呼び出し
「あなた、先程何をしたのか教えてくれる?」
先生は本気モードのようだ。この様子では誤魔化したところで意味はない。おとなしく話すしか無さそうだ。
「それは、不完全な魔法が使われた時の事ですか?」
「う~ん…それもあるけど、その前から魔法使ってたでしょ?」
「……魔法といっても教室に結界を張ったくらいです。」
実際、私は本当に結界しか張っていない。その結界だって、ただ教室を保護するためのものなのだから、悪いことをしたわけではないと思う。
「あそこまで完璧な結界を入学初日の生徒が出せるとは思えないのだけれど?」
「……結界を張るなんてこの学校に入学する方々なら誰でも出来ると思います。」
「そうではなくて~。どこであんなにも完璧な魔力コントロールを習得したのか、聞いているのよ~」
幼い頃から必死に練習してきたのだから、普通の人より上手くないとおかしい。
「魔法はひとりで練習しています。」
「独学!?」
「本格的に学ぶためにここへ来ましたので。」
「入学申請書には魔力量も何もかも、『普通』と書かれているけれど?」
あぁ、めんどくさいことになってしまった。
『ねぇ~もうホントの事話しちゃえば~』
『確かにその方が楽でしょうけど…』
『んん? しゃべり方変…』
『うるさいなぁ。外向けなの。』
『なるほど! ボクが説明してあげようか?』
『……もう少し待って。』
「先生、場所を変えませんか?」
もう、本当のことを話すしかない。
もし、否定されたとしても今まで通り私らしく生きていればいい。
「なぜ、ここでは言えないのかしら?」
「言葉で説明するより早いと思うので。」
「……はぁ~、分かったわ~」
私は先生を森へつれてきた。
この森は私がいつもルカと練習していた森だ。
「こんなところで何をするのかしら~?」
「先生。今からお話しすること全て、秘密にしていただけますか?」
「……話にもよるけど~、とりあえず聞かせて頂戴。」
「ルカ。お願い。」
私はルカに説明を頼むことにした。私ひとりでは上手く伝えられそうにないから。
『この人には話すの?』
「それが一番いいと思うの。」
「分かった。ボクが説明する。」
私がそう言うと、ルカは今まで消していた気配と姿を現した。
「あなたは、、、」
「ボクはルカ。レインのための、レインだけの存在。よろしくね、レインの先生。」