないんだけど……)
もっと慎重になるべきだった。そもそも、部屋に急に『何か』が現れた時点で、警戒するべきだった。後悔、先に立たずとは、まさにこの事だ。あぁ、私はどうしたらいいの?
誰か助けて!!
部屋に現れた『何か』にルカと名付けるレイン。
でも、何か大変な事があったのかも!
レインの転生物語はまだまだ続きます!